○仁比聡平君

 私は、日本共産党を代表して、原子力規制委員会委員について、ただいまの政府提案に断固反対の立場から意見を表明します。

 それは、政府が一体どのような基準で原子力規制委員会の委員を任命しようとしているのか、その姿勢に重大な疑義があるからです。

 国会事故調は、東電福島第一原発事故の教訓として規制行政が電力事業者のとりこになっていたと指摘しましたが、事故の反省と教訓に立って、電力事業者と規制行政の癒着を絶つことが政府の最低限の責任です。

 二年前、原子力規制委員会の発足に当たって、当時民主党内閣の下でガイドラインを定められましたが、当ガイドラインは規制委員会の欠格要件を、直近三年間に原子力事業者等及びその団体の役員、従業員等であった者、また、直近三年間に同一の原子力事業者等から個人として一定額以上の報酬等を受領していた者としていました。
これは、当時野党であった自民党も認めていたものです。

 ところが、今回の委員候補田中知氏は、原子力産業協会の理事を務め、かつ東電記念財団から報酬を受領していたことが当の本人自身の申告で明らかです。

 したがって、この人事は撤回すべきであり、全ての野党がこのことを主張してきました。

 政府は、ガイドラインに照らしても欠格要件に該当しないとして、理事は無報酬だから問題ない、東電記念財団には東電からの運営資金提供はないと説明しました。しかし、ガイドラインには無報酬を除外する記述はありません。しかも、東電記念財団は東電の資金で設立されたもので、土台から丸ごと東電というべきです。政府の説明は牽強付会であります。その上、石原環境大臣は、ガイドラインは適用しない、自民党政権としての人選基準も今後策定しないと強弁しているのであります。

 そのほかにも、田中氏は、日立GEニュークリア・エナジーなどの原子力事業者などから報酬や寄附を受けてきたことが明らかになっています。こうした事実がありながら、田中氏の就任をごり押ししようというのは、なりふり構わず原発再稼働の圧力を強める原発事業者、財界などの要求に従って原発再稼働推進政策を進める安倍政権の姿勢を示すものです。

 こうした提案に同意することはできないということを強く申し述べ、意見表明といたします。