○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
私は、能登の復興と外国人労働者の役割についてお尋ねをいたします。
まず、坂本農水大臣に。
今月初め訪ねました石川県食品協会の専務理事さんから、震災で近江町市場の魚ががくっと減って金沢じゅうの飲食店が困ったと、能登の産物が石川の食を支えていることが今回本当によく分かったと伺いました。水産統計を見ましても、能登の恵みは全国的にも豊かで、高齢化の進む地域の雇用や観光を含む被災地復興の大きな柱だと私思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂本哲志君) 能登地域は暖流と寒流がぶつかる好漁場であります。石川県の令和二年の海面漁業の漁獲量、金額共に日本海側では第四位でございます。個別には、イカ釣り漁業が第一位、それから定置網漁業が日本海側で第二位というような漁獲量を誇っております。また、漁家レストランなど観光業等と連携した取組も盛んな地域であるというふうに認識をしております。このため、漁業の復旧復興は石川県の産業、なりわいの再生に大きく貢献するほか、被災された方々の励みになるものと考えております。
農林水産省といたしましては、被災者の生活となりわい支援パッケージにおきまして、漁業の一日も早い再開に向けまして漁港や共同利用施設の復旧、それから漁業者の生活を支えながら漁場環境の回復を図る取組等への支援などにスピード感を持って取り組んでいるところであります。引き続き、能登地域の漁業の復興に向けて、農林水産省といたしましても全力で取り組んでまいります。
○仁比聡平君 県食品協会からは、この業界には後継者もいると、何としても復興して、ほかにも広がっていければというふうに伺いました。
まず、総務省に、能登地方の高齢化の実情を御紹介いただきたいと思います。
○政府参考人(岩佐哲也君) お答えいたします。
令和二年国勢調査の結果で六十五歳以上人口の割合を見ますと、全国が二八・六%、石川県が二九・八%となっております。また、能登地域六市町における六十五歳以上人口の割合でございますが、珠洲市が五一・六%、能登町が五〇・四%、穴水町が四九・一%、輪島市が四六・二%、志賀町が四四・七%、七尾市が三八・七%となっております。
○仁比聡平君 その下で、技能実習や特定技能の外国人労働者がおってくれるから現場が回っている、復興に向けてこれからがますます大事だとも伺いました。
続けて、農水大臣に、漁業や水産加工あるいは農業、このどの分野でもこうした外国人労働者が地域経済に欠くことのできない言わばレギュラーメンバーになっていると私思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(坂本哲志君) 我が国の農山漁村の人口減少等が進行する中で、技能実習生制度やあるいは特定技能制度を活用した外国人労働者数が漁業それから農業などの現場で増加しているところです。
厚生労働省の取りまとめによりますと、令和五年十月の末時点で、農業で約五万一千人、漁業で五千五百人、水産加工を含みます食品製造業で約十六万九千人の外国人材が就労されていると承知しております。地域産業を支えます重要な人材であるというふうに認識しております。
○仁比聡平君 武見厚労大臣と斉藤国交大臣にもお尋ねをしたいと思うんですが、人手不足が深刻な介護分野、それから建設分野、それぞれ外国人労働者はなくてはならない存在だと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(武見敬三君) この生産年齢人口減少する中で、必要な介護サービスを安心して受けられる、その担い手を確保することはもう喫緊の課題になっております。
この高齢化が進む能登地方においても、外国人介護人材の役割は重要であります。これまでも介護施設において御活躍いただいていると承知をしております。
また、今回の震災で被災された外国人の方もいらっしゃるものでありますから、引き続き、事態の把握努めながら、現地での介護施設等で御活躍いただけるように努めていきたいと思います。
○国務大臣(斉藤鉄夫君) 建設業におきましては、技能者の高齢化が進んでおり、中長期的に担い手を確保していくため、外国人の受入れによって人材を確保していく必要がございます。既に多くの外国人材が建設業の分野で活躍をされており、一部では日本人と同様に指導的な役割を担う職長、班長として活躍されている方々もおられます。
日本が外国人から選ばれる国であり、建設業が選ばれる産業であり続けるために、外国人にとって働きやすく暮らしやすい環境とともに、中長期にわたって活躍が可能な未来を見通せることが極めて重要です。
