日本共産党国会議員団が3月11日に小沢鋭仁環境相に申し入れた「水俣病問題の重要な局面にあたり、すべての被害者の救済のために」の全文は次のとおりです。

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 水俣病問題は、2月23日のノーモア・ミナマタ東京提訴、2月26日のノーモア・ミナマタ訴訟の熊本地裁での和解協議、3月4日のチッソの分社化は違憲だとする日弁連への人権救済の申し立てなど、重大な局面を迎えている。

 日本共産党国会議員団は、昨年11月、政府に対し、「『不知火海沿岸住民健康調査』をふまえ、最高裁判決にもとづいたすべての水俣病被害者の救済を求める申し入れ」を行ったところであるが、政府の対応は「特措法」の枠内にとどまり、被害者の願いに背くものになっている。

 2009年9月の健康調査をきっかけに熊本、鹿児島でも、首都圏でもこれまで水俣病の症状がわからず、名乗り出ていない方々が次々と手を挙げている。被害者の共通の願いは国やチッソ、昭和電工の責任を明らかにし、「水俣病と認めてほしい」「被害にみあった補償を受けたい」「このような悲劇を繰り返さないよう、万全な対策をとってほしい」というものである。いま、重要な局面を迎え大事なことはこの原告・被害者の願いに全面的に応えることであり、国や県が十分な調査もせず被害の全容解明しないまま、すべての被害者を救済することはできない。今度こそ、最高裁判決にもとづいてすべての被害者を救済しなければならない。以下の申し入れを行うものである。

 1、公健法の指定地域及び治療研究事業・新保健手帳の発行地域以外にも水俣病被害者の存在が確認された「住民健康調査」を直視し、すべての被害者を救済するために、不知火海沿岸、及び阿賀野川流域の住民、居住歴のある方々の健康調査を国及び県の責任でただちに実施すること。すべての被害者が救済されずに、加害企業の責任逃れのチッソ分社化だけを認めることは絶対に許されない。国としてチッソの分社化を認めないこと。

 2、公健法の「線引き」を見直すとともに「特措法」による被害者切り捨ての仕組みを根本的にあらためる。とりわけ、最高裁判所判決をもとに、公健法の1977年(昭和52年)の判断条件をあらため、すべての水俣病被害者を救済する恒久的枠組みをつくること。

 3、訴訟原告団・弁護団の「基本要求」を真摯(しんし)に受け止め、「特措法」の枠内での救済に押さえ込むのではなく、国・県・チッソの責任を断罪し、被害者を水俣病として補償した最高裁判決にもとづき、司法救済による迅速かつ広範な救済をはかるため誠実に対応すること。(しんぶん赤旗 2010年3月12日)