○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
まず、松村防災担当大臣に、発災から丸五か月たちました能登半島地震の被災地の復旧の現状をどう捉えておられるかということからお尋ねをしたいと思うんですけれども、瓦れきの処理あるいは被災家屋の解体が進まず、生活となりわい再建の大きな障害となっているという下で、六月三日早朝、震度五強の地震が起こりました。
お手元に北國新聞をお配りしていますけれども、この地震で少なくとも六棟の二次倒壊が起こって、被災者の方の、とどめを刺されたという言葉が本当に胸が痛い思いがいたします。もちろん、倒壊が危険で緊急解体が再開をされるという状況にもなっているわけですけれども、金沢に一・五次避難、あるいは加賀などへの二次避難、あるいは各地にみなし仮設への入居で奥能登から離れている被災者の方々がたくさんいらっしゃいます。こうした大きな地震が起こる、その中で、御自身のおうちやその周りが一体どうなっているだろうかという、すぐに見に行くわけにもいかないというこの焦燥感というのは相当なものだと思うんですよね。ですから、長引けば長引くほど意欲を失っていくと、これ輪島の朝市の関係者の方々がつい最近そんなふうに思いを漏らすことがあったんですけれども。
こうした被災者の思いの中で、この北國新聞の大きな見出しに「公費解体遅れの懸念的中」というふうにあるようなこの被災者あるいは被災地のいら立ちが募っている。私も、ここで一気にスピード感を持った局面に転換しないと、本当に大変なことになると思うんですね。災害関連死あるいは孤独死につながりかねない、その被災者の心が折られてしまう、元々能登に帰りたいという思いで本当にみんな頑張ってきているのにこの遅れが被災者の心を折るようなことになっては絶対にいけないと思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(松村祥史君) 今お話を聞いておりまして、熊本の地震のことを思い出したところでございました。
私も現場で、皆さんのもう心が折れてしまう、こんなお話をたくさん伺ってまいりましたし、今日は馬場総務副大臣もおいでですが、共に復旧復興に当たってきた仲間として今のお言葉はよく理解ができるところでございます。
この五か月、いろんなフェーズを予測しながら、まず命を守っていただく一次避難、そして二次避難という手段を取ってまいりましたし、その上で仮設の設置、八月まで何としても地元の皆さんと連携を取りながら進めなければならないと思っております。
これにつきましては、遅いというよりも、熊本よりも早うございます。熊本では四千三百棟を七か月掛けて造りましたが、今回五か月で四千三百弱までこぎ着けております。何とか八月までには仮設に移れる状態をつくっていけるように地元の皆さんとやってまいりたいと思っておりますし、公費解体については、先ほどお話ししたように、六月一日前から環境省とも連絡を取り、どうすれば加速できるかということで、根詰まりしておりました補償コンサルの方々を増やす、そのことによって発注を増やし、しっかりと待ちの状態にございます解体事業者の方々、こういった方々を全国からも受け入れる仕組みをつくるためにコンセンサスを市町あるいは県とつくっていただくというようなこともこの間やってきたところでございます。
ただ、これで終わりでございませんで、しっかりとこれをどう加速させて、復興状態、また復興フェーズの中で創造的復興プラン後押しして、伴走支援できるか、しっかり地元の皆さん方の声を伺いながら頑張ってまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 ここで終わりではないというのではなくて、多くの被災者の方々にとって、ここからが始まりというような実情があるんじゃないかなと思うんですよね。だからこそ、被災者の方々から、能登は見捨てられたのかというような悲痛な声が出てくるわけじゃないですか。この五か月間、大臣先頭に政府が様々な取組に努力してこられたということ自体は私は否定するものではありませんけれども、ですが、私たちが被災者の方々に示さなければならないのは、仕事で復旧復興に向かっていっているんだという実感、それを通じて希望をしっかり示していくということだと思うんですね。
