○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
私、五月の十一日のこの委員会以来、政府が閣法の立法事実のようにして送還忌避者と一くくりにして呼ぶ非正規滞在者が具体的にどんな人たちなのかということを明らかにする必要があるでしょうということで、関係の資料を要求をしてまいりました。せんだって以来、この委員会の理事会において、それは法案審議の根幹に関わるということで、与党の皆さんにも御理解をいただいて、入管当局、御苦労をいただいたと思うんですけれども、昨日、これが、一昨日、火曜日に提出をされたところなんですね。
そこで、この数字についてお尋ねをしたいと思うんですが、まず、入管庁、令和三年末時点において送還忌避者三千二百二十四人と、これが、この方々が令和四年末時点においてどのような状況となったかの数字として、お配りをしていますが、下の三つのちょぼですね、在留特別許可をした者が十六人、難民と認定した者が三人、難民と認定しないが人道配慮により在留を認めた者が百一人と。これはそういう数字ですね。御確認ください。
○政府参考人(西山卓爾君) 今委員が御指摘いただいたとおりでございます。
○仁比聡平君 つまり、退去強制令書が確定して、けれども、その中に百二十人、一定の安定した在留資格をその後に取得をされたという方がいらっしゃると、これが明らかになりました。
もう一つ、私はこれもとても驚いたんですけれども、令和四年末の送還忌避者四千二百三十三人の退去強制令書が出たと、ああ、令和四年末の四千二百三十三人について、二枚目の資料ですけれども、退去強制令書が出て以降、その令和四年末までの期間というのはどれだけになっていますかと。私、かなり長期の方がいらっしゃるでしょうと。この支援の方々から三十年仮放免で日本にいらっしゃる方がいるなどと伺ってきましたから、そうした方々がいらっしゃるだろうと思ったんですが、御覧のとおり、一年未満が八百三十二人、一年以上二年未満が八百四十二人、二年以上三年未満が三百五十六人、三年以上五年未満は三百四十七人、五年以上七年未満は三百六十四人、七年以上十年未満が六百二人、十年以上が八百九十人と。
もしですね、全ての方がとは言いませんよ、私も。ですけれども、もし早期に難民認定がされていたら、この五年以上という方は永住資格の要件を満たすことにつながってくる方々ですよね。五年以上というのはそういう定住性を示す期間です。就労ができる在留資格を早期に取得をしていたら、十年以上ということになれば永住資格ということになるような期間。ですから、その期間、日本社会の中に、コミュニティーの中に根差して、御家族ができたり子供さん生まれたりという、そういう方々だと思うんですけれども。
これ、大臣、こうした五年以上の方を足すと千八百五十六人になりまして、割合でいうと四三%なんですよ。送還忌避者四千二百三十三人と言うけれども、そのうち四割以上は五年以上、日本社会の中で何とか、苦しい思いをしながらですけれども暮らしていらっしゃるということについてはどう思われますか。
○国務大臣(齋藤健君) 一般論として、毎回申し上げますけど、退去強制令書が発付された者は、退去強制手続において在留特別許可の判断を経るとともに、難民該当性を主張する場合には難民認定手続も経た上で、難民にも該当せず、かつ在留を特別に許可する事情も認められないために我が国から退去が確定した者である、まずこれ前提です。したがって、退去強制令書の発付を受けた者は速やかに我が国から退去すべき、そういう法律上立て付けになっています。
それにもかかわらず、退去強制令書の発付後五年以上も退去しないまま我が国に事実上滞在し続ける者が相当数存在するということについては、本来、法が予定する事態ではないと考えておりますので、あるべき姿ではないなと思っています。
○仁比聡平君 法が予定する事態ではないという、その法というのが、今我々が原則収容主義だとか難民認定が国際水準に及ばないじゃないかと批判をしている現行法のことなんですね。
これがあるべき姿じゃないという大臣の御答弁は、両面に捉えられると思うんですよ。つまり、退令は確定しているんだから送還してしまえという道と、それから、恐らく大臣、そうじゃない道のことおっしゃっているんだと思うんですよ。つまり、安定して在留が認められるべき人たちについての解決策ですよね。例えば、大臣による在留特別許可を、遅きに失するとはいえ、こうした方々に検討していくというようなことを積極的に考えておられるのではないかと、私はその点は期待をしているんですよ。
