長崎県の国営諫早湾干拓事業をめぐり、潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決を強制しないよう国が求めた請求異議訴訟の差し戻し審第1回口頭弁論が2月21日、福岡高裁(岩木宰裁判長)でありました。訴訟は、開門を命じた確定判決(2010年12月)に従わない国が判決を強制しないよう求めたもの。

 国は、確定判決から9年以上が経過し、諫早湾周辺のエビなどの漁獲量が増加傾向にあるとして「開門を強制することは権利の乱用にあたる」と主張。これに対し漁業者側は、潮受け堤防閉め切り後一変した有明海の惨状を示し、開門調査を行う和解での解決を求めました。

 意見陳述で漁業者の平方宣清さん(67)は、「かつてはタイラギ漁だけで一冬1千万円以上の稼ぎになったが、今ではまったく取れない。いったい国は何を見ているのだ」と憤りの声をあげました。

 裁判後の報告集会には九州各地から180人が参加。馬奈木昭雄弁護団長は、国が開門調査をしない理由に「時の経過」を挙げたことについて「時の経過とは、国が確定判決を実行しなかった『さぼった』期間のことであり、『さぼったもの勝ち』という信じがたい主張だ」と厳しく批判しました。

 日本共産党のまじま省三衆院九州・沖縄ブロック比例候補と、弁護団として仁比聡平前参院議員が参加。仁比氏があいさつしました。(しんぶん赤旗 2020年2月23日)