「原発の安全神話」に凝り固まって入に押しつけようとする電力会社の体質は、「軍事同盟絶対」の外務省や防衛省のそれと通ずるところがある。

玄海原発1号機で、原子炉が中性子によってもろくなっていることを示す脆性(ぜいせい)遷移温度が「98度」という異常な高温となっている。もちろん九電や国の想定さえ大きく超え、専門家は重大な危険性を告発し廃炉を求めている。ところが九電は高いから危ないのでは無い」と開き直る。たまり続ける一方の使用済み核燃料プールをもっと密集させるというリラッキングは「臨界の危険を高める」と指摘されているが、九電は「国の審査・許可を得て進めていきたい」と従来の基準や審査を絶対視して平気な顔をしている。(6月10日の九州電力本社交渉)

3.11の後も基本認識が全く変わっていない。驚くべきことである。福島第1原発事故について「きちんと止まって冷却した。ところが大津波で電源が喪失した。我々はそうならないようにする」という根拠の無い非科学的で不遜な物言いに私は血の気が引いた。原発危機収束のめどは立たず、原発プラントが地震と津波でどう壊れたのかさえ分かっていないのに「基準と審査で安心です」などと繰り返すだけで国民をだますことはもうできないのだ。

中国電力も同じである。島根原発1号機について「常に安全性を点検している。80年運転しても大丈夫」と述べたが、「511カ所もの点検漏れを隠蔽(いんペい)していたではないか」との追及に立ち往生した。(7月13日の中国電力本社交渉)

ウソは必ず露見する。わが党のやらせメール告発は、ウソとごまかし、利権と癒着で「虚構の神話」をつくってきた構造的体質を明らかにした。洗いざらい徹底的に正す時だ。

上関原発計画について中電は「中電の思いだけで進めるのはもう無理」と重要な発言をした。激変する世論とたたかいが事態を現に動かしている。(しんぶん赤旗 2011年7月20日)