名古屋出入国在留管理局で亡くなったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの監視カメラ映像の一部が、5月8日の参院法務委員会で閲覧され、理事会メンバーと希望する委員が視聴しました。

 閲覧されたのは、遺族が国に賠償を求めた訴訟で、国が名古屋地裁に証拠として提出した約5時間分の映像。2021年2月22日から亡くなる3月6日までの計295時間の映像を編集したもので、撮影、録音は不許可とされました。

 日本共産党の仁比聡平議員によると、ベッドから転げ落ちてそのまま身動きもできない、座っている状態でも首にまったく力が入らず、首をだらりと倒したまま声をかけても反応しないなどひどく衰弱したウィシュマさんの様子が映っていました。

 仁比氏は、「ウィシュマさんがどうしてこんな死に方をしなければならなかったのかという強い怒りを覚えた」と語りました。07年以降の入管収容中の死亡事件は18件あり、「身柄の拘束が人間の心身にどれほど重大なダメージを与えるのかの認識が入管にはまったくない」と厳しく批判しました。

 さらに、不当な「難民」不認定と司法審査もない人権侵害の収容によって、こうした事件が繰り返されていると指摘。「そこを変えないどころか難民認定申請中の強制送還を可能にするのが(現在、審議中の)入管法改悪案だ。今からでも徹底審議で廃案にすべきだ」と主張しました。(しんぶん赤旗 2023年5月9日)