六月に入って、ここで一気に局面を転換しなきゃいけないと、復旧復興に向かう仕事が本当に被災者の方々の目に見えるようにならなきゃいけないと、そういうスピード感を持たなきゃいけないと、つくり出さなきゃいけないと思いますが、大臣、その決意はいかがですか。
○国務大臣(松村祥史君) 今度は、今の一言は令和二年の水害を思い出しました。発災から一か月たって報道から自分たちの姿が消え、既に忘れ去られたというようなお声を聞いておりました。ですから、私は、地元中の地元でございましたので、その地元の一人として、いやいや、何かを求めるのではなく、我々からどんどん発信しましょうよというようなことを言って、頑張りましょうと声を掛けてきた思い出がございます。
まあ、そのことを石川に求めるつもりはございません。これから、やはり心折れることなくしっかりと、先ほど、これで終わりではなくというのは、このフェーズを早く終わらせ、次の復旧復興、復興フェーズに持っていかなければならないしという意味で申し上げたところでございますので、私一人では何もできませんので、やはりしっかりと地元の声を聞きながら、県とどんな連携が取れるのか、それから過去の経験も生かしながら、やはり仕組みづくりが大事であろうと思います。
そういったことを引き続き努力してまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 そこで、法務副大臣、門山副大臣においでいただきました。
今日ももう既に議論があっていますけれども、これまで被災建物の共有者全員の同意がなければ公費解体ができないということが円滑な解体、撤去を妨げてきたということを認識をされて、五月二十八日に登記官の職権滅失登記によって促進を図ろうという方針が出されました。輪島の朝市の焼失箇所に関しては五月三十日までにこの滅失登記が急いで完了されたということで、登記官の皆さんも頑張られたと思うんですよ。
なのですけれども、実際見ますと、能登地方を所管しているのは輪島法務支局というところですが、ここには登記官が三名しかおりません。元々、小泉構造改革の定員削減がどんどん進められて、全国の法務局、特に支局というのは登記官の数が本当に大変なんですね。
一方で、この滅失登記の調査や登記の対象になるのではないかという建物は膨大じゃないですか。ですから、抜本的な体制強化をやらないと、せっかく打ち出して、そして期待もされているこの方針がまた進まないということになってしまったら、これ、とんでもないことになると思うんですが、体制、それから予算確保も含めて、どんな取組をされますか。
○副大臣(門山宏哲君) 被災地の復旧復興に向けて、法務局では地元自治体と連携して職権滅失登記に取り組んでいくこととしております。まずは輪島市の協力を得て輪島朝市の焼失エリアの職権滅失登記を先行実施し、委員御指摘のように、五月三十日に登記が完了したところではございます。
今後、公費解体が更に加速すると見込まれる中で、委員御指摘のとおり、職権滅失登記を円滑に実施するための体制を整備するということは重要であると考えているところでございます。被災地での職権滅失登記の実施に向けて、全国の法務局から職員を派遣して当面の応援体制の構築をするとともに、土地家屋調査士の活用を含め、必要な体制整備に努めてまいります。
○仁比聡平君 登記官を全国から集めるということと、それから土地家屋調査士会にこの調査などを委託するというのが現実に打たなきゃいけない手だということだと思うんですね。そうすると、実際に予算もそれで必要になると。この確保も必要だということも含めて、決意も引き続き語っていただきたいんですけれども、もう一点、法務副大臣に。
滅失登記を法務局がしてくれたら市町村は安心して取り組めるんですね。今回の方針は、それが進まないときにも、滅失登記に当たるような建物性が失われた場合、お手元の資料の五枚目になりますけれども、建物全体が倒壊又は流失した場合、建物が火災により全焼した場合、建物の下層階部分が圧壊した場合、建物の壁がなくなり柱だけになっているような場合は市町村の判断でできるというふうに方針はなりました。
