日本共産党の仁比聡平議員は12月6日の参院法務委員会で、出入国管理法改定案が成立すれば外国人技能実習制度ではびこる劣悪な労働環境やブローカーの介在がますますひどくなると告発し廃案にすべきだと主張しました。(関連記事)
仁比氏は、2012年以降の労働基準監督機関と出入国管理機関との相互通報状況(表)を提示。それによると、入管機関から労基機関への通報は13年以降、一貫して100件台で推移。17年の通報はわずか44件でした。
仁比氏は、13年ごろから、技能実習生の失踪が急増し、入管局が14年以降、失踪した技能実習生から失踪動機などについての「聴取票」を取り始めたことなどを指摘。「現場は格闘していた。労働法令違反の事例はたくさんあったのに通報できていない」として、政府の認識をただしました。
山下貴司法相は「指摘は重く受け止める」としながら、「(入管機関と労基機関の)相互通報制度の運用の問題」などと弁明。仁比氏は「こんな入管局が(改定案のもとで)共生社会の司令塔になるなんてありえない」と批判しました。
さらに、仁比氏は、改定案で設ける外国人労働者の生活や就労の支援の仕組みが、技能実習制度ではびこる「人材ビジネス」の抜け道、温床となる危険性を指摘。ブローカーが支援機関として登録しなくても、「支援の委託を受けることは可能か」とただしました。
法務省の和田雅樹入管局長は「禁止されていない」と答弁。仁比氏が「委託料を取ることもできるか」とただすと、和田氏は「委託料を受け取ることはある」と認めました。
仁比氏は、許可制の技能実習制度でも、高額な家賃や光熱費の天引きがまん延してきたと指摘し、登録制の改定案で、さらに未登録機関への委託まで許せば「支援名目で外国人労働者の管理に関わる者が横行する」と強調。送り出し国での支援も委託できるとなれば、日本での実態把握は困難になり、悪質ブローカーの介入が「もっとひどくなりかねない」と強調しました。(しんぶん赤旗 2018年12月7日)
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