鳩山政権の決断が今問われる
米軍普天間基地の無条件撤去を求める“島ぐるみ”の声に日米両政府がどう応えるかが、いよいよ問われる状況となりました。
沖縄県民大会に集まった10万人規模の県民は、普天間基地の即時閉鎖・返還を求め、名護市辺野古やキャンプ・シュワブ陸上部、勝連半島沖などへの「たらいまわし」に拒否を突きつけました。鹿児島県の徳之島など県外で「移設」候補地とされるところでも賛成は皆無です。行き詰まった「移設」先探しを断念し、普天間基地の無条件撤去のための対米交渉に取り組むかどうか、鳩山由紀夫政権の決断が迫られる正念場です。
“島ぐるみ”の声に応えよ
「命(ぬち)どぅ宝」「基地は県民が選択したのではない」―。炎天下、本島はもちろん周辺の島々からもプラカードや小旗を持って駆けつけた男性や女性、おじい、おばあ、子どもたち。会場を埋めた性別も年齢も職業もさまざまな県民の、燃え立つ思いです。県内各地でも集会が開かれ、参加できなかった県民も黄色いリボンなどを身につけて意思を示しました。
超党派の県民大会には、県内の各層から、政治的立場を超えて数多くの団体が参加しました。日本共産党は志位和夫委員長、市田忠義書記局長らが参加し、各党の県議や仲井真弘多知事、県内41の全市町村長も参加しました。文字通り、“県民ぐるみ”“島ぐるみ”の、基地撤去の意思表明です。
鳩山政権は、総選挙での公約に反して、県内での「たらいまわし」や隣接する徳之島への一部「移設」の策動を続けています。しかし、先週の徳之島での住民の6割を占める1万5000人の集会に続く、10万人規模の沖縄県民大会は、こうした策動を打ち砕くものです。圧倒的な住民が結集した大集会は、県民・国民の世論がもはや後戻りできない「限界点」を超えたことを示しています。
いまや沖縄県内にも県外にも、普天間基地の「移設」を受け入れるところはありません。大会前日表面化した名護市辺野古への「移設」案に戻すという鳩山政権の動きにも、県民の怒りは一気に噴出しました。「移設」先の「同意」が得られない以上、普天間基地を「移設」することは不可能です。
だからといって、米軍でさえ「世界一危険」と認める普天間基地をこのまま存続させることは絶対に許されません。普天間基地はもともと米軍が不法に土地を奪ったものです。「移設」できないから存続させるなどというのは、怒りの火に油を注ぐだけです。鳩山政権は「移設」先探しをきっぱり断念し、無条件撤去を求める対米交渉に踏み切る以外道はありません。
「抑止力」で県民抑えるな
志位委員長が先週末の党首会談で無条件撤去への「歴史的決断」を求めたのに対し、鳩山首相は、海兵隊は日本を守る「抑止力」だという立場で応えませんでした。沖縄の海兵隊は日本を守るどころか世界に殴りこむ「侵略力」です。海兵隊は「抑止力」だという虚構で、撤去を求める県民世論を“抑止する”などというのは、断じて許されることではありません。
日本に多くの外国の軍隊の基地が置かれ、とりわけ沖縄には75%の在日米軍基地が集中していることが異常です。普天間基地の撤去を第一歩に、「基地のない日本」を切り開くことこそ求められます。(しんぶん赤旗 2010年4月26日)