具体的に、更に伺うと、令和四年末の送還忌避者、この四千二百三十三人のうち、日本で育った十八歳未満の方々が二百九十五人いるということを前回御答弁でお認めになりました。つい先ほど、この参考人質疑においでになったラマザン参考人の妹さんなんかもここに含まれているということになると思うんですが。
入管庁、この二百九十五人の子供たちについて、退令が発付された後の期間がどれだけになっているか、その期間ごとの人数。
それから、それらの子供の直系親族、御両親やおじいちゃん、おばあちゃん、そして同居ほぼしていると思うんですけど兄弟姉妹、こういう御家族の合わせた数字は何人ぐらいになるのかと。
それから、そうした方々が難民認定申請をされておられます。この回数別に、ゼロ回が何人、二百九十五人の内訳でいいんですけど、一回が、二回が、三回が、それ以上がというそういう数字を示していただきたいと通告はいたしましたが、今日、お答えになれますか。
○政府参考人(西山卓爾君) まず、十八歳未満のこの二百九十五人の退令発付後の期間ごとの人数については御紹介をいたします。
まず、一年未満が百一人、一年以上二年未満が二十三人、二年以上三年未満が七人、三年以上五年未満が四十四人、五年以上七年未満が二十六人、七年以上十年未満が五十人、十年以上が四十四人となっております。
○仁比聡平君 そのお一人お一人の中には、御両親と一緒に日本に来て、ラマザンさんのように苦労もしながら、だけど家族を大切にして自分の夢の実現のために頑張ってきた人、それから今から頑張ろうとしている人、それから、小学校、中学校で、親が働けないとか、自分も入管に面会に通わなきゃいけないとか、県外には移動できないということになっているから部活の遠征のたびに入管に許可をもらいに行かなきゃいけないとか、いろんな制約を受けながらも懸命に頑張っている人たちがいるわけですよ。
私は、先ほど問うた、その御家族は何人いるのかなどの数字については、つまり今の時点ですぐはお答えできないということなのかもしれないんだけれども、その点含めて、大臣、せめてこの子供たち、日本で育った子供たちについては、これ安定して在留していくことができるようにと、積極的に検討したいとおっしゃってきたじゃないですか。だったらば、この法案の審議の中で、せめて私が先ほど入管に求めた数字、その実態ですね、これは明らかにして、大臣の方向性もお示しいただいて、私たちの委員会でもちゃんと審議をすると、それが必要だと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(齋藤健君) まず、お尋ねの数値につきましては、直系親族かどうか、兄弟姉妹かどうかについて、各地方局で保存されている個別事案の記録をこれ一件ずつ一から精査をしていかないと出せない数字でありまして、相当の作業量と時間を要するということがあります、率直に申し上げまして。
また、そうした確認を行っても、未成年者の記録とその親族らの記録が必ずしもまとめて保存、管理されているわけではないため、その記録をひも付けしていくこともまたなかなか困難な課題でありますので、最終的に正確な数字を算出し切れるかどうかというところが正直ございますので、その辺は御理解いただきたいというふうに考えています。
その上で、私が従来から申し上げているように、子供の問題につきましては、在留資格がないことにつきまして本人に帰責性がないことが多いと思っておりますし、親に在留を特別に許可することに様々な支障がある場合もあることから、いろんなケースあるので、もうここでも答弁させていただいておりますが、これ一刀両断でこうだという結論がなかなか出せない、ケースを見ていくと。そういう問題であるということに立ち至っているわけであります。
ただ、その上で、私としても、一刀両断では難しいけれども、真剣に今検討しておりますので、できるだけ早く検討結果が出せるように努力をしていきたいと考えています。
○仁比聡平君 大臣、真剣に本当に考えていただいているということはよく伝わってくるんですが、先ほどの参考人質疑でもあったように、閣法によって送還停止効がなくなってしまうと、三回目以上になると、ということになると、その子たちが、今度面会に行ったら収容されて送還されるんじゃないかという恐怖の中にあるんですね。
ですから、急がなきゃいけないんですよ、検討は。これだけの議論になっているんだから、私はこれ速やか、速やかと言ったらまたいつまでってなるけれども、本当に速やかに方向性を出すべきだと思うんですが、もう一度いかがですか。
