薬物を混入された疑いのある性暴力・性犯罪被害について警察庁が、証拠保全の徹底や薬物の影響に「十分留意する必要がある」と周知する文書を、全国の都道府県警等に出していたことが12月25日までに分かりました。日本共産党の仁比聡平参院議員事務所の問い合わせに、同庁が開示しました。
文書は12月11日付で、「薬物の影響により、被害者が意識があるように行動していても被害時の記憶が欠落している場合もある」として「『薬剤性の健忘症状』にも十分留意する必要がある」と指摘。「薬物の使用が疑われる場合には、被害者の同意を得た上で、速やかに採尿や採血を実施し、鑑定に付すること」としています。
さらに、「警察職員の誰もが被害者の事情聴取等に当たる可能性がある」として、薬物による性犯罪について「部門を問わず、全職員に対し、あらゆる機会を活用して、改めて広く指導教養を実施すること」としています。
警察庁の担当者は、6月の刑法改正や特別国会での各党質疑、院内集会で社会的関心が高まっていることを受け「改めて注意喚起した」と説明しました。
薬物の種類は睡眠薬や危険ドラッグなどさまざまで、総称して「レイプドラッグ」と呼ばれています。7月に、コーヒー牛乳に睡眠薬を混入し性的暴行におよんだ事件で実刑判決(東京地裁)が下され、ジャーナリストの伊藤詩織氏が自身の被害を告白した著書でその可能性に言及するなど、被害の実態が表面化。国会でも市民団体と超党派議員による院内集会が開かれ、被害の告発や、警察の対応の是正を求める声が上がっていました。仁比氏は、12月5日の参院法務委員会で伊藤氏の事例に触れ、薬物の使用が疑われる事例について「直ちに採尿・採血をするのが警察の義務だ」と、捜査方法の抜本的転換を求めていました。(しんぶん赤旗 2017年12月26日)
- 投稿タグ
- 性暴力・刑法改正