葉梨康弘法相の辞任は、山際大志郎経済再生担当相の更迭に続き岸田内閣で2人目。岸田内閣にとって大きな打撃です。岸田文雄首相の任命責任も重大で、与党内には「辞任ドミノが現実になる」と衝撃が走っています。

 

資格の欠落 さらけ出す

 葉梨法相は11月9日夜、「法相は死刑(執行)のはんこを押す地味な役職」などと発言し、法相としての資格が問われていました。

 死刑廃止論も有力なもと、死刑囚であろうとも、基本的人権などその尊厳は最後まで尊重されることは当然です。「死刑のはんこを押すだけ」という言葉には、人権感覚のかけらもなく、国家として人の命を奪うことへの重い責任の自覚もまったくありません。法務行政を担当する法相としての資格の欠落をさらけ出したもので、辞任は当然です。

 また「旧統一協会問題に抱きつかれてしまい、解決に取り組まなければならず、私の顔もいくらかテレビに出るようになった」などと発言し、この点でも批判されていました。

 葉梨氏は、自らの発言に対する批判が起き、10日午前に松野博一官房長官から厳重注意を受けても発言を撤回しませんでした。

 ところが同日午後、参院法務委員会で野党から厳しく批判されると「おわびして撤回する」と言明しました。しかし、「職責を全うしたい」と辞任は拒否。一方で、「法務省と外務省、票とお金に縁がない」などと発言したことについては撤回を拒否しました。

 日本共産党の仁比聡平議員は同委で「死刑制度や統一協会の被害者救済に極めて重い責任を負う法相が、こんな軽々しい発言をすることはありえない。法相として不適格だ」と厳しく追及しました。
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 日本共産党の小池晃書記局長は同日の会見で、「死刑執行命令は法務大臣の職責の中でも本当に重いものだ。それを軽んじる発言をしたこと自体、法務大臣の資格は全くない」と批判。「金を集めるために法相になっているのか、票を集めるために法相になっているのかといわれても仕方ない」と指摘しました。(しんぶん赤旗 2022年11月12日)

 

「首相に近いところから」

 今回の辞任では、葉梨氏を法相に任命し、問題が発覚した後も続投させる考えを示して同氏をかばった岸田文雄首相の責任が厳しく問われます。

 岸田首相は11日午前の参院本会議でも「改めて職責の重さを自覚し、説明責任を徹底的に果たしてもらわなければいけない」と答弁し、野党側の更迭要求を拒否しました。しかし、野党の追及と国民世論の高まりのもと、与党内からも「とんでもない発言」(自民・世耕弘成参院幹事長)、「大変、不愉快」(自民・遠藤利明総務会長)などの批判が噴出するのを受け、更迭に踏み切りました。統一協会との癒着で世論の批判を受けながらかばい続けたあげく辞任に追い込まれた山際大志郎・前経済再生担当相の事例の「二の舞いだ」との声があがっています。

 葉梨氏は、岸田首相と同じ派閥である「宏池会」(岸田派)に所属。政治資金収支報告書をめぐる疑惑が噴出している寺田稔総務相も同派閥です。日本共産党の小池晃書記局長は10日の会見で、「首相にきわめて近いところから次々と大臣の根本的資質にかかわる問題が出ていることは、岸田政権の重大な問題だ」と指摘しました。

 岸田内閣には、寺田総務相や、同じく「政治とカネ」をめぐる疑惑がもたれている秋葉賢也復興相、統一協会と事実上の「政策協定」(推薦確認書)を交わした複数の副大臣ら説明責任も果たさずその職に居座り続ける政務三役が依然として大勢います。その腐敗ぶりは底無しです。

 

行き詰まり 危機が噴出

岸田内閣の支持率は下落を続け、統一協会と政府・自民党の癒着や物価高対策の遅れに対する国民的批判は強まっています。山際経済再生担当相に続く葉梨法相の辞任は、政治的行き詰まりと危機が噴出し、追い込まれる中での第二の更迭劇です。

 統一協会との癒着は底知れぬ深まりを示し、自民党全体が汚染されている状況に「打つ手がない」(自民党関係者)という状況で、次々と噴き出す新事実に、政権も自民党も後手後手の対応が続いています。岸田首相と官房長官、党幹事長や国対委員長との連携の悪さも指摘され、自民党内からも「内部崩壊が始まっている」と声が漏れます。

 一方で、岸田内閣は、医療・介護などの社会保障破壊や、「敵基地攻撃能力」の保有をはじめとする大軍拡は着々と進行。危機の深まりの中で、対米追随と財界依存をいっそう深めています。

 これに対し、高齢者の医療費窓口負担の2倍化に続き、医療保険料の値上げ、介護保険の要介護1・2の訪問介護などの保険はずしの動きなどに強い抗議の声が広がりつつあります。

 また、安保3文書改定に向けた与党協議の加速や、同文書改定の政府有識者会議で軍拡財源を「国民全体で広く負担」するなどの大増税路線を打ち出す動きに反撃の動きが広がっています。

 人権と民主主義を顧みず、暮らしと平和の破壊を強める岸田政権打倒のたたかいを大きく発展させる時です。(しんぶん赤旗 2022年11月12日)