このため、不足する労働力を補う、そういう観点だけではなく、外国人材の中長期的なキャリアパスの構築についてもしっかり検討を進めてまいりたいと思っております。
○仁比聡平君 レギュラーメンバーなんですよ。
ところが、政府は、能登震災が起こった一月一日、どの実習先に何人の技能実習生がいて被災したのか、どんな職種でどんな困難に直面しているのかと、もう三か月になろうとしている今日まで、人数さえ明らかにできません。去年の六月時点で実習生が約四千六百人いるなどと言うだけなんですね。
そこで、小泉法務大臣にお尋ねをいたしますけれども、母国から遠く離れて言葉もうまく通じないと、そこで被災した外国人労働者がどこに何人いるのかという事実は、これは避難生活の支援や賃金そして雇用の保障に取り組んでいく上での出発点だと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(小泉龍司君) 被災された外国人に対して手を差し伸べようということになれば、当然、その居住されている所在地を把握しておく必要はあると思います。
ちなみに、この震災が起こった今年の一月、石川県に居住する技能実習生は五千百七十六人、特定技能外国人は二千三百三十七人です。このうち、技能実習生については、外国人技能実習機構が監理団体等を通じて確認をした結果、つまり、本人の所在を確認して、本人の生存を確認し、本人の無事を確認した、三月十五日時点で重傷者、死亡者はいないことが確認されております。
○仁比聡平君 入管庁にお尋ねしますが、今大臣が御答弁になった実習生で五千百数十、特定技能で二千百数十、これ初めて御答弁になりました。どういう数字ですか。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
ただいま大臣から御説明しました数字は、正確には昨年十二月末時点の石川県内にいらっしゃる技能実習生と特定技能の外国人の方の数でございます。
○仁比聡平君 十二月末時点でというのはどういう数字ですか。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
入管庁では、通常六月末と十二月末に、在留外国人の統計と申しまして、中長期在留者とか特別永住者の数、すなわち住居地の登録をされている方たちの数を公表しているところでございますので、先ほど申し上げた数字はそういうものでございます。
○仁比聡平君 法務大臣、つまり、一月一日に被災した実習生や特定技能外国人をつかんだ数字じゃないんですよ。
入管庁、改めて聞きますけれども、結局、一月一日に能登六市町で被災した技能実習生、特定技能外国人は、職種別そして市町村別に何人ですか。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
今現在、お尋ねの本年一月一日時点の職種別、市町村別の技能実習生については、集計を行っておりませんのでお答えは困難でございます。
なお、職種別の統計につきまして説明可能な数字としましては、令和四年度中に認定された技能実習計画のうち、事業所が石川県に所在する計画は三千五百三十九件でございます。
また、市町村別の数につきまして現在公表していますのは昨年六月末時点のものでございまして、石川県内の特に被災が大きかった地域を幾つか申し上げますと、七尾市で四百九人の方が技能実習生いらっしゃいます。また、能登町では七十九人、輪島市では四十六人、珠洲市では四十三人などとなっているところでございます。
○仁比聡平君 今、次長が答えられた資料は、お配りしている三枚目にあるとおり、これが去年の六月末までに実習計画が認定されている数字と、そういうことなんですよ。
法務大臣、被災した実習生の数、特定技能労働者の数というのは、これ今日までつかまれていないんですよ。ですから、入管庁、続けて聞きますけれども、現在も適正な実習が再開できていない実習生は何人か、賃金が一〇〇%支払われていない実習生は何人か、分からないでしょう。
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
まず、現時点でといいますか、三月十五日時点での把握でございますが、能登半島地震の技能実習生への影響に関しまして、外国人技能実習機構が石川県内の状況について監理団体等を通じて確認をした範囲では、重傷者、死亡者はいらっしゃらず、三月十五日時点で避難所に避難している技能実習生の方が三名いらっしゃるということを把握をしております。
それから、休業の状況でございますが、これも同じく外国人技能実習機構が石川県内の状況について、これも監理団体等を通じて確認しているところでございますが、同じく三月十五日時点で、再開めどがあるというケースも含めてになりますけれども、七十三名の技能実習生の方が実習を再開できていないという状態であることを把握をしているところでございます。
