安倍政権が「共謀罪」法案を必要だという最大の口実にしている国際組織犯罪防止条約(TOC条約)をめぐり、条約の起草過程で日本政府が「テロリズムは本条約の対象とすべきでない」と主張していたことが明らかになりました。外務省が日本共産党の仁比聡平参院議員に提出した資料で判明しました。「共謀罪」を正当化する政府の論拠が改めて崩れました。

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 資料は、2000年7月にニューヨークの国連本部で開かれた同条約起草委員会「第10回会合第一週」の様子を日本本国に報告した日本政府交渉団の公電。起草委員会で、TOC条約の対象犯罪にテロを含めるか否かが議論となり、「(含めれば)テロに関する既存の条約に悪影響を及ぼしかねない」などと主要17カ国が反対。日本も「テロリズムについては他のフォーラムで扱うべきであり本条約の対象とすべきでないことを主張した」ことが記されています。

 仁比氏は、3月22日の参院法務委員会でこの公電を示し、「TOC条約はテロ犯罪の処罰を義務付けるものではない」とただしました。金田勝年法相は、公電には一言も触れず、「国際的な組織犯罪とテロ活動には強い関連がある」と従来の答弁に終始しました。

 仁比氏は、「共謀罪」創設をTOC条約上の義務だと説明するのは国民を欺くものだと批判し「共謀罪の正体をごまかす『テロ等準備罪』の呼称は直ちにやめるべきだ」と述べました。(しんぶん赤旗 2017年3月23日)