日本共産党の仁比聡平議員は4月20日の参院法務委員会で、入管施設での死亡事案や不適切な処遇は、個別事件の問題ではなく制度上引き起こされた問題だと強調し、「徹底した調査をして国会に明らかにすべきだ」と迫りました。

 出入国在留管理庁の西山卓爾次長は、名古屋入管でスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが死亡した事件では、実際には血圧測定で不正常な値が出ていたのに、それが入管庁の報告書に記録されていなかった事実を認めました。

 仁比氏は「295時間といわれる(監視カメラの)映像記録のなかで、同様の事案や、より重大な事案がないのか懸念される」と指摘。実態を検証するため、「全てのビデオを明らかにすべきだ」と主張しました。

 また、東京入管に収容されていたトルコ人男性が激しい腹痛を訴えたのに、「容態観察」として20時間以上受診させてもらえなかったなど、全国の入管施設で同様の事案があり、「構造的な残酷な人権侵害になっている」と指摘。2007年以降の18件の死亡事案を調査し、国会で明らかにして議論すべきだと追及しました。

 斎藤健法相は、昨年11月の就任後、ウィシュマさんのビデオを見て「どうしてこんなことが起こるのか」との認識を示しましたが、「現時点において、過去の各事案について詳細等を明らかにするのは適当ではない」などと背を向けました。(しんぶん赤旗 2023年4月21日)