○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
私は、アフリカ班に参加をさせていただきまして、先ほどの山本団長の報告にもありましたが、国民民主の竹詰議員とともに、極めて濃密な調査でございまして、コーディネートいただいた大使館やJICAの皆さん、それから両国政府の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思いますし、中でも得難いなと思ったのは、それぞれの国の国会議員の皆さんと大変熱い議論や友情を育むこともできました。帰国をしてからも、両国の在日大使との交流も深めていくということの取組ができていて、こうした取組というのはとっても大事だなというふうに思っております。
そうした中で、アフリカ諸国の自立的発展を支援する上での肝だなと思う点を二つちょっとまず。
まず、職業なんですね。というのも、セネガル・ダカールに到着いたしまして最初に目に留まったのは、故障して何人かで一生懸命押されている車ですね。高速道路のような道なのに、一時間ほどの間に四台も五台もそういう車を見るわけです。よく見ると、町にタイヤを売っている屋台というのはあるんですけど、自動車整備工場ですよね、日本でたくさんある、これは全く目立たないという現実があって。
そこで、最初に訪れたセネガル日本職業訓練センター、CFPTですけれども、印象としては、日本の高等専門学校のような教育機関だなと思います。ですから、自動車整備や、それから産業用機械のメンテナンスや電気工学や自動制御などを若者たちが学んでいると。そういった、とっても生き生きしているわけですね。
伺いますと、約一千人の学生たちが在籍をしている。で、卒業生が七千名を超えたと。そのみんなは就職率が八〇%という極めて高い就職率で、かつ、その卒業生がその訓練センターの教員として働いているということで、内発的な、持続的な発展を支援していく上で、こういう技術者養成というところには大きなニーズと可能性があるというふうに痛感をしました。
外務省局長にお尋ねするのがいいのかなと思うんですけれども、こういう取組についての意義をどんなふうに考えておられますか。
○政府参考人(石月英雄君) ありがとうございます。
御指摘のとおり、やっぱり経済成長においては成長の担い手となる人づくりが極めて重要だということで、アフリカに限らずではあるんですけれども、我々、これまで幅広い分野での人材育成事業というのを行ってきたところでございます。
その中で、今御指摘のありましたとおり、職業訓練ですとか、あと、また、質の高い教育へのアクセスの向上ということで、学校を通じた教育を広げていくということとか、あと、さらには、もう一つのアングルとして、医療人材の育成、こういったことも重要ではないかと。
さらには、そのインターンシップを組み合わせた産業人材育成イニシアティブ、いわゆるABEイニシアティブ、こういったものを通じて産業人材の育成といったことも行ってきているところでございます。
あと、更に言えば、通常のプロジェクトをやる際、無償資金協力ですとか円借款の事業を行う際に日本企業が現地でいろいろな人材育成をやってございまして、こういったところは現地の関係者から非常に高い評価を得ているところでございます。さらに、現地の雇用創出にもつながるということで、御指摘のとおり、人材育成というのは非常に重要なものだと考えておりまして、我々、八月にTICAD9、アフリカ開発会議を行いますけれども、これも見据えて、この人材育成事業しっかり継続するとともに、更なる協力の可能性についても模索していきたいと考えてございます。
○仁比聡平君 先ほど石垣さんからも大事なのは人だというお話があって、私もそのとおりだと思うんですよね。
この学校の話にちょっと戻ると、一方で、競争率が極めて高い。それから、こういう教育機関に進学できないという子供たちがたくさん多いという現実があって、セネガル、それからコートジボワールも同等の水準と思いますが、小学校を卒業できる子供がおよそ五〇%、半分しかいないと。
