ハンガリーで1月に日本人女性が死亡し、元夫が殺人の疑いで逮捕された事件。女性は在ハンガリー日本大使館に、元夫からのDV被害を訴えていました。日本共産党の仁比聡平議員は3月13日の参院法務委員会で、この事件と「共同親権」の問題をとりあげ「DV被害を国内外でどう防ぐのか」と政府にただしました。(質問動画はコチラ)

 被害女性は子どものパスポート発行を相談していましたが、大使館は共同親権者の元夫の同意が必要だとして発行しませんでした。日本では2024年に離婚後「共同親権」を導入する改定民法が成立。父母の合意のない「共同親権」を強いられ、DV加害者の別居親による支配が継続する危険が指摘されています。

 鈴木馨祐法相は「DV被害のおそれがあれば、改正民法でも『共同親権』を定めることはない」と発言。仁比氏は「DVの本質は個人の尊厳を害する支配であり人権侵害だ。その理解が遅れ、加害者に自覚がなく被害者は自信がもてない」と指摘し、改定民法で「DVの本質をどう捉えるのか」と質問しました。

 法務省の竹内努民事局長は「父母間に、さまざまな力の差を背景として一方的に他方を支配するような関係が認められる場合、父母が共同して親権を行うことは困難だ」と答弁。「DV被害者は被害の自覚を欠いている場合もあることも勘案した上で、適切な判断がされる」と述べました。

 仁比氏は、被害女性から相談をうけた大使館の対応について「子どものパスポートを取り上げられていると聞いたらDVではないかと強く問題意識を持つのが当然だ」と指摘しました。未成年者のパスポート発行について、外務省の岩本桂一領事局長は「基本的には共同親権の場合、両親の同意を得るが、DVがあれば、旅券または一時的帰国の渡航書を事情に応じて発行できる。改めて各在外公館に周知し、間違いのない対応をしたい」と答弁。仁比氏は人道的配慮、邦人保護の徹底を強く求めました。(しんぶん赤旗  2025年3月20日)