○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

安倍政権は、九月十九日、ちょうど四か月になりますが、憲法破壊の安保法制、戦争法案を強行いたしました。しかし、市民や学生、ママの会、学者や文化人、宗教者、そして労働者、戦争法は廃止、立憲主義を取り戻せと、この世論は広がるばかりであります。

総理、改めてお伺いをしたい。この国民多数の声をどう受け止めているのですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この平和安全法制は、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、平和な暮らしを守るために必要な法制でございます。今後とも、国民の皆様に求められればしっかりと説明していきたい、また、理解をしていただくために説明していく努力をしていきたいと、こう思っております。

衆参の特別委員会におきましても、二百時間を超える審議を行い、私自身も千回を超える答弁、また中谷大臣も二千回を超える答弁をしたわけでございまして、相当の審議の上に、野党からも、三党の野党の方々に賛成をしていただきまして成立をしたわけでございます。その意義、意味についてもしっかりと説明をしていきたいと思いますし、また、多くの国々からこの法案に対する理解と支持が寄せられていることから、戦争法案ではないことは明らかであろうと、こう考えているところでございます。

○仁比聡平君 どうごまかしても、この議場でのあの強行を国民が忘れることはありませんよ。我が国が攻撃されていないのに海外で米国の戦争に参加し、武力を行使する集団的自衛権を柱とした戦争法が国民の理解を得られることはありません。戦争法は廃止すべきであります。

我が党が法案審議の国会で明らかにした、河野統幕長が一昨年十二月、訪米した際に米軍トップと会談したときの会談記録では、今防衛省が一気に進めている水陸両用部隊についても重要なやり取りがあります。

河野統幕長は、ダンフォード海兵隊司令官に水陸機動旅団の創設や日米共同訓練に更に積極的に参加する意欲を表明し、米側の支援を要請した上で、大臣、いいですか、集団的自衛権の行使が可能となった場合は自衛隊の役割も拡大することができ、自衛隊と米軍の協力も深化するものと確信していると述べました。これに米海兵隊司令官はこう答えているんですね。水陸両用の訓練、ドーン・ブリッツやアイアン・フィストにおいて水陸両用の能力、相互運用性は高まった、今後は政治的な法解釈の枠組みが整備されることで真の意味で役割が拡大すると考える、オスプレイMV22、水陸両用車AAV7への協力は惜しまないと。

大臣、これはつまり、戦争法の強行によってオスプレイや水陸両用部隊の役割が真の意味で拡大するということです。会談記録の内容は確認されましたか。

○国務大臣(中谷元君) 昨年の九月二日に参議院の平和安全法制特別委員会で仁比委員が提示した資料につきましては、防衛省においてその存在の有無を調査をいたしましたけれども、昨年の九月の委員会でもお答えをいたしましたとおり、当該資料と同一のものの存在は確認をできませんでした。

お尋ねのことでありますが、統幕長が米国防省及び米軍幹部と行った一連の会談、この内容を公表することを前提として行われたものではございません。相手方との関係もありまして、会談の記録を明らかにすることはできないということは御理解いただきたいと思います。

なお、西方に予定をいたしております部隊の配備等におきましては、防衛計画の大綱にも示されているとおり、現下の安全保障環境を踏まえて、島嶼部に対する攻撃への対応に万全を期するために水陸両用作戦能力の着実な整備が重要と考えておりまして、佐世保地区に陸自の水陸両用部隊を配備するという計画を有しているということでございます。

○仁比聡平君 その議論はこれからしたいと思いますけれども、大臣と。

つまり、水陸両用部隊などの役割が安保法制の強行によって真の意味で拡大すると海兵隊司令官が言っている、これ極めて重要なやり取りでしょう。政府は国民に説明する責任がある。私は、改めてこの会談記録の提出を強く求めたいと思います。

大臣は答えようとしませんが、実際に具体化が進んでいるわけですね。パネルは佐世保港の様子です。(資料提示)このように、明治以来、強大な海軍基地とされ、米海軍と海上自衛隊の基地と艦船がひしめき合っております。このど真ん中にある、赤で囲みましたけれども、崎辺町の西側の地区、ここを、昨年十二月、防衛省は佐世保重工業から取得をいたしました。

次に、パネル、防衛省の崎辺地区施設整備構想(案)という資料ですけれども、この佐世保重工業から取得した土地、何のために取得し、どう進めるというのか、大臣、答弁を願います。

○国務大臣(中谷元君) 防衛大綱や中期防に基づきまして今後新編されるこの水陸機動連隊のうちの一つは、西方方面普通科連隊を母体として相浦駐屯地に新編をする予定でございます。

水陸両用車を運用する部隊につきましては、当該部隊との密接な連携を確保する観点から、水陸両用部隊の保持要領、そして水陸両用部隊と海上自衛隊の輸送艦の連携要領などについて具体的な検討を進めてきたところであります。

防衛省といたしましては、この水陸両用車を運用する部隊につきまして、水陸両用に搭載、搭乗する水陸機動連隊の近傍、ここに位置をし、海上自衛隊の艦艇に搭載して輸送することになるために、搭載が容易な港湾等の近傍に配備、配置することで迅速に南西地域に展開することが可能であるということが重要であると考えまして、佐世保市崎辺西地区に水陸両用部隊を配置することといたしております。

○仁比聡平君 水陸両用部隊というのは、つまり迅速で大規模な輸送・展開能力を持って本格的な水陸両用作戦を行う、そういう部隊であり、防衛省に伺いますと、この工事に来年度中には着手したいという計画です。

