長崎県の国営諫早湾干拓事業をめぐり、潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決を強制しないよう国が求めた訴訟の差し戻し審が福岡高裁で始まった2月21日、弁論後の報告集会には市民団体や支援者約180人が集い、会場は熱気に包まれました。

 国は陳述で、漁獲量が回復傾向にあるとし、開門義務を守らない制裁として漁民に支払ってきた12億円あまりの間接強制金の返還を求める可能性にも言及しました。

 これに対し、「血圧が上がるほど怒りを感じた」と語る原告漁業者の男性(67)は「明日からタイラギのとれる海に戻してくれるというならすぐに強制金は返す」と語気を強めました。

 研究者や市民団体代表らが次々と発言。日本環境会議の寺西俊一理事長は、諫早問題の検証委員会を同会で立ち上げることになったと報告。「現地調査などをして、今年の秋には提言を出し世論に訴えかけていきたい」と語りました。

 日本共産党の山本のぶひろ熊本県議は、同県議会の有明海・八代海再生特別委員会で当初の流れをくつがえし、「開門調査は必要」との文言を明記した新提言が、全会一致で了承されたことを報告しました。

 堀良一弁護士は「それぞれの意見陳述を通して、どちらに正義があるのかが明確になった」と強調しました。

 日本共産党のまじま省三衆院九州・沖縄ブロック比例予定候補が駆けつけ、弁護団で日本共産党の仁比聡平前参院議員の音頭で「団結ガンバロー」を唱和しました。(しんぶん赤旗 2020年2月26日)