○仁比聡平君 まず、影響調査として、監理団体を通じてとおっしゃいますが、幾つの実習先に対して幾つの監理団体を通じて聞き取りをしているんですか。
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
実習実施者が約八百六十、監理団体が約百六十でございます。
○仁比聡平君 これ何で、法務大臣、厚労大臣、約なんですか。そこには何人の実習生がいるんですか、それぞれ。
本来、実習機構は個別の実習先にどんな職種で実習しているというのを個別に認定しているわけですから、分かるはずでしょう。それを三か月たって、何でこんな答弁なんですか。法務大臣、おかしいと思いません。
○国務大臣(小泉龍司君) この把握の仕方、集計の仕方、報告の仕方、もう一度しっかりとチェックをしてみたいと思います。
○仁比聡平君 そういう調査で十五者七十三人というのがまだ実習が再開できていないというふうにおっしゃるんだけど、それ監理団体から聞いているだけなんですよ。
厚労でも入管でもいいですけど、その七十三人というのは今どうしているんですか。賃金はもらえているんですか。ちゃんと暮らせているんですか。
○政府参考人(岸本武史君) お答えいたします。
七十三人の方の状況でございますが、実習継続につきまして、実習が現在その再開をできていないという中で、再開めどがあるというところと再開めどが立っていないというところございます。再開めどが立っていないというところが十五、それから再開めどがあるというところが二十一ございます。
そこに所属している実習生の方の人数でございますが、再開めどが立っていないというところが三十人在籍をしていらっしゃいます。このうち、十五者の再開めどが立っていない実習実施者のうち六者に集中しまして三十人の実習生の方が所属をしていると。一方、その現時点で再開できていないけれども再開めどはあるというところには四十三人の方が所属をしていらっしゃいます。
その再開めどが立っていない三十人の方の内訳でございますが、六者の実習実施者のうち四者については、再開めどは立っていないんですけれども、断水の改修状況、解消状況などを見ながら再開をしようという意思は持っていらっしゃいまして、そこに四者二十四人の方が、四者の実習実施者に二十四人の実習生の方がいらっしゃることを確認しております。
残る二者、二つの実習実施者のところに六人の実習生の方がいらっしゃるわけでございますが、これにつきましては、その中の一人の実習生の方は資格外活動によって就労なさっているという状況でございます。また、残り五人でございますが、そのうち二人は転籍先が決定をしていて、これから転籍先での就労、実習再開をしようという段階、それから残り三人の方が現在転籍先を探索中という状況でございます。
○仁比聡平君 今の話も初めて今日この議場で紹介をされているんですが、つまり監理団体からそう聞いているわけですね。およそ監理団体任せ、実習先任せということで、良心的な監理団体からは、電話で問い合わせてくるだけで見にも来ない、会おうともしないという声が上がっています。技能実習機構と所管省庁には、本来、自ら適正な実習を実施し、実習生を保護する責務があるわけですよね。
上川外務大臣に続けてお尋ねしますけれど、寮のアパートも壊れて、せっかくもらえた飲み水でトイレを流さなければならないのかというくらい生活用水に困ったり、ハラル食もないといった若い実習生たちがたくさん被災をしました。そのお一人お一人に向き合ってきたのは、長年日本語教室などで外国人コミュニティーにつながってきた方々です。この間、外務省にお尋ねしますと、各国の公館から特に要望などは届いていないというふうに私突き放されてきましたけれど、いや、各国動いているわけですよ。
そうした外国のコミュニティー、こういうときこそコミュニケーションをしっかり大切にすると、そうすべきなんじゃないですか。
○国務大臣(上川陽子君) 今の現状につきましての御質問でございますが、能登半島地震の被害を受けた外国人労働者の方々に対しまして、在京の大使館等によりまして自国民保護の活動についてやっているところでございますが、外務省といたしましてそれを包括的に把握をしている状況にございません。しかし、実質的に支援について要請も受けている状況ではございませんが、御要請があればでき得る限りの支援を行うこととしているところでございます。
○仁比聡平君 大臣もそこまでしか答弁ができないのかと情けない思いが、私もするし、大臣もしていませんか。
