【16.04.04.】決算委員会『有明海の再生の道は開門以外にない』

190回国会質問 国会質問一覧

 

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。大臣、今日はどうぞよろしくお願いいたします。

私は、諫早湾干拓の開門と有明海再生問題についてお尋ねをしたいと思います。

国営諫早湾干拓事業ですが、これの着工というのはもう相当遡って一九八九年になります。タイラギという有明海特産の貝柱で、皆さんもすし屋さんなんかで食べますが、あの大量死滅が始まったのは一九九一年です。ですから、今年で四半世紀、二十五年にもなるんですね。

多くの方が記憶をしておられると思いますが、潮受け堤防の閉め切り、これギロチンと呼ばれましたけれども、あれは一九九七年のことで、もうすぐ二十年になろうとしているわけです。そのギロチンの後、二〇〇〇年から二〇〇一年にかけて有明海全域に広がった赤潮で、ノリ養殖は大変な凶作、大凶作になりました。有明海にはクツゾコと呼ばれるシタビラメやカニ、タコなどの本当に豊かな漁獲がありましたけれども、こうした漁船漁業も以来成り立たなくなってしまって、こうした漁業被害というのは時を重ねるとともに深刻になり、積み重なってきているわけです。かつて宝の海と呼ばれた有明海は瀕死の海と呼ばれるようになり、漁業と地域経済に重大な被害が及び続けているわけですね。

ところが、政府は中長期の開門調査に背を向け続けてきました。この間、ノリ大凶作を受けて、二〇〇二年に議員立法で有明海再生特別措置法というのが成立し施行をされましたが、この特措法に基づく有明海再生対策事業もあくまで開門抜きで行われてきたわけです。

そこで、まず、この有明海再生特措法に基づく事業費の実績について各省にお尋ねをしたいと思います。

この特措法で、主務大臣は、農水省、環境省のほかに文部科学省、経済産業省、国土交通省、総務省というふうにされております。それぞれ、二〇〇二年、つまり特措法が施行された平成十四年以降、有明海再生事業費として各省からの拠出はあるか、それぞれ、農水省、環境省以外の省庁にまずお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(白間竜一郎君) お答え申し上げます。

文部科学省に関してでございますけれども、文部科学省では、有明海等の特措法に基づきました、直接それに関係した事業、これは実施をしてございません。なお、大学等におきまして、有明海及び八代海の環境変化、こういったものに関連した研究というものは実施している例はございます。そういった現状でございます。

○政府参考人(三又裕生君) 経済産業省に関しましてお答え申し上げます。

有明海特措法第四条に基づく基本方針におきまして、工場等の排水処理施設の整備及び処理の高度化等を促進することとされております。経済産業省といたしましては、有明海特措法の対象となる地域に特化した支援措置、予算措置は講じておりませんけれども、この基本方針に示されている工場等の排水処理施設の整備等に活用し得る支援措置として、固定資産税の課税標準の特例措置や日本政策金融公庫による長期低利融資制度等を講じているところでございます。

○政府参考人(金尾健司君) お答え申し上げます。

国土交通省においては、有明海及び八代海等の再生のための特別措置に関する法律に基づき特別に措置した予算はございませんが、法を踏まえ、次のような取組を実施しております。

まず、河川においては、有明海、八代海に流れ込む筑後川等の一級河川を適切に管理する観点から、これらの河川の水質のモニタリングを実施しております。次に、筑後川等においては、出水等により変化する川の断面の形状や土砂の粒径等の観測を行うなど、有明海への土砂供給を含め、土砂動態に関する調査を行っております。また、関係自治体への社会資本整備総合交付金を通じ、汚濁負荷削減に寄与する下水道整備の促進を行っております。さらに、有明海、八代海等において、船舶の航行安全の確保や海洋の汚染を防除するため、海洋環境整備船による漂流ごみの回収等を行っております。

