国営諫早干拓事業の潮受け堤防の開門を命じた福岡高裁の確定判決にもかかわらず農水省が、開門をしない前提で「100億円基金」創設の提案に同意するよう地元漁業者を説得する「想定問答集」を作成し漁業団体幹部に示していた問題で、漁業者と支援者、弁護団による集会と対政府交渉が3月15日、国会内で行われました。

 農水省側は、情報公開法の限定条項を盾に「想定問答集」の「不開示」を決定していますが、交渉では問答集を暴露した「朝日」に“誤報”だとの抗議もしていないことを明らかにし、不存在も言明できませんでした。有明弁護団の堀良一弁護士は、「問答集の存在は明らかだ」と指摘。長崎地裁での和解協議の一方、水面下で地元漁業団体に圧力をかけ分断を図る同省を厳しく批判しました。

他の出席者からも同省の不誠実な説明に「和解交渉でどうやって農水省を信頼したらいいのか」など厳しい声が相次ぎました。

 集会では、漁業者が漁獲量の大幅減少やノリの変色など深刻な被害を告発。日本共産党の赤嶺政賢、畠山和也、真島省三の各衆院議員と紙智子、仁比聡平両参院議員は、国会質疑での真相究明の努力について報告しました。

 仁比氏は「生産者は崖っぷちに立たされている。その怒りの声が民主主義のまともな力で発揮されていれば、有明海は死にひんしていなかった」と述べ、民主主義を無視し漁業者を支配しようとした同省を厳しく批判。紙氏は、参院農水委で問答集提出を求めたと紹介しました。

 田村貴昭衆院議員は、畠山、真島両氏とともに弁護団との懇談に参加。民進党の大串博志政調会長も集会と交渉に出席し発言しました。(しんぶん赤旗 2017年3月16日)