○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
今日は、いわゆる団体監理型の外国人研修生・実習生制度の問題について大臣にお尋ねをしたいと思います。
国際研修協力機構、いわゆるJITCOによりますと、九二年度から〇八年度までの十七年間に死亡した研修生・技能実習生は累計で二百十四人に上り、そのうち脳・心疾患が原因とされる方が六十七人、自殺は二十一人に達しております。とりわけ〇八年度の死者は三十五人と過去最多になりまして、そのうち脳・心疾患は四六%に当たる十六人、自殺もお二人です。この件についてJITCOは、正確な比較はできないが、心疾患の発生率は同年代の日本人のほぼ二倍というふうに言っているわけですね。
研修生は健康診断を受けて来日する二十代、三十代の青年です。建前は研修、技能移転だというふうにされながら、現実には現場に蔓延してきた深刻な人権侵害と奴隷労働がこうした事態を生んできたのではないのかと私は思います。
そこで、労働基準局長、いらっしゃるかと思いますが、こうした実態についてどのような認識をお持ちか。加えて、これまでに発生した死亡事故について、綿密な調査を行って原因を解明し、その結果を公表すべきではないかと思うんですが、いかがでしょう。
○政府参考人(金子順一君) お答え申し上げます。
まず、労働基準監督機関といたしましては、労働者の方が業務上の事由で死亡したおそれがある場合でありますとか、そういったことにつきまして、その状況をよく調査いたしまして法違反の是正等をやることにしております。これは技能実習生の場合も同様でございます。
今お尋ねのございました平成二十年度におきます死亡の事例、三十四名でございましょうか、このうち技能実習生に係ります二十四名につきましては、このうち業務上の事由が疑われるもの、あるいはこれに関連して労働基準法違反のおそれがあるものにつきまして、十一件につきまして労働基準監督署による監督指導を実施したところでございます。その結果、何らかの労働基準関係法令違反が認められた事業場が九件ございました。我々、今後とも、技能実習生の労働条件につきましても、問題があるものにつきましては適切に監督指導をしていきたいというように考えております。
また、公表についてのお尋ねがございましたが、平成二十年度の技能実習生に関します監督指導結果、今厚労省のホームページに載せております。二十一年度につきましても、これらに関する調査結果も含めまして、なるべく早期に公表をしたいというように考えております。
○仁比聡平君 今御答弁があった二十年度の監督指導及び送検の状況について私も拝見をいたしました。この中で申告事例あるいは送検事例について、その前年までの報告以上に工夫をして、どうした悪らつな事案でどういう形で労基局として正したのかということについて見て分かる形で工夫をされていると思うんです。十一件指導に臨んだもののうち九件についてそうした違法が認められたということ自体が極めて悪質なわけですから、この事態について工夫をして解明し、公表を強化するということを強くお願いをしておきたいと思います。
これからは制度改定で全期間を労働者として保護するわけですから、労基局の責任というのは大変重くなるということかと思います。
そこで、研修生、実習生の死亡について、これまでは権限もないJITCOへ自主的に報告することになっているだけだというふうに伺ってきました。それでは青年を死にまで追い込む人権侵害や法違反の悪らつな働かせ方を明るみに出すことはできないと思います。脳疾患や心不全など病死や自殺とされている案件も含めて、すべて権限がある当局に詳細に実態をつかめるように、その当局が詳細に実態をつかんで正すべきだと思いますけれども、入管法とその省令の改定ではどんなふうになっていますでしょうか。
○政府参考人(田内正宏君) 現状では技能実習生についてのみJITCOを通じて入国管理局に報告することになっております。これは法務省告示にあります指針の中にそう定められております。
新たな研修・技能実習制度におきましては、上陸基準省令及び変更基準省令において、研修及び技能実習の活動を継続することが不可能となる事由が生じた場合、これにその失踪、死亡事故が入るわけでありますが、監理団体等が直ちに地方入国管理局に対して当該事実及び対応策の報告を行わなければならないとされております。
なお、この監理団体等が地方入国管理局への報告を怠った場合には不正行為認定の対象となっております。
○仁比聡平君 報告を怠れば不正行為認定になるわけですから、つまり入管にそうした死亡や失踪等を含めた事案の報告をするということは、これは法律上義務だというふうに言っていいんだと私は思うんですね。
この報告を受けて、入管はどのように対応するわけですか。
○政府参考人(田内正宏君) 失踪事案につきまして報告を受けた場合は、当該受入れ機関における研修、技能実習の実施状況について把握に努めます。技能実習生に対する低賃金労働等の不適正な事案が判明したときには不正行為の認定を行う等、厳正に対応してまいるつもりであります。
死亡事故につきましても、死亡事故の概要、研修生、技能実習生の身分事項や受入れ機関名等の事実関係の把握に努め、死亡事故の原因が研修、技能実習と因果関係があると思われるものにつきましては、更に受入れ機関における研修、技能実習の実施状況について速やかな調査を行い、不適正な事案と判明した場合には不正行為の認定を行う等の厳正な対応をしてまいります。
また、失踪事案、死亡事故事案において、調査等の結果、労働関係法令違反等が疑われるものがあれば労働基準監督署と関係機関に通報してまいります。
○仁比聡平君 入管の権限と専門性ということを考えますと、不正行為を認定していくというテーマに向かっての調査の中でそれが極めて大事だと思いますが、直接、労働関係法令違反による是正やあるいは送検などのそうした権限をお持ちではないわけです。
この労働関係法令違反という問題について、これ情報を共有して、労基署はどんなふうに取り組んでいくのでしょうか。
○政府参考人(金子順一君) 私ども労働基準監督機関といたしましては、出入国管理機関との間に今相互に通報する制度を設けております。入管当局の方から御連絡があった場合には、私どもの方で労働基準法違反を是正すべく必要な監督指導を
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