今後も、有明海、八代海の再生に向けてこうした取組を進めてまいります。

○政府参考人(原田淳志君) お答えいたします。

総務省は、地域の振興に関する政策の推進や国と地方公共団体の連絡調整、これを所掌事務としておりますので、特別措置法の主務省庁の一つとなっているところでございます。なお、特別措置法に関し、総務省としては国費による事業は実施していないところでございます。

以上でございます。

○仁比聡平君 お聞きいただいたとおり、その四省については、有明海再生ということを目的にした、直接といいますか、目的とした事業とその予算というのはこれまでないわけです。

今日はこれ以上これまで御答弁いただいた皆さんに質問はございませんので、委員長、よろしければ、もう退席いただいて結構でございます。

○委員長(小泉昭男君) どうぞ御退席ください。

○仁比聡平君 そこで、農水省とそして環境省にお尋ねをしたいと思うんですけれども、配付をさせていただいた資料の二枚目に、農村振興局から御提出をいただいた資料を配らせていただきました。御覧のとおり、上の段、平成二十一年度から平成二十六年度の決算まで調査委託事業としておよそ十七億円、それから平成十七年度から二十六年度まで環境対策調査としておよそ三十二億円が、これ国が全額負担をし、地元負担はないという事業ですけれども、支出をされているわけです。

これ、局長、簡潔に御説明いただけますか。

○政府参考人(末松広行君) 先生、資料のとおりでございまして、有明海の再生は重要な政策課題であると認識し、農林水産省のうち農村振興局としては、平成二十一年度から平成二十六年度の六年間において有明海特産魚介類生息環境調査委託事業を実施しております。具体的には、約十七億円の国費で、特産魚介類の生息状況や最適な底質、水質の生育環境に関する調査を行ってきたところでございます。

また、もう一つ言及のありました、平成十七年度から平成二十六年度の十年間におきましては国営干拓環境対策調査を実施しております。具体的には、約三十二億円の国費で、貧酸素現象や赤潮等の調査、ナルトビエイが二枚貝類に与える食害に関する調査などを行ってきたところでございます。

○仁比聡平君 合わせて、平成二十六年度までにおよそ四十九億円ということなんですね。

次の三枚目に、水産庁から御提出いただいた資料を配らせていただいています。これ、上と下でちょっと性格が違いますので別に確認をしますが、まず上の段、実証事業・技術開発事業というものですけれども、これはおよそ七十三億円となっておりますが、これは国が全額負担をしているものです。

簡潔に、水産庁、御説明ください。

○政府参考人(佐藤一雄君) お答えいたします。

今先生御指摘ございましたが、水産庁におきましては、漁場環境の改善あるいは生産力の向上のための調査、そして増養殖技術の開発などの実証・技術開発事業を実施しておりまして、平成十七年度から平成二十六年度までの合計で約七十三億円と、このようになっておるところでございます。

○仁比聡平君 下の段を続けて長官にお尋ねしますが、公共事業(覆砂等)という事業ですね、これ下の米印のところにありますように、この国費執行分というのは八代海で行われているものも含んでいるわけです。

そこで、内訳について、次の次の資料にA3の有明海の図がありますけれども、有明海においてどのような漁場整備が行われてきたかということで、地図の島原半島の内側、つまり有明海側、それから三角半島より北側、有明海側ですね、この沿岸地先で行われてきたもの、金額がそれぞれ書いてありますけれども、これを足しますとおよそ三百十一億円になります。

元々この事業は、国費からの補助に加えておよそ二分の一の地元負担分を含んでいるわけですけれども、つまりこの三百十一億円というのが行われてきた事業費のおよそ総額という理解でよろしいでしょうか。

○政府参考人(佐藤一雄君) お答えいたします。

今先生の方から御指摘ございましたように、有明特別措置法に基づきまして補助率かさ上げ措置の適用を受けました漁港漁場整備事業ということで、御指摘ございましたように、覆砂あるいは海底耕うんといったような事業を行っているわけでございますが、その実績額といたしまして、平成十四年度から平成二十六年までの国費の合計でございますが、約百九十二億円と相なっているところでございます。

