日本共産党の仁比聡平議員は5月9日の参院法務委員会で、民法改正案が債権の消滅時効を延長するにもかかわらず、労働者に対する賃金未払い(労働債権)だけ据え置かれる問題を告発しました。
現行の民法は給料の消滅時効を1年に限定しています。あまりに短いため労働基準法は時効期間を2年としてきました。今回の民法改正案は消滅時効を原則5年に統一するもの。しかし、労基法の労働債権の時効期間は見直されません。
仁比氏が労基法を改正しない理由をただしたのに対し、金田勝年法相は「(労基法の)所管省庁の判断によるもの」と答え、所管する厚生労働省の土屋喜久審議官も「労働政策審議会でさらに議論を深めるべきとの結論にいたった」と責任転嫁。土屋氏は、賃金の関係書類の保全など「企業実務への影響」を見送りの理由に挙げました。
仁比氏は、現在の労務管理は電子データ化されており理由にならないとし、「結局、企業側が未払いを払わず済ませようとするものだ」と批判。ヤマト運輸では20年以上前から賃金未払いが横行していたのに、会社側は労基法をタテに2年分しか払おうとしていないと指摘し、「民法より労基法が労働者を保護しない。逆転だ。労働者だけ特別に消滅時効を短いままにすることは許されない」と強調しました。(しんぶん赤旗 2017年5月10日)