○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
二月に私も、大雪の中、奥能登を訪ねてまいりまして、被災者の避難生活が今後も長引いていくということが想定をされる中で、人間らしく暮らせる住まいの確保というのはやっぱり急務だということを痛感してまいりました。今日はその点についてお尋ねをしたいと思います。
まず、防災に、統括官にお尋ねをしたいと思いますけれども、市町村の被災者意向調査を踏まえて仮設の建設計画が定められまして、後に起こった九月豪雨、被災者向けのものも含めてですね、この目標というのが一旦完了するという段階に至ったと思います。この間、いろんな努力が国、県、そして被災市町において行われてきたということで心から感謝を申し上げたいと思いますし、この年度末で別の部署に替わられるという職員さんたちもいらっしゃると思います。心から敬意を表したいと思います。
そうした中で、新たな課題、新たなニーズが、私、起こって、浮き彫りになってきていると思うんですね。
例えば、輪島の仮設で、1Kの四畳半に二人の入居と。これは狭過ぎて暮らせないという声が悲鳴のように上がっています。高齢のお母さんと介護職の息子さん。仕事が不規則ですから、夜勤明けなどもあってお母さんに心配掛けられないというので、車中泊を息子さんは続けているという世帯があります。四畳半だとベッドも入らないということで、妻は仮設、けれど夫は壊れた半壊の家に暮らしているという世帯もあります。
また、おじいちゃん、おばあちゃんと息子さん御夫婦とお孫さんが三人というこの三世代七人の世帯が三つの部屋しかない仮設に暮らしているという、やっぱり、急いで建てなきゃいけない、土地がなかなかないみたいな条件があったものだから、この狭いところに入ってもらわざるを得ないという経過がやっぱり実態あったんじゃないのか。
そうした中で、壊れた自宅の方がまだましというような被災者の方々がいらっしゃるんですね。ですので、お尋ねしたいのは、少なくない空き室も生じているのではありませんか。
○政府参考人(高橋謙司君) お答えをいたします。
能登半島地震の被災者向けに建設された仮設住宅につきまして、三月十八日時点における入居率を石川県に確認いたしましたところ、石川県全体では、六千八百八十二戸完成しているものに対しまして、九五・五%に当たる六千五百七十四世帯が入居をしております。ですので、三百八戸の空き室が発生しているということになります。
また、輪島市では、二千八百九十七戸の完成に対しまして、九五・四%に当たる二千七百六十四世帯が入居をされておられますので、百三十三戸の空室が発生をしているという状況でございます。
○仁比聡平君 つまり、輪島でいいますと百三十三戸の空き室があると。これ、本当に活用をして、マッチングさせていかなきゃいけないと思うんですよね。
そうした下で、奥能登に帰りたいと切望をしながら、世帯の人数や世帯の構成と仮設が何かこう合わないということでやむなく市外で避難生活を続けておられる被災者が現におられます。この輪島市の被災者で、元の住まい、コミュニティーから遠い金沢市などの県の南部又は県外と、こういうアパートをみなし仮設として避難している世帯、人数はどうなっているか。珠洲市、能登町、穴水町、志賀町、七尾市の被災者ではどうでしょうか。
○政府参考人(高橋謙司君) お答えいたします。
石川県に確認しましたところ、まず、輪島市で被災されて、現在は金沢市等のみなし仮設に避難されている被災者の方は、三月二十一日時点で九百十三世帯、二千二十三人と承知をしております。また、珠洲市、能登町、穴水町、志賀町、七尾市で被災し、現在はそれぞれの地元を離れてみなし仮設に避難されている被災者は、同じく三月二十一日時点で千百四十二世帯、二千四百十六人と承知をしております。
○仁比聡平君 今お聞きいただいたとおり、奥能登の六市町全体で、二千世帯を超える二千五十五世帯、四千四百三十九人、四千五百人近くの方々がふるさとを遠く離れて避難をせざるを得ないという状況にあって、その中には、ふるさとに戻りたいと願っておられる方々がたくさんいらっしゃるんですね。地震の発災からは一年三か月がたつ中で、この願いに速やかに応えていくということが、人口流出も心配されている中で、私は復興の要になるんじゃないかと思うんです。