○仁比聡平君 国費が百九十二億円となっていて、有明海の沿岸地先の分は、およそですが三百十一億円、これは地元の負担分も合わせてですが、そうではないですかと聞いているんです。

○政府参考人(佐藤一雄君) 御指摘のとおり、地元負担でございます。

○仁比聡平君 地元負担も含めて、事業費、国、県など地元が負担している分も含めておよそ三百十一億円ではないですか。

○政府参考人(佐藤一雄君) 御指摘のとおりでございます。

○仁比聡平君 つまり、平成二十六年度までに、農村振興局、水産庁の分、合わせて四百三十三億円という税金が有明海再生対策事業として投じられてきたということなんです。しかし、これらは全て開門抜きで行われてきました。

そうした中で、資料一枚目にお配りしましたが、今、長崎地方裁判所で行われているこの問題についての和解協議について尋ねたいと思うんです。

一月十八日に長崎地裁が示した和解勧告というのは、の中心部分を抜粋しましたけれども、つまり、開門することなく国が開門に代わる再生事業を充実させ、漁民に対して支払済みの間接強制金に上乗せした解決金を支払えばどうかと、そういう裁判所の案なんですけれども、これは有明漁民にとっては到底受け入れられないものです。

大臣は、政府としてこの和解勧告をどう受け止めておられるでしょうか。

○国務大臣(森山裕君) 仁比委員にお答えいたします。

委員御承知のとおりなんですけれども、諫早干拓の開門問題につきましては、国は開門義務と開門禁止義務の相反する二つの法的な義務を担っておりまして、いずれの一方の立場に立つことができない状況でございます。このような中、本年一月、長崎地裁から、開門によることなく有明海全体の漁業環境を改善する方策を検討し、全体の解決を図る和解の協議をすべき旨の勧告が行われたところであります。

この問題について、裁判所から和解に関する方向性が示されたのは初めてのことであり、重く受け止めております。このため、政府としては、この和解協議の場を大事にしたいと考えており、裁判所の訴訟指揮に従いつつ、問題解決に向けて真摯に努力をしてまいりたいと考えております。

○仁比聡平君 そのように、大臣も、そして農水省もこの間繰り返してこられたわけです。開門義務が消えることはない、農水省の農漁共存の開門事業についての責任は重いと、私はこれまで繰り返し求めてまいりましたけれども、今日はその点は後でちょっと議論をしたいと思うんですね。

お尋ねしたいのは、この和解勧告の抜粋で、私がちょっと赤く示した部分についてなんです。つまり、開門に代わる事業、今大臣の答弁にもありましたが、この開門に代わる事業というのは一体何なのかということなんですね。

裁判所は、被告国は開門に代わる漁業環境改善のための措置を検討、実行すべきであると。この措置は、これまでの取組に加え、開門に代替するものとしての相応の規模をもって、かつ、確実に実施されるものでなければならないというふうにしているわけですね。

大臣、この検討、実行が求められている開門に代わる漁業環境改善のための措置、これは国としてはどんなものとして考えていくわけですか。

大臣、せっかく大臣手を挙げていらっしゃるので。

○政府参考人(末松広行君) 済みません、じゃ先にお答えさせていただきます。

今先生御指摘になった和解勧告の文章でございますが、この文書はその文章のとおり提出されておりますので、御指摘の内容については、どういうふうに判断するべきかというのは明確に示されておらず、和解協議が行われている中で、政府としての解釈をお答えするのは適当でないというふうに考えてございます。

○仁比聡平君 いや、今の局長の御答弁に国の不誠実さが表れている。大臣は、裁判所の指揮に従って真摯にというふうに先ほどおっしゃいましたけれども、ところが、この、つまり国に求められている開門に代わる漁業環境改善のための措置というのを求められた国としてどう考えるのかということをこの委員会で答弁すること自体ができないんだと言っているわけでしょう。

もうこれ、一月十八日に示されてから三か月近くになるんですね。次回の和解協議というのは来週四月の十一日に行われるわけですが、本当に検討をしてもらおうと思うなら、その前に、つまり今週中にでも出すのが当たり前だと思うんですけれども、大臣、お出しになるんですか。

