長崎で被爆したにもかかわらず、被爆者と認められない「被爆体験者」でつくる長崎被爆地域拡大協議会と、日本共産党の仁比聡平参院議員は7月19日、オンラインで厚生労働省に対し、拡大された被爆体験者事業の問題点を指摘し、改善とともに被爆者と認めるよう要請しました。

 要請では▽すべてのがんを対象とする▽対象外とされていた県外居住者に対し、「医療受給者証」を再交付する際に保証人を要求しない▽県外居住者が診療を受けた場合の窓口払いをなくす▽精神科医の受診強要を廃止する▽被爆体験者を被爆者と認め、被爆者健康手帳を交付する―ことなどを求めています。

 長崎拡大協の山本誠一事務局長は、被爆体験者事業拡大による問題を指摘。「私たちは原爆の後遺症を抱え、高齢となり時間がない。被爆国政府としての役割を果たすべきだ」と迫りました。

 長崎被爆体験者訴訟に関わっている長崎保険医協会の本田孝也会長は、厚労省が盾にする最高裁判決について、「黒い雨」が降ったかどうかを判断していないことなどを告発。元長崎大学教授の吉田省三氏は、長崎の被爆体験者に対しても、広島高裁判決にそって、被爆者援護法の1条3号(放射能の影響を受けるような事情のもとにあったもの)にあたるかどうかが問われていると強調しました。

 仁比氏は、「厚労省は事業拡大による困りごとを把握していないにもかかわらず事業拡大といっているが、実効性がない」と批判し、差別を持ち込まず、すべての原爆被害者を救済するよう求めました。

 内田隆英党長崎1区予定候補、堀江ひとみ長崎県議、大石史生長崎市議も参加しました。(しんぶん赤旗 2023年7月20日)