もう一点。おうちが半壊して仮設の入居要件を満たしているんだけれども、今申し上げているような状況なので、壊れた、だから危険ですし、風雨にも脆弱な御自宅で在宅避難が続いている世帯があります。その中には、住宅被害認定がすぐに整わずに長引いて、二次調査でようやく昨年末、十二月になって半壊と認められたと。ですから、意向調査の段階では入居要件を満たしていないという、そういう状況の方が、輪島市内での仮設の入居がかなわずに穴水の仮設に入れるようになったと、けれど二十キロ離れていると。職場まで遠い通勤ということになって、職場の方でもその方の配慮をしなきゃいけないというふうになった世帯もあるんですね。こういう実情や住まい確保のニーズをやっぱり把握して対応していくということが大事だと思うんですよ。
そこで、大臣、こうした私は新たなニーズが顕在化しているんじゃないかと思うんですが、このニーズ把握すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(高橋謙司君) お答えをいたします。
仮設住宅の空室につきましては、別の仮設住宅に入居されている被災者が希望される場合には、県市町の判断により住み替えをしていただくことが可能でございます。石川県に対しましては、こうした住み替えが可能ということにつきましてしっかりと周知をするとともに、引き続き、被災された方々の住まいに対するニーズを丁寧に把握するように求めていきたいと考えております。
○仁比聡平君 まず、今おっしゃった空いているところの住み替えというのは、これとても大事な取組なんですよね。ただ、このコーディネートなんかはなかなか難しいだろうと思います。一日も早く被災者が被災前の生活を取り戻すということが復興の要で、その基盤になるのは住まいとなりわいだと、それが阪神・淡路以来三十年の私たちが教訓として重く受け止めることであるし、かつ、そこをしっかり取り組むことが災害関連死を防ぐ上でもとても大切だと思うんですね。
ですので、大臣に改めて、住まい確保を必要とする被災世帯数、世帯の構成などのニーズを丁寧に把握して、今お話のあった仮設から仮設への住み替えということもありますし、隣同士を間仕切りを撤去して入口を付けて通して二戸一にするという取組だってこれまでしたこともあると思うんですよ。そうした良好な居住環境の確保を進めていくべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(坂井学君) まさしく委員御指摘の案件は、現場でそういった事例があるということは行政側、市町でも認識をしているところでございまして、実は今、内閣府防災の方にも石川県の方から、この間取りのミスマッチを解消してより良い生活の環境を提供したいということで、この仮設住宅の空き室を有効活用する取組を進めるために今事務レベルで相談を受けているという状況でございます。
市町も認識はしていて、これはやるべきだということで、ただ、どういうふうにやったらいいか、より良いかということを今相談を受けているというか、相談をしているという状況でございますので、できる限りいい方法を見付け、そして、現場でそれによって実際により良い環境で住める被災者を増やしていきたいと思っております。
○仁比聡平君 そうした取組を前に進める中で新たな財政負担が必要だということになれば、救助法によって国が全部持つんだということも含めて、国の後押しやイニシアチブというのはとっても大事なんだと思うんですね。
そこで、更にお尋ねをしたいというか求めたいなと思うのは、石川方式ですよね、戸建ての木造住宅を集落に造って恒久住宅としても活用していく道というのを挑戦しました。けれど、これがなかなかうまくは進んでいないと。今からでも集落の意向を把握して、何しろこの一年半、少し公費解体が加速化する中で、民有地を含めた用地確保の条件は広がっていると思うんです。そうした取組を進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(坂井学君) 能登半島地震、そして豪雨の被災者向けの仮設住宅の建設は、基本的に三月末で全てでき上がると、仮設住宅でき上がるという今局面にあります。その中で、木造の、プレハブではない木造の仮設住宅を千八百六十五戸建設をいたしております。