○国務大臣(森山裕君) 長崎地裁の和解勧告に対する国の考え方につきましては、和解協議の場においてお示しさせていただくことになるというふうに考えておりまして、この場でのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

○仁比聡平君 和解協議の場で示すんだと、今この場では言わないんだというお話なんですが、大臣、そうすると、四月十一日の和解協議には出すんですか。

○国務大臣(森山裕君) 三月一日の和解協議では、次回においてですから今度のことになると思いますが、開門に代わる漁業環境改善のための措置の検討状況について報告をするように求められておりますので、その内容までは求められていないと理解をしているところでございまして、四月十一日の和解協議においてはその検討状況について示させていただきたいと考えております。

○仁比聡平君 つまり、検討状況であって、内容は示さないとおっしゃっている。

大体、その内容を考え方さえ示さない検討状況の報告なんてあるのかと思いますけれども、示せないし、示すとも答弁ができないというのは、裁判所が求めている開門に代わる漁業環境改善措置というものが元々不可能だからなのではないのかと。

裁判所は、「これまでの取組みに加え、開門に代替するものとして」云々というふうに次のくだりにありますよね。この「これまでの取組み」というのは何かというと、先ほど農水省、水産庁に確認をした四百三十三億円の有明海再生対策事業のことを私は指していると思いますが、大臣はいかがですか。

○政府参考人(末松広行君) お答えします。

これまでの取組については、先生お話しのように、過去のやってきたことを示すという考え方もあると思いますし、そのうちのどの範囲、どういうものを指し示すかというのはこれからよく検討して、また今後何をするかということについても検討していきたいというふうに思っております。

○仁比聡平君 大臣、聞いていらして、何をおっしゃっているか分からないでしょう、局長が何を言っているか。

だって、私、確認したじゃないですか。有明海特措法の主務省庁が、農水省とこれから後に聞く環境省以外はありませんと言っているわけですよ、事業費。先ほど確認した以外の事業なんてないでしょう。裁判所も、その下のパラグラフで開門判決の不執行の合意が不可欠というふうに述べているとおり、漁民、漁業者が納得する開門に代わる措置というのを求めているわけです。

私は、これまでの有明海再生事業を見たときに、開門に代わるこうした措置という考え方そのものが成り立たないと思うんですね。

そこで、環境省にお尋ねをしますが、資料の中に環境省の資料もお付けをいたしました。有明海再生特別措置法で有明海再生事業についての評価を行うというのが環境省が所管される有明海・八代海等総合調査評価委員会ですけれども、この予算、そしてその目的というのを簡潔に御説明ください。

○政府参考人(早水輝好君) お答えいたします。

有明海・八代海等総合調査評価委員会でございますが、国や関係県が行う総合的な調査の結果に基づいて有明海、八代海等の再生に係る評価を行うために設置をされております。関連調査の平成二十八年度の予算額は一億三千二百万円でございます。この調査は、評価委員会が有明海、八代海等の再生に係る評価を進めていくために必要な様々な環境のデータを得ることを目的として実施をしております。

○仁比聡平君 つまり、御説明のとおり、総額でおよそ二十一億円を掛けて調査そして評価を行ってきたわけです。

そこで、お尋ねしたいんですけれども、二〇〇二年以来、およそこの十四年間で、環境省、そもそも有明海の環境というのは良くなったんでしょうか。

○政府参考人(早水輝好君) お答えします。

環境の状況の評価につきましては、まさしくこの有明海・八代海等総合調査評価委員会、それから、その下の今作業小委員会がございますけれども、ここにおきまして、これまでの調査で得られましたデータを基に有明海、八代海等で生じている環境の変化等に関する今評価、検討が進められているところでございますので、その委員会報告の取りまとめに向けて今議論を進めていただいているところでございます。

