○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。松村大臣、どうも御苦労さまでございます。
まず、木造仮設住宅の恒久活用について大臣の御認識をお尋ねしたいと思うんですけれども、三年余りたちました二〇二〇年七月の九州豪雨の球磨川流域を中心とした被災者の住まいの再建に関してお手元に資料をお配りをしておりますが、熊本県は、被災者向けに整備した木造仮設住宅七百四十戸のうち四割に当たる約三百戸を恒久的な住宅として活用する方針を固めたということで、知事、蒲島知事が、木造住宅は屋根や土台もしっかりし、普通の住宅と変わらないと、これで生活再建のスピードアップにつながるという決意を語っていらっしゃるわけです。
実績については内閣府に調べていただいた資料を続けてつづっておりますけれども、これからの取組の部分もあると思うんですけれども、私、大きなメリット、特徴として、一つは、市町村有住宅として低所得の方も入居しやすい家賃、賃料を設定していこうと。既に相良村で一年前に始まりまして、これは大変喜ばれていると伺っています。
もう一つは、被災者の御家族も様々な御世帯がありますから、建設された木造仮設住宅をこの提供に当たってリフォームをしようと、二つの仮設住宅を一つの提供住宅にするとかいうような、こういう取組も行おうとしているというふうに伺いますけれども、大臣がどんなふうな御認識かということと、そして、こういう木造仮設を積極的に活用しようという取組はこれまでも行われてきたと思うんですよ。それをこれからの被災地で更に積極的に、本格的に取り組むべきじゃないかと私は思っているんですけど、大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(松村祥史君) まず、仁比先生におかれましては、同じ九州でもございますし、熊本地震、そして水害、ちょくちょく私の地元においでをいただき御支援をいただいていることに感謝を申し上げます。
その上で、私も熊本地震のときのこの木造住宅を見ましたときに、やっぱり大きく変わってきたなと。通常の災害復旧のときの仮設住宅はプレハブでございました。そして、それを解体して更地にしてという状況でありましたが、熊本地震は、知事の御決断によって、トータルコストも安くなるじゃないかと、そして、それを今度は市町村に譲渡をして、やはり市町村でいろんな形で使っていただける、非常にいい取組だと私も評価をいたしております。
こういった取組を今後全国にいかに広げていくかというのは極めて大事でございます。各自治体の方々の御判断ということもございますけれども、私も、非常にいい御指摘でもございますし、今後必要な施策であると思っております。しっかりとそのことを機会を捉えて伝えてまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 木造仮設住宅のメリットというのを改めて私たち共有したら、することが必要なんじゃないかと思うんですよね。
今大臣もおっしゃいましたけれども、かつて仮設住宅というとプレハブということになって、東日本のときもプレハブの住宅が大変、結露があったり、寒さ、暑さに弱いということで被災者の皆さんの暮らしが大変厳しくなってしまうというような弊害もありました。
一方で、木造仮設住宅は、様々な工夫によってそれぞれの被災地の気候に合わせた建て方をしたり、それから高齢化に配慮したバリアフリーをすることができたり、台所やトイレやあるいは作り付けの棚などをその地域の暮らしに合わせた形に工夫もすることもできるし、恒久的な利用ということでいいますと、更地になっているところがあります、被災者のおうちが壊れてしまって撤去して更地になっている、ここに移築して使うということだって可能ですよね。もちろん、地元産材を活用するという意味で地域の復興にも支援していくことになる。こうした木造仮設住宅のメリットを大臣が、あるいは内閣防災としてどんなふうに認識して周知していくか。
その点と、あわせて、お手元の資料にもありますけれども、プレハブの仮設の災害協定は阪神・淡路大震災を機に大きく広がりまして、既に一九九七年には全都道府県と協定が結ばれています。ですけれど、木造仮設の方の協定というのはまだ全都道府県にならないんですよね。恐らく六県ほどまだ未締結ということだと思いますが、ここは是非政府としても応援していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(松村祥史君) お答え申し上げます。