それだけではないんですね。この東側の地区、昨年夏に日米間で返還を合意をしましたが、ここはどうするんですか。

○国務大臣(中谷元君) 現在、この水陸両用部隊につきましては、この崎辺地区に水陸両用部隊を配備するという計画でございます。

○仁比聡平君 東側。通告しているじゃないですか。

○国務大臣(中谷元君) 崎辺の東地区につきましては、大型護衛艦等の艦艇が係留可能な大規模な岸壁等を整備する予定でございまして、今年度は必要な施設を検討するための調査及び検討を実施するということにいたしております。

○仁比聡平君 この防衛省の資料にも、DDH、つまりヘリ空母ですよ、大型護衛艦や「おおすみ」型輸送艦が係留可能な大規模な岸壁をL字形でこうやって整備すると。この米軍から返還された土地というのは、元々、米軍の上陸用舟艇LCACというのが、駐機場があったところですけれども、これを二百五十億円掛けて移したその跡地なんですね。今度はここに海上自衛隊の基地を造るということになれば、米軍に提供されていない僅かな水域の自由さえ奪われることになります。米海軍や海兵隊と同じように、水陸両用車って二十二トンもあるわけですけれども、これが海で訓練をし、オスプレイも着艦できるヘリ空母で出撃する陸海一体の新たな基地をこの佐世保港のど真ん中に造るという恐るべき新基地建設ではありませんか。軍事に軍事をもって対抗することは軍事的緊張の拡大と悪循環をもたらす危険な道であり、平和的環境をつくることこそ、その外交力こそ私は重要だと指摘をしたいと思うんですね。

海上自衛隊の香田洋二元自衛艦隊司令官が国会で、上陸作戦能力、大規模な戦略的輸送能力、あるいは水陸両用作戦能力というのは海外派兵につながるということで、つい十年前まではタブーだったとこの国会で述べられたことがあります。これはつまり、憲法九条の下でまさにタブーとされてきた海外派兵につながる水陸両用部隊の基地を造るということなんじゃないんですか、大臣。

○国務大臣(中谷元君) その発言は数年前のものでございましたが、現下の安全保障環境を踏まえますと、島に対する攻撃への対応に万全を期するために、やはり水陸両用作戦能力の着実な整備が必要となっておりまして、これはもう既に防衛大綱に記せられておりますけれども、御指摘のその水陸機動団に加えまして、この水陸両用部隊と連携を図るべく、海上自衛隊の大型護衛艦や「おおすみ」型の輸送艦等が係留可能な大規模な岸壁等を整備する必要があると考えておりまして、しっかりと連携して対応できる、こういう必要性があるわけでございます。

○仁比聡平君 島嶼防衛だと、あるいは専守防衛だと、そんなふうにおっしゃるけれども、我が国が攻撃されていなくても存立危機事態だと政府が判断すれば、海外における武力の行使を自衛の措置だと、これまでの専守防衛の意味も一内閣の閣議決定で百八十度転換して、戦争法を強行したのが安倍政権です。そんなことで、そんなごまかしは、私は通用しないと思うんですね。

同時に進められているオスプレイの佐賀空港配備問題についても聞いておきたいと思います。

この問題で私は総理と度々議論をさせていただいてまいりました。昨年二月も、そして、戦争法案審議のさなか、強行された九月にも、総理は現時点で地元の了解は得られていないものと認識しておりますと御答弁をされました。その認識は変わらないと思いますけれども、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 現時点において地元の了解は得られていないものと認識しております。

○仁比聡平君 了解は得られていない以上、事を進めることはできないと、それが民主主義というものであります。

なぜ地元の了解が得られないか。それは、佐賀空港の成り立ちの根本に照らして、軍事基地化はあり得ないからです。豊かな有明海の漁場を汚す空港建設は絶対反対、一番怖いのは自衛隊の基地化だと、生活を懸けた漁業者、住民の壮烈な闘いの歴史を経て、この佐賀空港建設に関する公害防止協定書、これが交わされました。「覚書に「自衛隊との共用はしない」旨を明記されたい。「県の考え」県は佐賀空港を自衛隊と共用する考えを持っていない。」、これは極めて厳格な、そして重い約束なんですね。

大臣に伺いたい。この協定の重みをどう考えているわけですか。

○国務大臣(中谷元君) 防衛省といたしましては、公害防止協定の附属書の中で、佐賀県が佐賀空港を自衛隊と共用するような考えを有しておらず、自衛隊との共用に伴い、空港施設、また空港の運営を変更するような場合には、佐賀県はあらかじめ漁協と協議をする旨規定をされているということは承知をいたしております。

防衛省といたしましては、佐賀空港へのオスプレイの配備に当たりまして、あくまでも民間空港としての発展や機能を損なわないことを前提に検討を進めておりまして、騒音、安全といった地元の方々の御懸念に対しまして、引き続き丁寧な説明に努めて御理解を得てまいりたいと思います。また、昨年十一月に私も佐賀県を訪問いたしまして、知事さん、市長さん、また漁協の関係の方々にお話をいたしまして御理解を求めているところでございまして、今後、細部、環境等につきましても、引き続き御理解が得られるように努めてまいりたいと考えております。

○仁比聡平君 御理解を求めてまいりたいと言いますけれど、大臣が十月に訪問したとき、佐賀の有明漁協からは、自衛隊が来ても同じ、事故の可能性は捨て切れないと怒りの声が上がったじゃありませんか。米軍でも自衛隊でも軍事基地化はしない、させない、あり得ないと。その協定の重みを元々知ろうともせず、佐賀空港配備を持ち出したのが防衛省であります。

約束は重い。だから、オスプレイ配備は白紙撤回しかないのであります。戦争法の具体化の一切をやめ、その廃止を強く求めて、私の質問を終わります。