宝の海、有明海を再生させよう! 農水省は水門の開門を―。「よみがえれ! 有明海訴訟」原告団・弁護団、有明海沿岸の漁民らは2月17日、諫早湾干拓事業によってつくられた潮受け堤防排水門の開門を求めて参院議員会館で集会を開き、35人が参加しました。
「水揚げしたノリは色落ちして出荷できるものではなく、加工業者に持って行くと1枚2円といわれました。これでは経費も出ません。1月で網を全部撤去しました」。北部排水門に近い佐賀県太良町のノリ養殖漁業者(40)は、調水池からの排水による赤潮被害を切々と訴えました。
「政権が代わっても何も動いていません。このままでは来年も同じ被害が起き、自己破産する漁民も出かねません。開門の政治決断をお願いします」
これまで開門に反対していた方針を転換し、開門を求めることを3日に全組合員一致で決めた、諫早湾内の瑞穂漁協(長崎県雲仙市)の室田和昭副組合長(66)は、「この13年、いつかはよくなるだろうと耐えてきましたが、もう限界。自分たちだけがいい思いをしたいのではありません。堤防内の農業者、諫早市民の生活を守りながら、環境に優しい開門を実現したい」とのべました。
「よみがえれ! 有明海訴訟」弁護団長の馬奈木昭雄弁護士は、「営農と漁業を両立させる道はあります。それが水門の開門です。汚れた水は農業には使えません」と強調。開門に反対してきた諫早湾内の3漁協のうち、瑞穂漁協が賛成に転じ、他の漁協も組合員が開門を求める訴訟に参加するなど「長崎の漁民の意思は開門だ」とのべました。
集会には、日本共産党の仁比そうへい参院議員、赤嶺政賢衆院議員や、自民、民主など各党の国会議員が出席。仁比氏は、「海の異変を一番わかっているのは漁民のみなさんです。開門を求める漁業者の決断は重い。政府の開門の決断を後押しするのは、みなさんの声です」とのべました。
集会後、参加者らは農水省に対し、(1)農水相と漁業者らとの懇談の設定(2)潮受け堤防排水門の開門(3)ノリの色落ち被害の原因究明と再発防止―を要請しました。(2010年2月18日(木)「しんぶん赤旗」)