○仁比聡平君 いや、十四年間掛かって取りまとめを行っているところと言うだけで、良くなったのかそうでないのかというお答えもできないのかということなんですよね。

平成十八年にその評価委員会が最初の報告書を出しておられます。この中には再生の目標としてこう書いてあるんですね、「有明海で資源量が大きく減少している特定の二枚貝を再生させることは、底質環境の改善の目安ともなり得る」。これつまり、先ほど御紹介したタイラギだとかあるいはアゲマキやサルボウだとか、こうした二枚貝、アサリだとかですね、これが大きく減少していると、この平成十八年報告時点で。これが再生をできるかどうか、これが有明海異変の原因として指摘をされている底質、海の底ですね、ここの環境の改善の目安ともなる。つまり、二枚貝というのは底質が良くないと生き延びれないわけで、大きくならないわけで、この二枚貝が復活するということがつまり底質が良くなるというあかしですとおっしゃっているわけですよね。実際には、アサリ、タイラギ、サルボウも、何でもかんでもなんですけど、極めて深刻な事態が続いているわけです。

環境省、もう一回聞きますが、有明海は良くなったんですか。

○政府参考人(早水輝好君) お答えいたします。

今、評価委員会におきまして、まさしく御指摘のタイラギ、アサリなど有用二枚貝の減少の状況を評価をして、その主な原因、要因についての検討が進められております。ですから、この二枚貝の再生と環境回復との関係について、今底質のデータなども併せて評価しておりますので、そういったところで併せて検討を進めていきたいと考えているところでございます。

○仁比聡平君 検討をまだ進めたいと言うばかりで、良くなったとは言えないわけですよね。

水産庁に確認をしますが、有明海沿岸の四県の漁業協同組合も参加して有明海漁場環境改善連絡協議会というのがずっと行われていますが、三月七日のその協議会の場で、一つはアゲマキですね、このアゲマキの放流をしていると。その中で、その貝の肥満度をよく見ると九月から十一月にかけて産卵をしているということが確認される、これは種苗の放流が一定の効果を上げているという報告があります。つまり、アゲマキを放流すると赤ちゃんは産まれる。

けれども、かつては、有明海の干潟というのは、子供たちが放課後行って、ざくざくとバケツいっぱいアゲマキを捕れるような海だったんですよ。今はアゲマキ全然いないじゃないですか。そうですね。

○政府参考人(佐藤一雄君) お答えいたします。

今の先生から御指摘ございましたアゲマキでございますが、有明海漁業振興技術開発事業によりましてアゲマキの放流を行ってきておるところでございまして、平成二十一年度から実施しているわけでございますが、昨年は佐賀県の太良町牟田地先で三十六・六万個体、鹿島市浜地先で五十五・六万個体の種苗放流を行ったところでございます。

佐賀県の調査によりますと、放流された個体が親貝となりまして産卵していることが平成二十七年に確認されており、種苗放流が一定の効果を上げつつあると認識しているところでございます。

しかしながら、試験出荷の段階で商業漁獲には結び付いていませんから、今後もアゲマキの種苗放流の実施事業に取り組みましてアゲマキの資源増大を図っていく考えでございます。

以上でございます。

○仁比聡平君 商業漁獲には結び付いていないというのは、つまり捕れていないということなんですよ。

タイラギはどうか。これも水産庁に確認ですが、タイラギと覆砂の効果の実証実験、実証事業で平成二十年から平成二十七年の結果を見ると、平成二十二年から数年間これは浮遊幼生の数が非常に多いという状況だが、ここ数年来は浮遊幼生の方が非常に少ないと。つまり、せっかく覆砂をして場所をつくっても、ここにタイラギが育たない、元々赤ちゃんがいないんだからそれはそうだという、そういう結果ですね。

○政府参考人(佐藤一雄君) お答えいたします。

今、タイラギの実証調査におきましては、有明海の湾央部の七地点でタイラギの浮遊幼生数の出現状況を調査しているところでございます。その結果、浮遊幼生の出現状況につきましては、平成二十年から二十三年にかけましてはタイラギの浮遊幼生が最大で一立米当たり七十個体確認されていたわけでございますが、二十七年度の結果では最大三個体、一立米当たり三個体と相なっているところでございます。このため、その原因究明と併せまして、タイラギのやはり種苗放流ということが重要と認識しておりまして、四県及び当方の水研センターの西海区水産研究所によりましてタイラギの種苗生産技術開発に現在取り組んでいるところでございます。