貧困率は三七%とか三八%という深刻な数字で、このセネガル、コートジボワールも含めた西・中央アフリカ全体でいいますと、ユニセフの現地スタッフに教えていただきましたら、五歳未満で亡くなってしまう子供が推計で二〇二二年の一年間で百八十六万人もいて、十一人に一人は亡くなってしまう。そのうち三五%は生まれた後一か月で、新生児で亡くなってしまうという、こういう現実があると。だからこそ、先ほど来強調されていますけれども、保健医療のこの充実というのはもう極めて必須だと思うんですね。
そうした中で、JICAにもし教えてもらえればと思いますけど、現地では、ユニセフとJICAが、WHOとも協力をしながら二〇二三年から母子手帳を普及、活用しようという取組を始めておられて、この新たな取組が様々なこの母子の健康に関わる課題を解決していく上で大きな役割を果たすのではないかというお話もありましたが、どんなでしょうか。
○参考人(田中明彦君) 今先生おっしゃったように、極度の貧困率とか、それから五歳未満児死亡率とか、このようないわゆるSDGsの中でも一丁目一番地ともいうような目標というのは、大変重要であるにもかかわらず、なかなかこれを達成するのが困難だと。そういう困難を抱えているのが脆弱な開発途上国であるというのが現実だと思います。
その中で、私どもは何ができるのかということを一生懸命考えながらやっているわけですけれども、私の考えでは、単一の方法で全てがうまくいくというような、そういう容易な道というのはないと思うんですね。様々なことを組み合わせていかなきゃいけない。
その一つとして、先ほど御視察いただいたCFPT、職業訓練センターのようなところで人材の底上げを図るということであって、これをJICAは四十年ずっとやっておるわけです。
それに加えて、保健医療、これも大変重要です。もう本当に様々な分野をやらなければいけないわけですけれども、その中で、一つの試みとして、私は日本が世界に誇っていいと思うのは、母子手帳を開発途上国にできる限り普及しようという努力でございます。
御案内のとおり、日本の母子手帳というのは一九四七年か八年につくられたわけですけれども、お子さんのその健康状態、お母さんの健康状態を包括的に記録するという世界的に見ても大変優れた仕組みです。
これを、二十一世紀に入った辺りにインドネシアのお医者さんが日本に研修に来られたときに、ああ、日本にはこんないいのがあるのかというので、インドネシアでも導入してくださいという依頼があって、それでインドネシアで、まずJICAがインドネシア政府と協力して母子手帳を普及するというふうにいたしました。今、アフリカ諸国でもできる限りやっており、セネガルでも母子手帳を皆さんに普及できるようにしております。
その際、私どもがとてもうれしいなと思っておるのは、母子手帳を私どもが現地に合わせて、日本の母子手帳をそのまま翻訳するわけではなく、現地に合わせた形でデザインをし直して、それを作って印刷して配るというのを、先方政府も印刷していただくのが望ましいわけですけれども、それをユニセフに、言わば、ユニセフも、ああ、これはいいねというふうに言ってくださると。
ほかの、世界のほかの国際機関もこれはいいねと言っていただけるということで、かなりの多くの国で、母子手帳の普及については、日本の資金だけでなく世界中の様々な各国からの資金でもって行えている。日本から税金を元に出しているんですけど、その税金がマルティプライして先方に影響を与えているというとても良い事例が母子手帳だと思っておりますし、最近、私、アンゴラでも同じような母子手帳の普及をやりましたが、これについては、国際機関とか援助機関だけでなく、アフリカに進出している日本企業もその印刷代をコントリビュート、出していただけるというようなことがあって、大変地道ですけれども進めたいと思います。
○委員長(石井浩郎君) 時間を過ぎておりますので、回答は簡潔にお願いいたします。
○参考人(田中明彦君) はい、失礼いたしました。
○仁比聡平君 宮路副大臣に伺おうと思ったけれども、ちょっとその時間なくなりましたが、そうした中で、私は、今お話があったような中長期的な息の長い支援というのはとっても大事だと思うんですよ。ちょうど訪ねたのが二月の中旬だったということもあって、あの傲慢なトランプ政権が誕生して……
○委員長(石井浩郎君) 御意見をおまとめください。
○仁比聡平君 何しろUSAIDが凍結されるというので激震が走るという、みたいなことがありました。やっぱりそうじゃなくて、自立的発展をしっかり支援していくという、そういう取組を期待して、発言を終わります。