木造住宅の良さというのはもうまさしく、今、仁比委員がおっしゃったとおりでございまして、やはり入られた方々は、木の香りがしてとても落ち着くとか、それから、やはり被災を受けられた方々は高齢者が多うございますので、バリアフリーですごく快適に過ごせる。令和二年の熊本の豪雨の場合は水害でございましたので、やはり屋根を瓦屋根にしてございまして、これがまた雨音が聞こえませんので、雨音が激しいと非常に不安を感じるという方が多うございました。そういったものには非常に効果的であり、快適に過ごせているというふうに伺っておりますし、喜んでいただいております。また、その後の使い方もそれぞれの市町村でできると。
ここにその地域材、まあ県産材となかなか申し上げられませんが、地域材を使うということは非常に重要でございまして、委員御指摘のように、私も調べましたけれども、四十一都道府県において全木協との協定が締結をされているようでございます。どうもお尋ねをしましたら、年度内であと二県ぐらいは協定を結ぶ県が出てくるようでございます。残りの県に対しても、こういった、日頃から構築をしておく、災害が起きたときの防災協定を結んでおくことは非常に重要であろうと思っておりますので、私も大臣としてしっかりとそのことをサポートしてまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 今日も議論がありましたように、この仮設木造住宅というのはもちろん大工さんを始めとした建築職人の皆さんに仕事をしていただくわけで、この方々にとって、今日も与党からも御議論ありましたけれども、災害現場に真っ先に駆け付けてその技能がしっかり生かせるというのはとても誇りでもあるし、そしてこれが地元の経済をきちんと立て直していく力にも大きくなるし、もちろん被災者には喜ばれるということで、こうした取組を本格的に進めていくというふうにフェーズを変えていくときがもう来たんじゃないかと思うんですよね。
かつては、プレハブに比べたら工期が長くなるみたいなことを言われたことありましたけど、その三年前の熊本豪雨のときもそんなに遜色ない形で造られてきた。やっぱりそういう木造仮設住宅のメリットというのを是非、大臣おっしゃっていただいたように御評価いただいて、積極的に進めていただきたいと思います。
一方で、そう申し上げながら、三年たって仮設住宅から出られないという方々がなおいらっしゃるということも事実でありまして、ピークは四千人超えていました。今年三年目を迎えた六月末には千百二十八人ということになっていたんですが、その後、更に減ってはいるとは思うんですけれども、それでも七百人ぐらいの方が仮設に暮らしていらっしゃると思うんですよ。それは、伺うと、やっぱり被災した、する前の、元の地域に住まいを取り戻したいという思いがやっぱり強かったりということがあると思うんですけど、この方々が安心できる住まいを取り戻すために、大臣、どのように取り組んでいかれますか。
○国務大臣(松村祥史君) お答え申し上げます。
今御指摘をいただきましたまだ応急仮設住宅にお住まいの方々ですが、改めて調べてみますと、本年十月三十一日現在におきまして、熊本県でございますが、四百世帯七百九十八名の方々が生活を余儀なくされていると把握をいたしております。
この背景には、例えば令和二年の水害におきましては、球磨川沿いで被災をなさいました。そして、今後、その水害に対応するための流域治水を今、熊本県、国、各市町村とやっていただいております。そのために、元の場所に帰るためには、護岸の整備であったりいろんな施策が、地域のコンセンサスの取るための段取りが遅れたり、いろんな事情で遅れているのもやむを得ない。また、熊本地震のときも同じように、整地をしなければその場所に戻れない、こういった個々の事情があると理解をしております。
しかしながら、一日も早い、自分のやっぱり生まれ育ったところで生活ができるように、しっかりと県とも連携をしながら御支援をしてまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 高台の移転だったり、堤防や宅地のかさ上げだったり、あるいはその川のしゅんせつや中小河川の本格的な整備だったり、やっぱり政治がやらなきゃいけないことというのが決定的だと思うんですけれども、具体的にはまたいつかの機会に御議論させていただくとして。
