在日本大韓民国民団は6月6日、国会前で税金未納などで外国人の永住資格を取り消す入管法改定案に反対する集会を開きました。日本生まれや韓国出身の人たち400人超が全国から集まり、永住資格取り消し条項の削除を求めて抗議しました。日本共産党の本村伸子衆院議員、仁比聡平参院議員ら野党議員が参加しました。

 民団は金利中団長の名前で声明を出し、「永住者と家族が社会の一員ではなく、いつでも疎外されうる極めて脆弱(ぜいじゃく)で差別が当然とされる立場に追いやるもの」とする危機感を示しています。

 日本で生きるからには一生懸命働いて税金を払うようアボジ(父親)から教えられたという民団大阪地方本部の金明弘団長は、「在日同胞は苦労の結果、日本のあらゆる分野で活躍している。そのような私たちの存在は迷惑なのか。永住権を簡単にはく奪することは絶対に許されない」と強調しました。

 アジア各国の商店が集中する東京都新宿区の「新宿韓国商人連合会」鄭宰旭会長は「苦労してやっと取った永住権を一瞬で失うことになる。新大久保地区のコリアンタウンには700の店があり、若い人たちにも影響がある。私たちは特別な扱いは求めていない」と訴えました。

 韓国から30年前に来日し、「差別は減ってきて暮らしやすくなってきていた」という永住者の女性が、集会後の取材に応じました。来日当初は、都知事だった石原慎太郎氏が差別的な発言をし、書店に差別本が並んで子どもたちが怖がっていたと言います。「法案が成立すれば、制度としての差別になる。私たちが年老いて税金が払えなくなったら永住権が取り消されるのか。法案提出も審議もあまりにも急だし、こそこそしている」と批判します。

 今後、取り消し対象が戦前から日本に住んでいた人やその子孫の特別永住者にも拡大されるのではないかと心配です。「外国人の仕事の能力は欲しいが増えてほしくない。必要なものは取るが、いらなくなったら切るという意味だ。絶対に反対する」と話しました。(しんぶん赤旗 2024年6月7日)