今既に、申し上げたように、仮設住宅は全部造り終わったものですから、この先、災害公営住宅をどうするかと、こういった話になってまいりますので、そのときにこの千八百六十五戸を活用をし、それをその災害公営住宅として活用していくのか、また新たに建てるのかといったような中で、この今委員が御指摘されたようなことは、今回は能登に関しては検討されるということになろうかと思います。
ただ、この仮設住宅の在り方というのは、防災庁のアドバイザーの方々の中にもいろんな御意見があるようですので、そういった方々の御意見等もお聞きをしながら、私個人としては大きな検討課題の一つだとは考えております。
○仁比聡平君 ありがとうございます。
仮設じゃなきゃいけないというわけじゃなくて、公営じゃなきゃ絶対駄目だというわけでもなくて、つまり人間らしい住まいが確保されることが大切なんですよね。これが、元暮らしていたところ、そしてそのコミュニティーの中で取り戻されるということがとっても大事なことだと思うんですが。
国土交通省においでいただいていますが、その復興という次のフェーズに進みたいとみんなが願っている中で、公営住宅の早期建設に向けてニーズの把握というのはとても大事なことだと思いますが、いかがでしょうか。かつ、公費解体が進んだ民有地に戸建ての木造で公営住宅を建設するということ、これは当然できると思いますが、いかがですか。
○政府参考人(横山征成君) お答えいたします。
現在、各市町ではできる限り早期に災害公営住宅の整備ができるよう努めていると認識してございますけれども、委員御指摘のように、複数回にわたる地元説明会の開催や個人の意向調査の実施を通じて、今丁寧にそれぞれの地区で多くの被災者の方の御意向を伺いながら、元々お住まいの地区の中で住まいを再建するのかとか、安全で便利な土地への移転を目指すかなどといった課題について、地域の町づくりの将来像を踏まえて適切に災害公営住宅の用地を選定していくなど、丁寧なプロセスを踏むということを進めているところでございます。
これらの用地の選定については、地元のニーズがあれば公費解体後の民有地への活用を図ることも可能でございますし、また、この際、地域のライフスタイルに合った戸建て型の木造の災害公営住宅、御指摘のようなものも整備することも考えられるというふうに考えてございます。現に多くの地区でこれらのニーズを踏まえた検討が進められているものと承知してございます。
このように、被災者含めて地元の御意向を丁寧に確認するプロセスの下で災害公営住宅の整備を進めていく必要がございますので、引き続き、国土交通省として、被災自治体の御意向を伺いつつ、被災者の恒久的な住まいの確保が図られるよう全力で支援に取り組んでまいりたいと考えています。
○仁比聡平君 何しろ四畳半に二人押し込められているみたいな状況を一日も早く解消するということが大事で、だけれども、ニーズを把握して造っていくには時間が掛かると。ここをどう乗り越えるかという課題に直面する中で、市町の職員さんたちの疲弊というのはもう本当に大変だと思うんですね。これからそうした取組、仮設でも公営でも、あるいは持家の再建でも、事務量がすごいことになる中でどう応援するのかと。総務省の答弁いただいて終わりたいと思いますが。
○委員長(塩田博昭君) 時間が来ておりますので、簡潔におまとめください。
○政府参考人(小池信之君) はい。
発災以降、令和六年度中も被災自治体からの年度単位の職員の派遣の要請に応じまして、全国の自治体から応援職員を派遣して支援を行ってまいったところでございまして、令和七年度に関しましても、被災自治体における職員採用や民間委託等を行ってなお不足する人材の要望について、都道府県、関係省庁や関係団体と連携するとともに、復旧・復興支援技術職員派遣制度も活用して調整を行っており、転居を伴う異動となる場合が多うございますので、本年四月以降、順次派遣されていく予定でございます。
○仁比聡平君 建設業者の不足なども深刻な中で、国に本当にしっかり支援してほしいということをお願いして、今日質問を終わります。
ありがとうございました。