長年、騒音にさらされる現場で働いてきたことにより騒音性難聴になったとして、船員保険障害給付の不支給決定の取り消しを訴えた裁判の判決が10月23日、東京地裁であり、原告が勝訴しました。
裁判を起こしたのは熊本県の梶原武康さん(71)。郵政や国鉄などの民営化の時期に働いていた労働者の業務上疾病に対して公務災害と労災の双方から不支給とされた労働者が多発し、補償を求めてきた問題の一つです。
梶原さんは起重機船の船長として港湾土木作業に従事し、2005年6月1日から13年5月1日まで船員保険に加入していました。船体のさび取りのほか船内のエンジンや発動機等の整備・修理など騒音にさらされる現場で、12年ごろから次第に同僚の言葉が聞き取れなくなり、難聴の症状が悪化。13年4月30日付で退職しました。
翌年、作業時の騒音により感音性難聴にかかったとして船員保険障害給付を請求しましたが不支給になりました。船員保険が全国健康保険協会(協会けんぽ)に業務を委譲しているとして、不支給処分を不服とした裁判は東京地裁でたたかわれることになりました。
勝訴判決に、地裁前に集まった全日本建設交運一般労働組合(建交労)の支援者ら約60人は「万歳」の声をあげました。梶原さんは笑顔で「ほっとしました。組合のみなさんのおかげでここまでこられた」と語りました。
この問題では、日本共産党の仁比聡平参院議員が厚生労働省に補償のためのルールの明確化を求め、同省からいずれかの保険制度で救済するよう徹底する「事務連絡」が出されていました。(しんぶん赤旗 2018年10月24日)
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