○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
今夏の梅雨前線と台風六号、七号は、線状降水帯などによってまたも各地で過去最大雨量を更新する大雨をもたらし、人命を含む甚大な被害となりました。
この一枚目の資料は久留米市田主丸町の千之尾川の土石流の現場ですけれども、ここでお一人が亡くなられ、そして幾人もの方が重傷と今闘っていらっしゃいます。御覧のとおり、多くの住まいが跡形もなくなってしまっています。痛恨の思いがいたします。私たちがすべきは、まず、自力では到底できない生活基盤の再建のためにあらゆる支援を尽くすということだと思うんですね。
この千之尾川の東側の谷になるんですが、森山川という谷でも民有林が土石流で崩れて、堆積した土砂が民家や農園、それから農家レストランに迫っております。
こうした中で、被災者と自治体の声をよく聞きながら再度災害の防止と復旧に全力で取り組むべきだと考えますが、まず、水管理・国土保全局長に現状と見通しについてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答えいたします。
今回の梅雨前線豪雨では、久留米市の南側に位置する耳納連山において土砂災害が複数発生しております。
委員の資料にございます千之尾川では、土石流によって下流まで土砂が流下し堆積している状況にあるため、現在、福岡県が既設流路に堆積した土砂の除去を実施しているところでございます。また、千之尾川と森山川の上流の渓流内には不安定な状態で土砂や流木が堆積しており、今後の出水で流下し、被害をもたらすことが懸念されております。
このため、国土交通省といたしましては、福岡県からの申請を受け、千之尾川と森山川で砂防堰堤工の整備を行う災害関連緊急砂防事業を八月十四日に採択し、財政支援を行っております。また、今回発生した土砂災害に対しハード、ソフトの両面から対策を円滑に行うため、九州地方整備局、福岡県、久留米市による情報連絡会議を設置したところでございます。
今後、自治体や地域住民の声を聴取し、関係者間で連携して必要な対応に取り組んでまいります。
○仁比聡平君 迅速な事業の採択と、それから森山川の谷でも頑張っていただくということで、今最後にお話があったように、国、県、市が協議会を設置して取り組んでいくんだということに大いに期待をしておりますので、是非、安心を取り戻していくために、よろしくお願いしたいと思います。
五枚目の資料は、その谷の西側になるんですけれども、同じ竹野の地区に流れる七夕川の上流部分で、御覧のように、氾濫して、隣接する民家の護岸といいますか擁壁が崩れて、宅地がえぐられて、左の隅の方にあるコンクリートの残骸がこれ倉庫が壊れたという状態なんですけれども、これ、被災者の負担なく是非再建をというふうに求めてきた。最初、ここは河川指定がされていないんだということでちょっと一体どうするんだろうと思ったんですが、取り組んでいただいたんですが、どのようになっているでしょうか。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答えいたします。
委員の御指摘のとおり、今般の豪雨により、久留米市田主丸町の七夕川の河岸が侵食し、隣接する民家にも被害が生じたものと承知しております。当該箇所については、七夕川を管理する久留米市において既に大型土のうによる応急対策を実施しており、現在、恒久的な対策についても検討を行っていただいているというふうに聞いております。
○仁比聡平君 市が責任を持って復旧をしていっていただいているということで、本当に感謝を申し上げたいと思います。
さらに、こうした川が流れ込むのが巨瀬川ですけれども、先ほど下野議員がお尋ねになったように、氾濫をして大きな浸水被害をもたらしてしまったんですが、先ほど河川整備計画の取組については御説明がありましたので、私、端的に聞きたいと思うんですが、筑後川に合流するところの、まあ言わば巨瀬川の下流部分というのが国管理で、ここが先ほどのような状況なんですよね、まだ完了していないと。で、その上が県の管理の部分になって、国の事業が急がれないと、県管理の部分というのはなかなかいかんともし難いということが一つ。
それと、その引き堤などの完了の前に、現実に勾配の緩い川で、川の中に大量の土砂、それからそこに木も生えているというような状況になっていますから、しゅんせつ、掘削というのは必要なところは是非急いでほしいと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
巨瀬川の治水対策につきましては、延長約十キロにわたって、いわゆる引き堤工事、それから橋梁の架け替え工事を現在進めさせていただいているところでございます。これにつきましても、今後、国土強靱化の五か年加速化対策の予算も活用しながら、スピード感を持って対応していきたいというふうに思ってございます。
あわせて、上流の県管理区間につきましても、下流の整備に合わせて一体となった整備が迅速に進むように、県と密に国管理区間の改修方針や進捗見込みについて情報共有を行うなどにより、事業調整を積極的に図ってまいりたいというふうに思います。
