法務省は5月30日夜、同日の閣議後記者会見で斎藤健法相が入管法改悪案をめぐる記者の質問に「1年6カ月で500件の(難民認定に関わる)対面審査を行うことは『可能』だ」と述べた発言を「不可能」の言い間違えだったと訂正しました。同省は会見同日の夜9時ごろ、メディアへ訂正すると通知。翌31日には訂正した内容の会見録を公表しました。

 入管庁の難民認定審査で不認定とされた人の不服申し立てを審査する「難民審査参与員」の柳瀬房子氏による国会などでの発言は、改悪案の根拠の一つとされてきました。しかし、柳瀬氏が1年半で行ったとされる500人の対面審査について、斎藤法相自ら否定する格好となり、立法事実そのものにも疑義が生じています。

 この問題を受け、野党議員らは31日、斎藤法相の発言について入管庁からのヒアリングを緊急開催。同庁の堀越健二審判課長はあらためて「1年6カ月で500人の対面審査」を行うことは「難しい」と述べました。

 日本共産党の仁比聡平参院議員は「可能と答えても不可能と答えても、どちらにしろ立法事実に関わる重大な疑義が生ずることになる。だから訂正するのが夜9時過ぎになったのではないか」と追及。「邪推されるのは心外だ」との堀越氏の発言に、仁比氏は「難民改定法の審議に向けられている国民の目に対して邪推と言ったのと同じだ」と厳しく批判しました。その後、堀越氏は「邪推」との発言を「できれば撤回させていただきたい」と述べ謝罪しました。

 立憲民主党の山田勝彦衆院議員は「立法事実が崩壊している。衆院で通過した審議自体をやり直さなければいけない」と強調しました。(しんぶん赤旗 2023年6月1日)