熊本県錦町の旧「NECセミコンダクターズ九州・山口」(錦工場)で多重偽装請負の違法な働かされ方を強いられた上に解雇された労働者3人が解雇無効と直接雇用などを求めた「NEC重層偽装請負訴訟」控訴審が5月13日、福岡高裁(犬飼眞二裁判長)で始まりました。
同訴訟は、柳瀬強(59)、松永政憲(59)、柴田勝之(33)の3氏が▽旧NECセミコンとの労働契約の成立▽中間搾取の返還▽不当解雇の損害賠償―などを求めたもので、一審の熊本地裁は昨年11月に請求をすべて退けました。
松永さんは原告本人の意見陳述で、偽装請負の悪質さと日替わり仕事で生活を支えている窮状を訴え。弁護団の久保田紗和事務局長は、中間搾取を容認した地裁判決は司法の役割放棄だとして、偽装請負の実態を踏まえた判断をと求めました。
弁論後の会見で熊本県労連の楳本光男議長は「派遣法の問題点を問う裁判」と指摘。支援する会の多田喜一郎代表は「支援をさらに強めたい」とのべました。
裁判所前の集会に駆け付けた日本共産党の仁比そうへい参院比例候補は、雇い主が労働者に責任を負わない働かせ方は憲法の精神にも反し絶対に許されないとして「全力を尽くしてたたかい、マツダ裁判の勝訴に続こう」と呼びかけました。マツダ訴訟原告団の河野博信さん(48)が連帯あいさつしました。(しんぶん赤旗 2013年5月14日)