加えまして、今回出水により土砂が流出したという懸念もございますので、流下能力による支障があるかどうかということにつきまして、測量等も行って確認したいと思ってございまして、そのような堆積が確認された場合には、それを撤去を行う、随時撤去を行う取組をしっかりしていきたいと、進めてまいりたいというふうに思います。
○仁比聡平君 是非よろしくお願いいたします。
次の六枚目の資料は、大分県中津市を流れる山国川の流域の被害の状況ですけれども、まずお尋ねしたいのは内水の排水ポンプについてなんですけれども、この耶馬溪、旧耶馬溪町や本耶馬溪のところでは、中津市が出水期にレンタルして、青の洞門の近くとか城井小学校の前とか、三か所にポンプを作っているんですけれども、これが今回も内水被害が起こってしまいました。中には、砂をかんで停止したんじゃないかという声とか、それから、このポンプ自体が能力不足だったんじゃないのかというような被災者からの強い声があるんですけれども、私、県、市と連携して検証して、必要な対策を是非行っていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答えいたします。
山国川の上流部では、大分県中津市が、これまでの内水被害の発生状況を踏まえ三か所で排水ポンプを設置されていることを承知しております。
当該地区の内水被害の軽減におきましては、国、大分県、中津市が調整を図りつつ、浸水要因の分析を行った上で対策を検討することが必要だというふうに認識しております。中津市などが実施する対策につきましては、防災・安全交付金などの財政的な支援や技術的な支援も行ってまいりたいというふうに思います。
加えて、山国川流域全体の浸水被害軽減についても、自治体等が参画する流域治水協議会の場などを活用して流域治水の取組を推進してまいりたいというふうに思います。
○仁比聡平君 やっぱり、そのときに国のイニシアチブ、責任というのはとても重いと思うんですよね。
是非取り組んでいただきたいと思うんですが、こうして見たときに、今起こっているのは気候危機の進行の下で、中小河川や渓流を含めて氾濫や土砂災害などの危険箇所の対策の遅れが顕在化しているということなのではないかと思うんです。
ですから、流域に住んでいる住民の皆さんの意見をよく聞いて、中長期掛かる整備を着実に進めていくということとともに、短期間で目の前で安心、安全を取り戻していけるしゅんせつ、伐採などの応急対策をはっきりさせて再度災害を防ぐという取組もお願いしたいと思いますが、国土交通省、どうでしょうか。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答えいたします。
近年、気候変動の影響により、水害、土砂災害が激甚化、頻発化していることから流域治水の取組を強化する必要があり、計画的、抜本的に実施する河川改修や土砂災害対策等を今後より一層加速する必要があると考えております。また、いわゆる三か年緊急対策や五か年加速化対策等を活用し、効果を早期に発現させるべく実施してきました河道掘削や樹木伐採等の対策についても引き続き推進することが必要だと考えております。
今回被災した地域においても、安全、安心な地域づくりを早期に進めるため、引き続き自治体などの意見を聞きつつ、関係者と連携しながら、流域治水の観点から再度災害の防止に向け、地域の実情を踏まえ河道掘削などの具体的な取組をスピード感を持って進めてまいりたいというふうに思います。
○仁比聡平君 ありがとうございます。
その方針のまず具体的な第一歩の例みたいなふうに聞いていただきたいと思うんですけれども、この六枚目の資料の山国川の右上の写真、委員の皆さんもよく御覧いただいたらと思うんですが、写真の奥の方で荒れ狂っているのが山国川本川です。手前が川のように見えますが、ここは田んぼなんですね。
この箇所というのは、キャプションにもあるように、二〇一二年、それから二〇一七年のそれぞれ北部豪雨のときに既に洪水の被害に遭ったところで、ただ残念なことに、二回とも原形復旧しかなされませんでした。
それが、今回このような状態で被害に遭い、一番下の段の左側に水が引いた後の様子がありますが、過去の災害で何とか再建して営農を続けてきたところがこんなような状況になっているということで、もはや復旧はもうできないと、原形復旧というんだったらもうわしはやめるという声が、この箇所だけじゃなくてたくさん出ているんですね。この真ん中の左側の農地も本当にむごい状況になっていますけれども。
そこでお尋ねしたいのは、再度災害を防止するんだということ、その方針を明確に示して、堆積土砂や、巨岩があります、山国川、景勝地ですので、そのしゅんせつや掘削などで具体的に水位をどれだけ下げられるのかということを住民、農家の皆さんに是非速やかに説明していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(廣瀬昌由君) お答え申し上げます。
山国川上流部では、平成二十四年の出水を踏まえて、おおむね五年で床上浸水の解消を目指して、床上浸水対策特別緊急事業により集中的に築堤等を実施し、流下能力を向上させてまいりました。
