○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
今日午前中、福島みずほ議員が質問冒頭に御紹介をなされたように、ウィシュマさんの御遺族は、午前中傍聴されましたが、午後は傍聴には耐えられないと、また、弁護団として、更に冒涜されるかもしれない午後の質疑は傍聴させられないと、そうした判断で傍聴は今しておられません。
維新の梅村議員の国会での発言をめぐって、昨日、御遺族が弁護団とともに記者会見をされました。そこで、通告しておりませんが、大臣に御認識を伺いたいと思うんですけれども、御遺族は会見で、まずワヨミさんは、ビデオを見れば姉が病気だったのは明らか、あのビデオを見て姉が病気のふりをしていたと疑うことができる人がいるのか、悲しい、詐病など一切ないとお話しになっています。もう一人の妹さんのポールニマさんは、ビデオを見れば姉がどれほど苦しんでいたか分かるはず、姉は、食べたいけど食べられないとか、病院に連れていってと懇願していた、姉の尊厳を死の後まで汚さないでくださいと訴えられていますが、大臣の受け止めはいかがでしょうか。
○国務大臣(齋藤健君) まず、個々の政治家の方々の御発言について私がここで、いい悪いというコメントをするのは控えたいと思いますが、我々は、調査報告書であれだけ充実した調査をしたわけでありますから、そこで書かれていることが全てであるというふうに認識をしています。
○仁比聡平君 私はあの調査報告書が充実したものだとは全く思っておりませんが、もう一問、大臣。
この妹さん、ワヨミさんもおっしゃり、それから調査報告書にも医師の言葉として書いてあり、先ほども議論がありました詐病という言葉なんですが、端的に、詐病で人は死にません。私はそう思います。ウィシュマさんは亡くなったんですから。今日、石川議員から、収容後の、とりわけ二月、三月のウィシュマさんの亡くなっていく経過について詳しい質問もありましたし、資料の要求も理事会協議事項になりました。
ですが、詐病で人は死なないということは明らかだと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(齋藤健君) 詐病ということで人が死ぬとは私も思っていません。
○仁比聡平君 そのとおりでしょう。そこが大切な出発点だと思います。
先ほどの鈴木議員の質問もありましたので、前回の繰り返しになるんですけれども、このドクターの書いている、病気になれば仮釈放してもらえるということを支援者から聞いたという話は、これは入管職員が医師に話した経過、そこの言葉から医師がそうした認識を持ったということなんですね。調査報告書でいいますと四十七ページにその記載がございます。
だから私は、入管職員がどんな認識を持っていたのか、そこが重要ではないかという問題提起をして、看守勤務日誌を始めとした原資料をこの当委員会に提出をすべきであると、これもまた理事会協議事項になっておりますので、速やかに全て提出していただきたいと思うんです。
つまり、問題は、支援の在り方の問題じゃなくて、入管の収容と処遇の在り方の問題だと思うんですね。
ちょっと一点だけ次長に確認をしたいと思いますけれども、昨日の記者会見で、ウィシュマさんに面会をされた支援団体の方は、病気になれば仮放免されると発言したことは一度もないと明確に否定をしておられます。入管は、これを覆す、あるいは否定する、そうした資料を何かお持ちですか。
○政府参考人(西山卓爾君) 私どもとしては、調査報告書の記載が全てであって、それを超えるものはないということで思っておりますので、その調査報告書には今御指摘の点は記載はございません。
○仁比聡平君 つまり、入管当局は、支援者が病気になれば仮釈放というのが、医師が書いている言葉ですけど、してもらえる、仮放免してもらえるというようなことを発言したとか、したことが疑われるとかいう資料はお持ちじゃないわけですよ。ですから、私は前回、臆測に基づく議論が多くなっているのではないのかと厳しく指摘をしたところです。
問題は、収容と処遇の問題なんですね。それは、行政の裁量的判断のみで、司法審査を求められることもなく、無期限に行われ得る、そうした収容が、根本的な、構造的な人権侵害になっているからではないかと私は繰り返し指摘をしてきました。
