○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 これまでの政府、そして修正案提案者の答弁を伺っておりまして、私は全く納得がいきません。今日からこの参議院の審議でございますので、徹底して審議を尽くすことを冒頭求めておきたいと思います。
 大臣、少し時間をいただきたいということなんですが、今日の審議の冒頭で、大臣は線として把握することがどうしても必要だというふうにおっしゃいました。
 この外国人についてどのような情報が収集、蓄積の対象となるのかという点についてまずお尋ねをしたいと思うんですけれども、この法案の提出過程で規制改革・民間開放の推進に関する第三次答申が行われておりまして、在留資格の変更あるいは在留期間の更新許可のガイドライン化という問題について、国税や地方税の納付状況、社会保険の加入状況、雇用・労働条件、子弟、子供さんたちの就学状況、また在留資格の特性に応じて日本語能力などを、こうした在留資格の変更あるいは在留期間の更新許可を考える上で把握すべき事項として挙げているわけです。これは閣議決定がなされているわけですね。
 こうした情報を政府は継続的、一元的に把握をしていくという必要を考えているわけですか。大臣ちょっとおられませんから、まず入管局長。

○ 政府参考人(西川克行君) まず問題が二つに分かれておりまして、今回新たな在留管理制度の下におきましては、外国人本人の方々から情報をいただいて、それが重要な情報である場合については変更があった場合にその情報をいただくと、こういうことになっております。その情報に今委員が挙げられました例えば納税状況だとか社会保険の加入状況等が入るかといいますと、これは全く入りません。
 どういうことになるかといいますと、まず新たな在留管理制度は外国人の情報をその外国人の有する在留資格に応じて必要な範囲内で取得しようとするものでございます。したがって、まず届出義務については氏名、生年月日、性別、国籍等、それから居住地の基本的事項に限定をしているということでございます。それから、所属機関や身分関係等の情報につきましては在留資格に応じまして必要な範囲内で提供を求めるということにしております。
 入管法改正案の検討に当たっては、外国人又はその所属先等から提供を求める情報については関係各方面においても御議論をいただきましたが、先ほど述べたような理由から、例えば納税状況、社会保険、それから質問に出ていた学業の成績だとか、そういうものについても一般に外国人や所属先等から情報の提供を求める事項とはしておりません。
 ただし、例えば、留学生等が在留期間更新許可申請を実施した又は在留資格変更許可申請を行ったと、こういう場合にその在留状況を確認するために学業成績に関する文書の提出を求めると、あるいは、就労可能な在留資格で在留する外国人が在留期間更新許可申請等を行ったという場合に納税状況を求める等、個々の在留資格に応じて個別の入国・在留審査に必要な情報としてこれらの情報を求めることはあろうというふうに思っております。

○仁比聡平君 在留カードを常時携帯を刑事罰を科してまで求めるということ自体も私は大問題だと指摘を今後していきたいと思いますけれども、今局長もお認めになったように、在留カードの記載事項以外の外国人に関する様々な情報を在留資格に応じて必要な範囲において把握をしていくんだというふうにおっしゃっているわけですね。
 先に修正案提案者にお尋ねしたいと思いますが、法案の十九条の十八第三項では、法務大臣は、在留管理の目的を達成するために必要な最小限度の範囲を超えて情報を取得、保有してはならないというふうに修正をされましたけれども、この趣旨は一体何なのかということなんですよ。
 規制改革の答申で先ほど申し上げたような内容が答申をされて、これが閣議決定されているんですよね。修正案に言う在留管理の目的を達成するために必要であるとして閣議決定をしているんじゃないですか、これ。これ、修正案は、この閣議決定の考え方を変えるんだという意味ですか。

○衆議院議員(大口善徳君) これは、まず今回の新たな在留管理制度は、法務大臣が外国人本人や所属機関の届出によって取得する情報は在留管理のために必要な最小限の範囲に限定されているということで、しかも外国人に係る個人情報の利用や提供については、法令に基づく場合を除き、原則として目的外の利用等をすることはできないということが、これは行政機関の保有する個人情報の保護法にも規定されていて、厳格な運用を行うことになっているわけであります。
 これは当然のことなんですが、今般、法務大臣が外国人の在留情報を継続的に把握する制度を構築するに当たって、情報の取扱いに当たっては個人情報の保護に対する十分な配慮が必要であることを明確に示すため、修正案でこのような規定を置いたと、こういうことでございます。

○仁比聡平君 全くはっきりしない。そうだとすると、この修正規定がどれほどの意味を持つのかということが私は甚だ疑問なんですね。
 大臣に、問題の所在はお分かりいただいたと思いますのでお尋ねしたいと思うんですけれども、こうした例えば税金の納付状況だったり、社会保険の加入状況だったり、学業状況だったりあるいは雇用労働条件だったり、こうしたものを在留管理の必要があるからこれは把握する必要があると閣議決定しておられるわけでしょう。その内閣の一員として、在留管理の目的を達成するために必要な最小限度の範囲というのを一体どんなふうにお考えになって今おられるわけですか。

○ 国務大臣(森英介君) 入国管理局において整備を図ろうとしておりますシステムというのは、あくまでも出入国管理業務にかかわる情報でありまして、それ以外の目的で在留外国人の情報を収集したりあるいはデータを自由に利用させるということではなくて、法令で認められた範囲内において出入国管理業務を所掌する行政庁としての権限を行使することに尽きるというふうに考えております。

○仁比聡平君 私は、閣議決定でそのようにしていることと今度の法案との関係はどうなるのかとお尋ねをしているんですが、御答弁がないわけです。
 この問題について、今、先ほど大口提案者の方から、目的外利用などは厳格に規制をされているというような趣旨の御発言、御答弁もあったんですけれども、データがそもそも莫大に蓄積をされているということ自体が流出の問題だとか、あるいは利用に関していっても何が目的外かということについては