日本で暮らす移民や難民の命をさらに危うくする入管法改悪案が5月12日、参院本会議で審議入りしました。日本共産党の仁比聡平議員は、「差別と排斥」ではなく「保護と共生」こそ必要だと強調し、当事者、支援者、専門家をはじめ国民の声を真剣に聞き徹底審議をと求めました。
仁比氏は、2年前に名古屋入管で起きたウィシュマ・サンダマリさんの死亡事件が「わが国の入管収容、難民認定行政の底深い人権侵害構造をあらわにしている」と指摘。同様の事件が繰り返されながら、政府が実態解明と徹底検証に背を向け続けてきたと厳しく批判し、全ての事件について「第三者機関による検証を行い、国会に報告すべきだ」と主張しました。
仁比氏は、日本共産党を含む4会派・5党が▽在留資格のない人を全て収容する全件収容主義をやめ▽収容期間に上限を定め▽収容の判断は司法審査とし▽独立した難民保護委員会を創設する―を柱とする対案を提出したとして、その実現を主張。政府の改悪案は、3カ月ごとに収容の必要性を見直す監理措置制度の新設や一時的に収容を解かれる「仮放免」の在り方の見直しをうたうものの、「これまで通り入国審査官の裁量に委ねられている」と批判しました。
仁比氏は難民認定申請者には、不認定通知の翌日に強制送還され、転々と避難生活を送る人や、送還先で刑事裁判にかけられ、そのさなかに殺害された人がいるとして、「難民条約と国際人権法に照らして断じて許されないのではないか」と追及。斎藤健法相は「質問の前提事実が抽象的であることから、答えることが困難」だなどと不誠実な答弁に終始しました。(しんぶん赤旗 2023年5月13日)