デモが後押し

刑法の性犯罪規定をめぐり、法制審議会(法相の諮問機関)の刑事法部会は2月3日、見直しの要綱案をまとめました。強制性交等罪などの要件を現行の「暴行・脅迫」「抗拒不能・心神喪失」から、「同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難」に改めるのが柱。「同意のない性交」を処罰するよう求める被害の当事者らの声を一定反映し、被害の実態に即した刑法へと一歩前進する内容です。性犯罪・性暴力の根絶を求めるフラワーデモなどで広がった当事者の声が議論を大きく後押ししました。

2月中旬の法制審総会で決定し、斎藤健法相に答申。政府は今国会への改正案提出を目指します。

要綱は他に、性交の同意を自らできるとみなされる性交同意年齢を条件付きで「16歳未満」に引き上げることや、性犯罪の時効を5年延長することなどを盛り込んでいます。時効で18歳未満の被害については、18歳に達するまでの期間を加算します。

他方で、要望が強かった地位関係性(教師と生徒など)を利用する罪の新設は見送り。当事者や支援者は今後の課題として、自発的な同意のない性交を処罰の対象とする「イエス・ミーンズ・イエス」型へのさらなる改正を求めています。
 
 
 
実態に即すよう議論継続を

 日本共産党・仁比聡平参院議員の話 要綱案は、「暴行・脅迫要件」を改正して、「同意しない意思」を「形成、表明、全うすること」が「困難な状態」で行われる性行為を犯罪とし、フラワーデモなどで被害当事者らがあげてきた「同意のない性行為は暴力であり処罰の対象とすべきだ」との声を一定反映させようとするものです。

 同時に、「全う」「困難な状態」とは何かなど不明確な点もあり、「不同意」の証明としてさまざまな要素が求められ、現状と大きく変わらないとの指摘もあります。また、公訴時効や性交同意年齢の見直しは不十分です。

 不同意性交を適切に処罰し、被害の実態に即した刑法改正を実現するため、引き続き真剣な議論が必要です。(しんぶん赤旗 2023年2月4日