再び「開門」の判決が言い渡され、法廷にみなぎった緊張は爆発する喜びに一変しました。12月6日、福岡高裁は諌早湾干拓潮受け堤防の段階的開門の合理性を認め、私たちが提案してきた有明海再生の道―「農漁共存」の道にこそ道理があることを明らかにしたのです。

 
野党時代には何度も現地に来て、演説でも質問でも「ムダで環境破壊の公共事業の典型」と諌早湾干拓事業をひきあいに出してきたのは菅首相自身です。総選挙
公約でも与党検討委員会でも「開門を」と述べてきた民主党政権が、この判決にさえ背を向けるなら、菅政権がよって立つ足場はもはやどこにもなくなるでしょ
う。

 農水官僚に従って最高裁へのありもしない上告理由をこじつけても却下され、漁業被害との因果関係がより明白な堤防直近の漁民が提訴
している四つの裁判で、長崎地裁は「即時開門」を続けざまに命じるでしょう。立場や党派を超えて心を一つに有明海再生を求める力を押しとどめることはでき
ないからです。

 上告はきっばり断念し、直ちに開門を決断し、その方法と時期は原告団・弁護団が参加する協議の場で検討すべきです。

 最近、何人もの方から「民主党は野党時代あれほど自民党政治を攻撃していたのに、政権についたらすぐに自民党と同じになるのはどうしてか」と真剣に問いかけられます。

 「二大政党」のどちらかの政権選択を強いられる選挙のもとで、「政治を変えたい」という深刻なまでの思いの1票が何度も裏切られ、とうてい政治家が生活と怒りを代弁するとは思えないからこそ、「議員なんて減らせ」とせっば詰った衝動もひろがっています。

 けれど、一人ひとりの本当の要求を大切にする共同と連帯の力が生まれたとき、それは古い政治をどこまでも追いつめ転換を迫る勇ましくゆるぎない主権者の力となって、必ず政治を動かします。

 住民とともに「二大政党」のゆきつまりを打ち破る日本共産党の出番です。(しんぶん赤旗 2010年12月15日)