自動車メーカー・マツダ(本社・広島県府中町)に「派遣切り」された労働者が、派遣期間を超えて働かされていたとして直接雇用を求めた申告に対し、広島労働局が違反を認めて是正指導を行ったことが4日、分かりました。申告した4人が加入する広島県労連の尾野進議長、門田勇人事務局長、地域労組ひろしまの大山泰弘副委員長が記者会見して明らかにしました。山口労働局からも防府工場に対し、同様の指導が行われました。
昨年来の派遣切りで自動車大手に対する是正指導は初めてです。
同社は最長3年の期間制限を逃れるため、派遣社員を直接雇用の「サポート社員」にして、すぐ派遣社員に戻して働かせていました。3カ月以上派遣を受け入れない期間(クーリング期間)があれば、継続した派遣とみなさないという厚労省指針を悪用したものでした。
労働局は、派遣会社とサポート社員との間に支配従属関係がないことが確認できないと指摘。「クーリング期間が適正に3カ月を超えているとは判断できない」として期間制限違反を認めました。
一方、派遣元から派遣期間の通知がなかったことを理由に直接雇用の申し込み義務は発生しないとしました。
この問題では日本共産党の仁比聡平参院議員が昨年12月、志位和夫委員長が今年2月に「期間制限逃れの違法行為」と国会で追及していました。
会見で大山氏は「サポート期間が違法だと認めて指導した意義は大きい」と指摘。「労働委員会で団体交渉の場を勝ち取り、マツダに直接雇用を求めていきたい」と語りました。申告した労働者の一人は「事態が一歩一歩前に進んでいる感じがする」と語りました。2009年6月5日(金)「しんぶん赤旗」