○仁比聡平君 つまり、四百三十三億の事業費を費やして有明海の諫早湾干拓事業の開門に代わる漁場改善の措置ができないかと、そういう方策ないかとずっと二〇〇〇年代の初めからやってきたけれども、その改善の目安となると環境省も言ってきた二枚貝の回復は全くなされていないどころか逆に深刻な状態に落ち込んでいるということなんですよね。

こうした下で、大臣、御存じでしょうか。タイラギというのは、かつては、つまり干拓事業が始まる前までは年間一千万から二千万円の水揚げがあって、タイラギ御殿が建つというふうに言われていました。ところが、その漁業者たちは、今や夏にクラゲが捕れるかどうか、それで生き延びているという、そんな事態にあるわけです。

アサリの放流、あるいは水産庁から先ほど養殖の研究の話がありましたけれども、これ補助を受けて、例えば二・四トンを中国から成貝を放流しても、水揚げは一・七トンにしかならない。つまり、補助を受けて放流した分が捕れない、逆にその七割しか捕れない。ですから、補助分の水揚げさえないというのが有明海漁業の今の現実なんですよ。諫早湾内にある瑞穂漁協というところの組合長は、国がしていないのは開門調査だけだというふうに語気強く訴えておられます。

そこでお尋ねしたいんですけれども、大臣、私、国がすべきは、この開門に代わる措置というのはこれは現実にはないんだ、無理なんだということを和解協議の場ではっきりさせて、開門すれば調整池が海水になりますから、だから、利水、防災、これを調整池に頼らずに進めていくという、この方策は絶対に必要なんですね。この事業を農水省が責任持って実行していく、その内容を協議するという場に和解協議の主題を変えるべきじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。

○国務大臣(森山裕君) 裁判所の訴訟指揮に従いまして真摯に対応してまいりたいと考えております。

○仁比聡平君 私は、二年近く前の平成二十六年五月二十六日のこの委員会で、干拓営農者が長く苦しんできた恒久的な農業用水の確保の案も示して検討を求めたんですが、伺うと、その後二年近く農水省は全く検討していないそうです。

漁民も農民もこれでは解決しないと言っているのに、農村振興局が言ってみれば上から目線で決めたこの案を押し付けるばかりで、唯一の選択肢だとでも言うのかと。代わる措置も明らかにできない、開門の事前対策を見直す検討すらしない、こういう農水省の無責任、未曽有の環境破壊への無反省は私極まれりだと思うんですね。

大臣、有明海再生問題の解決のためには、この農漁共存の開門を具体化する農水省の責任、政府の責任、これこそが本当に大事だと思いますが、大臣、いかがですか。

○政府参考人(末松広行君) 今先生お話ありました点について、いろいろな対策、特に、平成二十六年五月の決算委員会で委員から御提案あった、本明川にまた河口堰を設けて取水をするということ、これについては、そのときにもお話ししたかと思いますが、代替水源の一つの方法として検討を行った経緯がございます。その検討の中で、新たにまた河口堰を造るということは、治水への影響や上流域への塩水遡上の防止の観点から強固な構造の河口堰が必要となり、調査、設計や工事の実施に長期間を要することなどが想定されたため、今の代替水源案というようなことになっているということでございます。

現在、裁判所の訴訟指揮に基づいて、我々としても真摯な検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

○仁比聡平君 質問時間が参りましたので、大臣の御答弁を聞くことさえできないのかという終わり方になっちゃって本当に残念なんですけど、その二年前の議論のときは、当時の農水大臣は、地元関係者の意見を聞きながらいろいろ考えたいという趣旨の御答弁をされたんです。ところが、政府はその実行をしない。

大臣、それでは駄目なんですよ。問題解決する、そのために大臣が政治家としての責任を是非果たしていただきたいということを強く求めて、今日は質問を終わります。


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