ですが、市町村がその的確、迅速な判断を行うには、所有権の関係だとか、あるいは建物の構造などについての専門性、それから相当数の現地調査や事務負担が生じてくるわけで、多くの課題が懸念されるわけですね。これ、どのように支援されますか。
○副大臣(門山宏哲君) 本年五月二十八日付けの環境省、法務省連名の事務連絡では、専門家でなくても建物性の有無を容易に判断することができるように、被災により建物性が失われたものの例として、今委員が資料で御提出いただいたように、建物全体が倒壊又は流失しているものや、複数階建ての建物の下層階部分が圧壊しているものなどを明記させていただいているところでございます。
その上で、委員御指摘の建物性の判断に迷う場合などの対応方法につきまして、法務省としても、関係機関や関係団体と連携し、被災自治体へのサポートや被災者への説明に努めることが重要であると考えております。
公費解体における建物性の判断につきましては、表示に関する登記についての専門的知識を有する土地家屋調査士との連携も重要と考えており、法務省として被災自治体にしっかりと協力してまいります。
○仁比聡平君 地元の市町にとってみたら、実際もう庁舎の中に土地家屋調査士さんとか、それから法務局の登記官とかがいてくれて、迷うたびにアドバイスを受けるというぐらいのことがなかったら判断できないですよ。それに必要な予算というのは当然確保していただきたいということを強く御要望申し上げたいと思います。
そこで、環境大臣政務官にお尋ねをしたいと思いますけれども、公費解体の加速をということで、四月の五日に私も質問をいたしまして、そのときに、四月から解体事業者が百班規模で現地入りし、五月以降はそれ以外の班が順次現地入りを進め、合計五百から六百班体制で解体工事の加速化を図っていくというのが環境省の答弁でした。
実際、そういう説明が地元でもされてきたと思うんですけれども、実際には、今週輪島の皆さんに伺っても、ユンボが動いている現場は全くないとか、あるいは、どこでやっているんだろうというのが市民の実感だということなんですよね。
つまり、この四月の初めに目標にした計画というのは、実際にはそうはならなかったということなんだと思うんです。いろんな課題があったんだと思うんです。何が課題で、これをどうフル稼働するのか、六百班フル稼働というのをいつまでにやれるのか、いかがですか。
○大臣政務官(国定勇人君) 先ほども杉尾委員の御指摘にもお答え申し上げたところでございますけれども、この公費による解体工事につきましては、これまで二点の課題があったというふうに思っております。まず一つ目が申請手続、そしてもう一つが工事に先立って行います現地調査、解体費用の算定といった工事前調整、この二点であります。
まず、この課題に対応するために、申請手続につきましては、地方自治体職員の派遣等によります申請受付事務の支援、申請書類の合理化の周知などによりまして軽減を図り、結果といたしまして、申請棟数でありますけれども、四月末段階で約一万棟から、六月五日時点で約一万七千棟にまで増加をしております。
後者の工事前調整でございますけれども、これも先ほど松村大臣の方からも答弁がございましたけれども、その効率化を取り組みつつ、専門の技術者、これを四月の約九十名体制から六月には約三百名体制へと大幅に既に増員をさせていただいているところでございます。この結果、実際に解体の実施にまでたどり着いております棟数でありますけれども、四月末の約三百棟の段階から、六月五日の段階では約一千四百棟に増加をしているところでございまして、この規模感から類推をいたしますと、恐らく現在五百班規模にほぼ到達するぐらいの勢いで被災地で解体工事が行われているのではないかというふうに推察をしているところでございます。
先ほど来申し上げておりますとおり、石川県さんの実施計画におきましても六百班体制がピークというふうに捉えておりますので、一日も早くその体制にたどり着けるように、私どもとしても一丸となって取り組んでまいりたいと思います。
○仁比聡平君 環境省の、お配りしている七枚目の資料を見ますと、今政務官がおっしゃった体制を六月早期に確立しってなっていますよね。六月早期っていうのは、今日もう六月七日ですから、もう既に六月早期なんですよね。もう速やかに確立すると、そうしたらできるんだということなのだろうというふうに受け止めたいと思いますが、いいですか。