今回の豪雨では、その平成二十四年に匹敵する雨量を記録したものの、床上浸水家屋が大幅に減少するなど効果が発現しましたが、委員御指摘のとおり、一部の家屋浸水や農地被害が生じたというふうに認識しております。
このため、今回の出水要因の分析を行うとともに、当該地域が文化財保護法に基づく名勝に指定されていることから、文化庁とも調整を図りながら、河道掘削や堤防整備等の上下流のバランスを考慮した計画的な治水事業を推進してまいりたいというふうに思ってございます。
また、今回の出水後の測量等により流下能力に支障となるような土砂の堆積が確認された場合には、これらの撤去も行うことも対応してまいりたいというふうに思います。
これらの内容につきましては、その効果も含めて丁寧に地域住民などにも説明してまいりたいと思います。
○仁比聡平君 よろしくお願いをいたします。
そこで、大臣、こうして写真を幾つか改めて確認いただいたときに、営農収入の低迷、資材高騰というのが本当の大変な中にある農家の皆さんの心情というのは、やっぱり私たち本当に受け止めなきゃいけないと思うんですよね。
先ほどの大野議員が派遣報告の中で紹介をされたように、私たちが視察をした五城目町の馬場目川水系土地改良区の加藤理事長からも農家の自己負担を極力なくしてほしいという声が上がりました。
八枚目の資料は、そうした中での激甚災害の指定と地元負担の概念図ですけれども、この激甚災害の指定を速やかに行うと、そのことによって、災害復旧事業の対象になる災害も、それから小災害も含めて、農地、農業用施設復旧の農家負担をできる限りなくすということが食料と農村を維持するために不可欠だと私は思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(谷公一君) 私も、七月二十一日に五城目町を視察して、御指摘の農地被害、災害現場も見させていただいたところでございます。確かに、農地に土砂がなだれ込んで、将来、農地の今後について大変な不安を被災者の方々が感じておられるということは私もじかにお聞きしたところであります。
今回、公共土木施設や農地等の災害復旧事業については、地域を限定しない本激として指定する見込みであるということを、七月二十七日、総理から公表して、現在、その手続に向けて、手続を進めているところであります。
委員お示しいただきましたように、激甚災害の場合は地元負担、これは自治体によって、農家に負担を求めるのか、あるいは求めないのか、そこは自治体の判断でございますけれども、そこは自治体の方ができる限り農家の負担を軽減して、再び農業を営むことができるようにしていただきたいというふうに思っているところであります。
現場では、そのまま復旧するのか、あるいは田んぼにするのか、あるいはほかの畑にするのか、そういうことも含めて今後よく検討したい旨を私も聞いているところであります。しっかりと農業者の思いを受け止めながら、一日でも早い復旧に向けて我々も努力してまいりたいと思います。
○仁比聡平君 農村振興局の整備部長においでいただいています。この八ページの資料にあるように、激甚災害が指定されれば地元負担は過去五年平均でいえば〇・六%という、そういう数字であるにもかかわらずですね、残念ながら、その次の資料は六年前の九州北部豪雨のときのある市の農家向けの資料ですけれども、災害の直後に農地なら百分の十の負担がなければ災害救助は、復旧はできないという資料が、条件になっちゃっているんですよね。今回、九州農政局、随分頑張っていただいたようで、こうした説明ではない、希望を農家の皆さんに与えるような方向になっていると思うんですが、こうした取組をもっと徹底してほしいということと、それから、そもそも農家の自己負担というのは災害復旧の仕組み上は必ず必要とされているものではないんじゃないのかと、この内閣府の資料でも地元負担となっているわけですけど、その辺りいかがでしょうか。
○政府参考人(緒方和之君) お答えいたします。
農地や水路などの災害復旧事業におきましては、国庫補助率がかさ上げされ、高い補助率が適用される仕組みとなっており、激甚災害に指定された場合は国庫補助率が更にかさ上げをされます。また、補助残につきましては農家に負担を求めず地方公共団体が全て負担することも可能であり、地方公共団体が補助残を負担する場合には地方財政措置が適用され、地方公共団体の実質的な負担が低減されます。
農林水産省といたしましては、こうした点を、発災直後から農政局職員を現地に派遣をいたしまして、被災市町村や農業団体への周知に努めてまいりたいと思っております。
○委員長(三浦信祐君) おまとめください。
○仁比聡平君 はい。
今回の災害で農政局始め現場の皆さんが相当頑張っていただいて、もう答弁は求めませんけれども、被災したかんがい施設への揚水ポンプの設置だとか、随分喜ばれています。そうした支援をどれだけ速やかに届けていくことができるかということ。それから、流域全体の治水の前進のためには、何しろ国が財政の上での重い責任を果たさなきゃいけないと思います。是非そうした取組を進めていただきたいということを強く求めて、今日は質問を終わります。
ありがとうございました。