そうした中で、やっぱりこうやって三年たった九州豪雨も含めて振り返ってみたときに、被災者の自力では乗り越えられない壁がやっぱりあるんだと。そこをしっかり捉えて災害対策に反映させていく取組が必要だと思うんです。
そこで、災害ケースマネジメントについて私もお伺いをしようと思っているんですけれども、先ほど少し御議論がありました。なので、統括官に一問にまとめてお尋ねしようと思うんですけれども、先ほども御紹介があった災害ケースマネジメント実施の手引き、令和五年三月に出されたものによれば、被災者一人一人の被災状況や生活状況の課題などを個別の相談などにより把握した上で、必要に応じ専門的な能力を持つ関係者と連携しながら、当該課題などの解消に向けて継続的に支援することにより、被災者の自立、生活再建が進むようマネジメントする取組と、これが災害ケースマネジメントと定義されているわけですけれども、現実にはこういう取組を被災直後から自立までつくっていくというのはなかなか大変なことだと思うんですよね。
ここの課題について、どのような御認識でしょうか。
○政府参考人(高橋謙司君) お答えいたします。
今委員御指摘のように、様々な困難を抱え、自らの力だけでは自立、生活再建を実現することが難しい被災者の方に、被災者一人一人の課題に応じて継続的に寄り添って支援を行うことが重要であるということでこの災害ケースマネジメントの取組を行っているところでございます。
一つには、いろんな専門職の方、多職種の方が関わってくるというようなこととか、あと、実際に被災者の方がどういった課題を抱えているか、アウトリーチと言っていますけれども、訪問とかしていろいろ状況をお伺いしてきて、そのニーズ、課題を把握してくるとか、そういう体制を整えたりとかいうところに難しさというか課題があろうというふうに思っております。
こうした観点から、先進事例、好事例を取りまとめた取組事例集とか、こんなふうな手順でやっていけば進められるんじゃないかといった手引みたいなもの、そうしたものを作成して周知しておりますほか、防災のいろんな取組への防災基本計画に基づいていろんな対策計画を立てることになっておりますので、こうした防災基本計画に今年度は災害ケースマネジメントに取り組むべきことを明確化して記載をいたしまして、また、説明会なんかも全国各地で、十四県と連携して実施するというふうなことで浸透、底上げを図っているということでございます。
○仁比聡平君 民間はもちろん、専門家あるいは応援に来る職員とか様々な人たちとの連携が必要で、これをつくり上げていくということだけでも大変な仕事だと思うんですよね。ただ、これを乗り越えていって更に発展させると。
例えば、この間の七月豪雨で久留米市では、お手元に紹介をしていますけれども、エアコンを始めとした家電製品を、合計でいいますと四十万超える金額を支援するという取組が行われています。静岡県の磐田市とかあるいは静岡市などでは、国の基準だとみなし仮設に入れないという方々に対して入ってもらえるように支援しようという取組も行われているようなんですよね。
それは、つまり現場にニーズがあるということだと思うんですよ。そうしたニーズがケースマネジメントの中でフィードバックされて、それが行政の様々な施策にも、その災害の進行中にきちんと応えられるようなものにしていくと、こうした方向に僕は発展させていくべきだと思うんですが、大臣、御認識いかがでしょう。
○委員長(竹内真二君) 申合せの時間が参りましたので、答弁簡潔にお願いいたします。
○国務大臣(松村祥史君) じゃ、簡潔にお答えしたいと思います。
仁比先生と思いは同じでございまして、やはり、法で救えなくて、それにやはり隙間に入ってしまう方がたくさんいらっしゃると。それを歴代の先生方が議員立法でいろんな形で拾っていただいて、何とか、満遍なくとはいきませんけれども、それに応えようとするというのがやはり被災者の皆さん方に対する支援であったように思います。
そのことを重く受け止めまして、内閣府で何ができるか、今後もしっかりと検討してまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 ありがとうございました。