○大臣政務官(国定勇人君) 速やかにその状況にたどり着けるように、しっかりと頑張っていきたいと思っております。
先ほど申し上げましたとおり、申請件数は大幅に増加しておりますので、次の段階に今流れが来ているというふうに捉えていただければと思います。
○仁比聡平君 という中で、馬場総務副大臣、市町の事務量がフェーズが変わると、今もう大臣の皆さん、フェーズを変えるんだと、もう変わっているんだとおっしゃっているわけじゃないですか。そうしたら、市町村の事務量が格段に増えるという、応援はこれからこそ必要だと。業務の内容はもちろん変化はあるに違いないんですけれども、そうした中で、復旧を促進をするために、五月末で一旦、広域の、県外からの応援職員が引き上げたところもあるようなんですけれども、引き続き支援が必要だと思いますが、いかがですか。
○副大臣(馬場成志君) 能登半島地震では、発災直後から被災地と連絡を取り、現地のニーズを伺いながら、多くの応援職員に避難所運営、また罹災証明書の交付に向けた住家被害認定調査などの応急対応業務を支援いただいており、五月から新たな応援団体が現地入りをした被災市町村もあります、被災市町ですね。現在も、七尾市、志賀町など被災四市町において応援団体の職員、短期派遣でありますが、九十名が活動しております。
一方、発災から約五か月が経過し、今お話がありましたように、被災市町においては応急対応から復旧復興のフェーズに移行してきているということで、例えばノジマ市や能登町においては、こうしたフェーズの移行を踏まえ、四月から復旧復興支援を行う中長期派遣の職員が活動を始める中、御指摘のとおり五月末に応急対応業務を行う短期派遣を終了したところであります。
先ほど申し上げました四市町短期派遣の九十名のほかには、中長期派遣の要望について、復旧復興において特にニーズが高い技術職員百五十九名については全て充足し、一般事務職員等百十八名については約八割となる九十二名を充足しており、追加でいただいた御要望も含めて調整を行っているところであります。
今後も丁寧に被災自治体のニーズを伺って支援に取り組んでまいりたいと存じます。
○仁比聡平君 技術系、一般職の、今副大臣から御紹介のあった、そうした規模の応援職員が、これからも順次それぞれの市町に着任をしていただけるんだと、だからみんなで頑張ろうという御答弁だったと思いますので、是非要望に応えていただきたいと思います。
最後に、松村大臣に一点だけ。
そうした中で、仮設住宅がやっとこさできて入居をしたと。ところが、自分は賃貸から仮設に入ったんで、もうその賃貸物件もその元の町にはないのに、壊れてしまっているのに、一年で仮設を出なきゃいけないのかとか、あるいは、片付けも修理も先が見えないのに期限は二年だと聞くが本当に出なきゃいけないのかとの声があるんですが、東日本でも熊本でもそんなむごいことはしていないじゃないですか。恒久的な住まいがちゃんと見付かるまでちゃんと仮設には住めるんだということをちゃんと被災者に届けてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○委員長(竹内真二君) 時間が参っておりますので、簡潔に答弁をお願いします。
○国務大臣(松村祥史君) このことは、おとといの衆議院の災害対策委員会でも御党の田村委員からもお話がございました。二年で出ていけという話があるから、しっかり通達をやれと。まあ通達をやっておりますが、過去の経験からすると、口伝えにずうっとつながっていくと、どうもやっぱり二年で出るという話に変わってしまうところもございます。
したがいまして、役場の方々は通達を基にきちっとしたお話をしていただいていると思いますが、これへの対応は、やはり繰り返し繰り返ししっかりお話を伺って、そんなことはございませんと、熊本のときも東日本のときも最後の一人までしっかりと伴走支援をやってまいりましたから、そういった対応をやっていくように、また、通達というよりも、私も含めて、先生にも、再三現場に行かれますのでそんなお話をしていただければ大変有り難いと思いますし、私も率先してそのことを伝えてまいりたいと思っております。
○委員長(竹内真二君) おまとめください。
○仁比聡平君 ありがとうございました。終わります。