日本に暮らす外国人の命を危険にさらす入管法改悪案が6月8日の参院法務委員会で、採決が強行されました。自民、公明、維新、国民の賛成多数で可決され、日本共産党と立民は反対しました。委員会室が騒然となるなか、日本共産党の仁比聡平議員は反対討論で「政府案の立法事実の根本部分にかかわる重大な問題が次々と吹きあげているのに、このまま終局、採決などあり得ない」と主張し、政府案の撤回と審議の継続を求めました。国会前には多くの市民が集まり、「採決反対」のコールが響きわたりました。

 傍聴席には名古屋入管で亡くなったウィシュマ・サンダマリさんの遺影を持った妹のワヨミさん、ポールニマさんの姿もありました。採決を強行しようとする杉久武委員長(公明党)に共産、立民の議員が「採決反対」「人の命を奪うな」と抗議の声をあげるなか、自民党議員が杉委員長の周りにスクラムを組みガードする異様な光景が繰り広げられました。共産、立民は最後まで採決反対の姿勢を貫き、立民の石川大我議員は反対討論で「現段階での採決などあり得ない」「審議は続行すべきだ」と訴えました。

 13分間にわたる反対討論で仁比氏は、「確かに、自民党、公明党、そして法案に賛成する会派の数は、この委員会において多い。しかし、数で決めてはならないことがある」と主張。命、人権にかかわる法案を数の力で強行しようとしていることを厳しく糾弾し、「委員長が職権で終局を宣言したこと自体が、国会の自殺に等しい」と説きました。斎藤健法相は微動だにせずぶぜんとした表情で、与党議員も静まりかえりました。 (質問動画はコチラ)

 さらに、仁比氏は、法案の立法事実が総崩れとなったうえ、大阪入管の常勤医師の酩酊(めいてい)問題など次々と新事実が発覚していることを指摘。入管収容の人権侵害の実態を示し、「民主主義が届かない入管の闇」と強調しました。そのうえで仁比氏は「国家の利益を中心に据えた20世紀の国際法でなく、人間の利益を中心に据えた21世紀の国際法の在り方をしっかり反映させた形で入管法が見直されることを念じている」との阿部浩己参考人の発言を紹介し、「政府案を撤回し、共生への希望を開いていくために、徹底した審議をさらに尽くすことを強く求める」と述べました。(しんぶん赤旗 2023年6月9日)