○国務大臣(齋藤健君) 同じ思いであります。
この法案がもし通過をさせていただいても、施行まで時間もありますし、御指摘のようなことにならないようにしっかり検討していきたいと思っています。
○仁比聡平君 この法案が、私は廃案にすべきだと思っていますけど、閣法は、なんですけど、現行法でだってやれることですよね。やっぱり、それをこれまで一体どうしてきたのかと、日本の入管制度は、そこが真剣に問われているんじゃないかと思います。
加えて、先ほど申し上げた数字もそうなんですけれども、退令が確定するというのは、その子供の存在が把握されて、当局に、退令手続が始まっての話なんですよね。調査が行われてのことなんですよ。最近も、それを恐れて、隠れて、子供を隠して育ててきたというケースがあることも承知していますので、つまり、その子が上陸したとか、あるいは出生したとかいうときからの期間なども併せてしっかり実態をつかんで、私たちの委員会でも審議をするために政府にその提出を求めたいと思いますが、委員長、よろしくお願いします。
○委員長(杉久武君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○仁比聡平君 一方で、この一枚目御覧いただくと分かりますが、逃亡中、手配済みが五百三十八人、逃亡中、未手配が三人という、五百四十一人の逃亡とされている方々があるんですね。この数字は令和三年末に送還忌避者だった人が令和四年末時点でどうなったかの数字なので、新たにといいますか、この一年のうちに、令和四年末で千四百人が逃亡しているとするならば、プラス八百五十九人が、令和四年、四年の一年間、令和四年一月一日から令和四年十二月末までの間に、千四百マイナス五百四十一の八百五十九人が増えたと、入管庁、そういう計算になりますか。
○政府参考人(西山卓爾君) 正しくは、この三年末の三千二百二十四人、これがこの四年末時点でどのような状態かというふうになっていますので、当然、この入りと出も途中でございますので、なかなか正確に、この差引きだけで数字が出るということでもございません。
○仁比聡平君 だから、私は、入りと出の数字を、御苦労されるだろうと思うけれども、この切取り、今回提出いただいた資料の切取り方は、これはこれとして大切なんだけれども、やっぱり一年間の、新たに送還忌避者となった人、そうではなくなった人というのをちゃんと出すべきだと思うんですよね。
これは、この間からの重ねての要求になりますから、なかなか難しいと与党はおっしゃるかもしれないんだけれども、ちょっとこの点ももう一度理事会で協議いただきたいと思います。
○委員長(杉久武君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○仁比聡平君 その上で、この逃亡と、先ほど鈴木先生の議論もありまして、いらっしゃらないのがちょっと残念なんですけど、今日も西山次長は、仮放免許可後に逃亡し、当局から手配中の者が年々増加し、令和四年末には速報値で約千四百人になったと答弁しておられて、これだけ聞くと、まるで仮放免者が犯罪予備軍のように聞こえるんですよね。
だけども、この一年でかなりの人が増えたんだと思うですよ、この逃亡というのは何か、当局というのは誰か。
この手配とか聞くと、当局から手配されたと聞くと、警察が逮捕状を取って全国に指名手配するっていうみたいなイメージで皆さん思われません。そういうものですか。
○政府参考人(西山卓爾君) まず、御指摘の逃亡とは、入管法第五十五条第一項により、逃亡を理由に仮放免を取り消され、手配されている者をいいます。
それから、御指摘の当局とは、地方出入国在留管理官署のことをいいます。
御指摘の手配とは、入管実務上、逃亡事案が発生した地方官署からその他の地方官署などに逃亡した事実を周知することをいいます。
○仁比聡平君 その逃亡と入管が、地方入管が判断するというプロセスというのは、よく伺いますと、電話を掛けてつながらない、で、それが何度か、一回だけで逃亡とは言わないでしょうと。だけど、二回、三回掛けてつながらないとか、呼出しの手紙を送るんだけれども、それに応じて出てこないとか、定められた出頭日に出頭してこないとか、それを逃亡とおっしゃっているんじゃないですか。つまり、行方がつかめていない、つかめなくなったという意味じゃないですか。
○政府参考人(西山卓爾君) 今申し上げたように、その仮放免を取り消された理由は、理由として逃亡というものがございますので、その逃亡というのは、今委員が御指摘のような事情を踏まえて判断しているということでございます。
