○仁比聡平君 私は、日本共産党を代表して、昨日、衆議院において、TPP、環太平洋経済連携協定承認案及び関連十一法案の強行突破という暴挙を行った政府・与党に対し、断固として抗議するとともに、本日の本会議で趣旨説明、審議入りすることに反対の意見を表明いたします。
安倍内閣は、アメリカの批准を後押しするとか日本がリードすると言ってきましたが、そのアメリカ大統領選挙において、TPPは最悪の協定だ、大統領の就任初日に離脱を宣言すると繰り返し表明してきたトランプ氏が次期大統領に決まったのです。もはやTPP発効の見通しは極めて不透明となる中で、その国際政治の行方を見極めもせず、政府・与党は、何をどう審議しようというのでしょうか。我が党は、徹底審議の上、廃案にすべきことを強く主張してきましたが、政府の立場に立っても、もはや審議を進める前提が崩れているというべきです。
TPPは、農業と食の安全、知財、医療、保険、公共調達など、国民経済、国民生活のあらゆる分野で関税及び非関税規制を原則撤廃し、多国籍企業と投資家の利益のために主権を侵害するISDS条項など重大問題をはらんでいます。大統領選挙の結果は、その多国籍企業中心のグローバル経済が陥っている深刻な矛盾と行き詰まりを示しています。
政府・与党は、これまで批准ありきの強引な運営、その中で行われた山本農水大臣の二度にわたる強行採決発言にもかかわらず、事態を打開する何らの提案さえせずに強行採決を繰り返して国会審議を壊してきました。今や政府の批准提案の大前提が全く変わってしまったのに、立ち止まりも見極めもせず、今国会で承認、成立を図ろうとするなど言語道断であります。
猛省を強く求め、意見といたします。