この間、そうした中で、法務省、入管庁が、三・一一のときにはやっていませんでしたが、初めて資格外活動を認めるという特例を発しました。それから、技能実習機構は、職種の範囲内でなら転籍を認めるという特例が発せられて、先ほどの状況も踏まえて行われているわけですが、説明をいただけますか。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
まず、入管庁から資格外活動許可について御説明申し上げます。
入管庁におきましては、本年一月十五日以降、能登半島地震の影響を受けて本来の活動に従事することができない就労資格を有する外国人の方に対して、資格外活動の許可、一日当たり八時間の許可を行う取扱いを行っているところでございます。これまでのところ、当該許可を受けた方の総数は、当方で、本庁で把握していますのは五十五件となっているところでございます。
○政府参考人(岸本武史君) 厚生労働省の方から転籍の際の職種についてお答え申し上げます。
技能実習生の転籍につきましては、通常の取扱いといたしましては、技能実習は、御案内のとおり、まず職種という区分があって、それが更に作業という区分に細分化されてございますが、その同一の職種の同一の作業の中で転籍可能というのが通常の取扱いでございます。
これに対しまして、転籍先を探したものの見付けることができないといったやむを得ない事情が認められる場合であって技能実習生御本人も希望されているというような場合には、作業の区分を超えて同一職種内での転籍を認めるという扱いとしておりまして、この点、外国人技能実習機構のホームページでの周知、また監理団体を通じた実習実施者への連絡などして周知を図っているところでございます。
○仁比聡平君 とても不十分なんですけど、ですが、現場に行くと、そんな特例があるんですかという声なんですよ。どんなふうに共有してきたんですか。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
資格外活動許可の特例措置を含めた各種支援策につきましては、一月十五日以降、順次、出入国在留管理庁、厚生労働省及び外国人技能実習機構のホームページやSNSなどで案内をしてきたところでございます。
○政府参考人(岸本武史君) お答え申し上げます。
厚生労働省の方でも、外国人技能実習機構等と連携をいたしまして、ホームページの周知、SNSでの発信などのほか、監理団体を通じた周知などを図っているところでございます。
○仁比聡平君 どうしてそれぞれの業所管庁や被災自治体に直接共有しないんですか。これ、今回だけじゃないんですよ。
最後の資料に、前回、二〇一八年の改正時に大問題になった失踪について、その後もどんどん増えて、一昨年は九千六人と。
この失踪というのは、その都度、業所管省庁や関係自治体に知らされていますか。
○委員長(櫻井充君) どなたに質問ですか。
○仁比聡平君 入管。
○政府参考人(丸山秀治君) お答え申し上げます。
技能実習制度におきましては、技能実習法の規定に基づき設置された事業協議会などの機会を捉えて、建設や農業の分野を所管している関係省庁などに対して職種別の失踪技能実習生に係る情報提供や失踪防止対策に係る周知啓発などの取組を行っております。特に、建設業を所管する国土交通省との間では、法務省から失踪技能実習生に係る情報を提供するだけでなく、国土交通省において失踪技能実習生を把握した場合には法務省に対し連絡していただくなどの情報連携の仕組みを設けているところでございます。
引き続き、制度を共管する厚生労働省や外国人技能実習機構などの関係機関とも連携しながら、失踪問題に対処してまいりたいと思います。
○仁比聡平君 農水大臣、その都度ね、その都度この失踪というのは知らされていないでしょう。それで、農村で大ごとじゃないですか、一人が失踪したら。分からないというようなことで、関係団体との調整だとか受入れ上限の目標を定めたりとか、そんなことできるんですか。
○委員長(櫻井充君) 時間が参っております。簡潔に御答弁お願いします。
○国務大臣(坂本哲志君) 議員御指摘の技能実習実施困難届出書につきましては、制度上、農林水産省に共有されないものと承知をしております。
我が省では、農林水産省では、個別の経営体からの相談などによりまして失踪を把握した場合に、可能な限り同じ職場の技能実習生等へ聞き取りを行い、失踪理由を把握するように努めているところであります。
○委員長(櫻井充君) 時間が参りました。
○仁比聡平君 はい。
選ばれる国にというなら、低賃金で都合よく働く労働力が国家にとって好ましいとばかりに移住労働者の権利を認めず、好ましくないとなれば退去を迫るような、そんなやり方はもうやめるべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。