○仁比聡平君 つまり、入管のサイドから把握できなくなるということなんだと思うんですよね。
それを仮放免取り消して手配ということになれば、入管がデータベースで持っていらっしゃるフェースでしたっけ、のシステムに手配という入力をするというのがその意味で、この近年というかここ一、二年のところですね、コロナの下でクラスターも入管収容で発生したりとかして積極的に仮放免されたじゃないですか。だけど、その仮放免者というのは働けないし、保険もないし、そもそも家賃が極めて厳しいんですよね。ですから、入管が最初はここに行っているだろうと思ったところから、家賃が払えなくて追い出されたりとかして、で、友人宅を転々とするというようなことがある。友人という人たちもコロナの下で仕事を失って、その非正規、仮放免者を支援することができなくなって、だから、本当に路頭に迷ってホームレスになってしまうという方々もこの逃亡の中に含まれているんじゃないですか。
○政府参考人(西山卓爾君) 一般論としてはそういう状態の方もおられますけれども、前提として、その仮放免をした場合に条件を付することになっておりますけど、その条件に、その居住、居所の制限もございますし、また出頭義務も負っていただくことになります。逃亡というのはそういった条件に違反している状態を指しておりますので、今委員が御指摘いただいた、これは、その方々にそれぞれ事情がおありだとは思いますけれども、仮放免の取消しの理由としての逃亡としては、そのような事情の者も含まれるということでございます。
○仁比聡平君 ですので、重罪を犯してそこから逃れるために逃亡しているとか、テロリストが国内に暗躍しているとか、中にはそういう人もいるかもしれませんよ、いないとは言いませんけれども、千四百人みんながそうだというのではないということですよ、私が言いたいのは。
その中で、この死亡が二人という数字がありますね。これは、この死亡というのは、どこで亡くなって、どうやって入管は把握をされたんですか。
○政府参考人(西山卓爾君) お尋ねの死亡した二名につきまして、令和三年末時点では一人が仮放免中であった者、もう一人は仮放免許可後に逃亡し手配中であった者ということでございます。
それで、今般の資料をお示しするに当たり、御指摘の各事案について、死亡の事実を把握した経緯まで個々に調査を行っておりませんが、一般論としては、仮放免された外国人の死亡を把握する端緒としては、身元保証人や知人等の第三者からの情報、あるいは警察と行政機関からの情報によるものが考えられます。
○仁比聡平君 つまり、ホームレスになってしまう、で、路上でとか橋の下でとか亡くなってしまって、そうすると身元不明ですから、警察が、外国人だとか、もし何かカードなんか持っている、在留カードとか持っているとすれば、そしたら入管に問い合わせて入管が知るということでしょう。つまり、この仮放免中の二千百四十三人の方々、あるいはそのうち逃亡中とされているような方々がどうなっているかということを入管把握しているわけじゃないんですよ。
この今、逃亡中、手配済み、五百三十八人って数字がありますけれども、この方々の生存というのは確認されていますか。
○政府参考人(西山卓爾君) 先ほど申し上げたとおり、逃亡という状態にありますので、私どもとしてその逃亡された方々を把握できているということは逃亡ではないのではないかと思うんですけれども、いずれにしましても、その死亡の把握につきましても、先ほど申し上げたような情報提供を受けて私どもが、その逃亡中の方についてはですね、死亡については、先ほど申し上げたように、その情報を得て把握するというのがある意味限界でございます。
○仁比聡平君 今日、時間がなくなりましたので、最後に大臣に一問なんですけど、つまり、この逃亡という、その立法事実として今日も繰り返して千四百人というふうにおっしゃっている数字の中身も、そういうものだと思うんですよ。それは、仮放免という地位の不安定さというかむごさというか、いうことも含んでいると思うんですね。
ですから、送還忌避者だと一くくりにするけれども、政府は、だけれども、その中には本当に様々な事情の人たちがいると。大臣、それはお認めになるべきじゃありませんか。
○国務大臣(齋藤健君) どういう言葉を使ったらいいのかということはさておきまして、様々な方が中に含まれているのはおっしゃるとおりだと思います。
○仁比聡平君 今日は終わります。