国会では10日の会期末に向けて、国民の声を聞かずに暴走する安倍政権と日本共産党など野党とのたたかいが正念場を迎えています。野党側が徹底審議を求める中、自民、公明、維新の各党は12月6日、衆院で水道運営の民営化を促す改悪水道法の成立を強行したほか、参院では日欧の経済連携協定(EPA)承認案を委員会で可決しました。外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改定案と漁業法改悪案の委員会採決も狙ったものの、野党は厳しく抗議。両案を審議する参院の法務委と農水委の委員長解任決議案を提出したため、両委は散会となりました。両解任案は7日の参院本会議で議題とされます。 (関連記事)

 入管法改定案をめぐり、日本共産党の仁比聡平議員は参院法務委員会で、失踪技能実習生を調査した聴取票(2017年、2870人分)を精査した結果、ベトナム人実習生1061人の85・1%が違法・不正な手数料を取られて来日していたと明らかにしました。

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 ベトナム人実習生は17年聴取分の37%にあたります。仁比氏は、野党共同で集計した聴取票から抽出・精査したところ、ベトナム人実習生の85・1%が、母国の送り出し機関に40万円を超える不正な手数料を取られ、100万円超が65%だと指摘。ベトナム政府や両国間の取り決めで、保証金や40万円以上(技能実習3年の場合)の手数料の徴収は禁止されているのに機能していないと批判。その実態をねじ曲げ“制度全体はうまくいっている”と強弁して実習制度と地続きの新制度をつくろうとしているとして「改定案の根本が間違っている」と迫りました。安倍晋三首相は「不適切な事業者は排除しなければならない」と述べるだけで、実態への認識は語りませんでした。

 山下貴司法相は、仁比氏に対し、17・18両年分の聴取票で違法行為が疑われる実習生受け入れ企業を調査し、来年3月末までに結果を公表すると表明。不正な手数料徴収については、ベトナム政府に協力を求め、「国内でも可能な限り調査する」としました。

 仁比氏は「『可能な限り』とは腰が引けている。監理団体と受け入れ企業を徹底調査すべきだ」と主張。技能実習制度と改定案は別物だと言い張る安倍首相に「詭弁(きべん)はもはや通用しない」と、廃案を強く求めました。(しんぶん赤旗 2018年12月7日)