日本共産党の仁比聡平議員が12月13日の参院本会議で行った、統一協会関連法案への賛成討論の要旨は次の通りです。(関連記事はコチラ)

 本法案に賛成する理由は、訴訟費用の実費負担を行う法テラスの特例援助、対象宗教法人の財産監視制度などに、個々の被害者の統一協会(世界平和家庭統一連合)に対する請求を後押しする一定の意義があるからです。

 しかし、今求められているのは個別支援にとどまりません。声を上げることができない多くの潜在的被害者を含め、長年にわたる統一協会・関連団体全ての被害者の全面的救済のために、被害者・弁護団任せでなく、国が主体的・積極的に教団財産の隠匿や散逸を防ぎ、被害者救済を実効性あるものにする取り組みが求められています。

 文化庁は解散命令請求にあたり、7回の報告徴収・質問権の行使などと併せ、170人を超える被害者らの聞き取りにより事実を積み重ねてきました。遅くとも1980年ごろから「多数の者に、多額の財産的損害や精神的犠牲を余儀なくさせ」たとの認識に到達したことは極めて重要です。

 四十数年の歳月にわたり継続してきた被害の深さと広がり、その元で苦しみ続けてきた信者2世の被害の深刻さは、国の司法制度の下で、正面から捉えられてきたとは言えません。これから救済されるべき被害の全貌は、法案発議者の認識をはるかに超えるものです。

 すべての被害者の被害回復のためには、個々の被害者任せにしては絶対になりません。被害者を個別分断するのではなく、国として、解散命令請求で到達した認識を深め、主体的に包括的救済の道に進むべきです。

 歴代自民党政権が岸信介元首相以来、統一協会と相互に利用し合い、重大な人権侵害の後ろ盾、広告塔となり、被害を発生・拡大させてきた責任は重大です。2019年、自民党本部で当時政調会長であった岸田文雄首相がギングリッチ元米下院議長と面会した際、統一協会関連団体の天宙平和連合(UPF)ジャパンの梶栗正義議長が同席したことについて、事実関係さえ認めず、言い逃れしようとしています。その姿勢自体が、統一協会との癒着が当たり前のように続いてきた自民党の実態を示しているのではありませんか。

 こうした深い癒着を断ち、真剣な反省の上に立って、被害者救済の法整備を進めることは自民党が当然に果たすべき責任です。法案付則に規定された「財産保全のあり方についての検討」について、国会として時を置かず速やかに被害者や弁護団の意見を十分に聴き、実効性ある包括的保全のあり方を含めて行うことを強く求めます。(しんぶん赤旗 2023年12月14日)