九州7県の日本共産党県委員会と九州沖縄ブロック事務所は6月10日、原発からの撤退を福岡市の九州電力本社に申し入れました。

 仁比聡平前参院議員や赤嶺政賢衆院議員(秘書)、各県議ら24人が参加し、▽運転停止中の原子炉3基の再開中止▽稼働中の原子炉の時期を決めた廃炉▽原発から再生可能エネルギーへの転換―など11項目を求めました。

 九電側は「原発再開に問題はない」との主張に終始。仁比氏は「死の灰(放射性物質)を閉じ込める技術は本質的に未完成だとの認識に立つべきだ」と指摘しました。

 玄海原発が立地する佐賀県の武藤明美県議は、運転開始36年目の同原発1号機の劣化を示す数値が、危険水準に達していた事実を指摘し、永久停止を要求しました。

 川内(せんだい)原発を抱える鹿児島県の松崎真琴県議は、「安全神話」の崩壊を強調。「新たな知見が示されれば対応するという後追い的なやり方で、安全だと言われて納得できるわけがない」と批判しました。

 田村貴昭ブロック事務所長は「福島の事故を受け、危険な原発より再生可能なエネルギーへの転換を望む声が大きくなっている」とただしました。

 九電側は「国で従来のエネルギー政策見直しを見極めて対応していく」と答えました。(しんぶん赤旗 2011年6月11日)


九州電力に提出した申し入れ書

2011年6月10日

九州電力株式会社
取締役社長 眞部 利應 殿

衆議院議員 赤嶺 政賢
日本共産党  福岡県委員会
 同  佐賀県委員会
 同  長崎県委員会
同  熊本県委員会
同  大分県委員会
同  宮崎県委員会
 同 鹿児島県委員会 
同 九州沖縄ブロック事務所 

原発からの撤退を求める申し入れ

福島第一原子力発電所の事故は、原発の危険性を国民の前に事実をもって明らかにしました。そして、深刻な放射能汚染が産業と国民生活に、甚大な被害をもたらせています。
現在の原発の技術は本質的に未完成で、きわめて危険なものです。原発は莫大な放射性物質(死の灰)をかかえていますが、それをどんな事態がおきても閉じ込めておく完全な技術は存在しません。そして、ひとたび大量の放射性物質が放出されれば、被害は深刻かつ広範囲で、将来にわたっても影響を及ぼします。
そうした原発を、世界有数の地震・津波国であるわが国に、集中的に建設することは危険きわまりないことです。日本に立地している原発で、大地震・津波にみまわれる可能性がないと断言できるものは一つもありません。
九州ではすでに、佐賀県の玄海原発に4基、鹿児島県の川内原発に2基の原発がありますが、私たちはかねてから原発の危険性を指摘してきました。そして、福島原発の事故以降、九州電力管内の原発に対して、安全性や災害対策への疑問が広範な県民から出され、原発からの撤退を求める声は日増しに高まっています。
以上をふまえて、貴社が原発からの撤退を決断することを基本とし、当面次の事項を実施するよう強く求めます。

1.    【玄海】営業運転から36年目になる1号機は、脆性遷移温度が98℃になっており、専門家からも危険だとの声が上がっている。永久停止すること。

2.    【玄海】地震・津波に対して、万全な対策が講じられない限り、2号機は運転再開をしないこと。4号機の運転を見合わせること。

3.    【玄海】毒性がウランの比ではないプルトニウム(MOX燃料)を使用する3号機のプルサーマル発電は、運転再開をせず中止すること。

4.    【玄海】使用済み燃料保管のリラッキング(貯蔵プールのラックの間隔を狭める)工事は、臨界の危険がより高まるので行わないこと。

5.    【川内】運転開始以来30年に達する1号機、2号機については、計画的、段階的に廃止するプログラムを策定すること。当面、耐震基準の見直しなど新たな基準にもとづき、安全性の総点検を実施すること。

6.    【川内】3号機増設計画は、「原子炉設置許可」申請を取り下げ、今後いかなる原発の新増設も行わないこと。

7.    九州電力が予定している中間貯蔵施設の計画は、白紙に戻し、今後計画しないこと。

8.    原子力に関する業務は、国民に開かれたものになるよう、情報隠しをせずに
明らかにすること。

9.    電力需要が増える夏場に向けて、大口需要者に対し、実効ある計画節電を実施させること。原発以外の火力発電・水力発電など、いまある設備を最大限活用し、夏場の電源確保を行うこと。

10.    施設総量と発電可能量などを明らかにすること。九州電力が夏の電力不足の理由に、石油燃料の調達が困難としている根拠について示すこと。

11.    これまでの「安全神話」から抜けだし、原発依存から再生可能エネルギーヘ転換すること。太陽光などの自然エネルギーを現実的電力量に置き換え、長期的なエネルギーの安定供給をはかること。

以上