そこで、お配りをしております三枚の資料は、参議院の法制局に、行政の判断のみによる身体拘束の例が、我が国の法制度の中でほかにどんなものがあるかということを集めてもらったものです。
ここにあるように、例えば措置入院という制度は多くの皆さんがイメージが湧くだろうと思いますけれども、この措置入院は人権侵害の様々な問題がありますが、それでも、行政だけの、行政職員だけの判断ではないですよね。二人以上の指定医の診察を経て、かつ無期限ではありません。自傷他害のおそれがないと認められるに至ったときという期限がある。そのほかの制度も、例えば二十四時間以内だとかという上限の定めが当然ある。それは当たり前のことだと思います。
そこで、野党対案の発議者にお尋ねしたいと思うんですけれども、対案が収容に上限を設け、収容の必要性、合理性は司法審査を必要とするということとしている趣旨はどこにあるでしょうか。れいわの木村発議者にお願いしたいと思います。
○委員以外の議員(木村英子君) 現行の日本の法制度では、司法審査もないまま、入管のみの裁量で無期限の収容を認め、外国人の身体の自由を奪っており、国際的な批判を受け続けています。
入管法違反が疑われる外国人に対する立入調査などの捜索、臨検については、現在でも裁判官による許可状がないと行えません。しかし、入管施設への収容は、外国人の身体の自由を奪う重大な権利侵害であることにもかかわらず裁判官の審査が不要というのは、国家権力の濫用を防ぐために令状主義を定めた憲法三十三条の趣旨に反していることから、議員立法では裁判官の許可状を必要とするものとし、慎重な手続を取ることとしています。
また、入管施設の収容は無期限とされている中、政府案では三か月ごとの検証を導入していますが、実際には無期限に収容できる制度となっています。そのため、議員立法においては、長期収容を防ぐために収容期間は最大六か月とし、原則として収容しない法案としています。
私自身も経験していることですが、入管施設や障害者施設などでは、弱い立場の人たちは、密室で虐待を受けるため、逃げ場はありません。外へは決してその声は届かず、ウィシュマさんの事件ややまゆり園の障害者殺傷事件のように、悲惨な結果になってからでしか施設の実態が明るみになることはありません。また、実態が明るみになったとしても、制度の不備を認めない政府の姿勢は決して許されることではありません。
このような悲惨な事件を二度と繰り返さず、入管施設内での虐待による被害者を出さないためにも、私たち野党四会派で提出しているこの法案の成立が必要だと考えます。
以上です。
○仁比聡平君 木村発議者の今最後にお話しになった言葉を、私はどうしても議事録に残していただきたいという思いで今の質問をさせていただきました。ありがとうございます。
先ほども議論があったんですが、政府案は、捜索、臨検については令状を必要としているんですよね。それは憲法三十五条の趣旨なんだというふうに言うわけです。つまり、証拠を集めるためには人権に配慮して令状を取るんでしょう。今回の法改正でそれを随分書き込んでいますよ、手続を。だけど、人を拘束するのに何で令状要らないというんですか。
物を捜査する、場所を捜索するということ等はるかに超えた人権侵害になるって、当たり前のことじゃありませんか。次長、その理由は何ですか。
○政府参考人(西山卓爾君) まず、前提としまして、国家にとって好ましくない外国人の在留を禁止し、強制的に国外に退去させること、すなわち送還のことをお話ししています。(発言する者あり)
○委員長(杉久武君) 御静粛にお願いします。
○政府参考人(西山卓爾君) すなわち、送還は、出入国在留管理という国家の主権に関わる問題として、本質的に行政権に分類される作用でございます。
そのため、我が国では、送還及びこれを確実に実現するための手段である収容を含め、一連の退去強制手続は、行政権の行使として、基本的に事前に裁判所の許可を要することなく、行政機関の判断で行うことができることとされています。(発言する者あり)
○委員長(杉久武君) 御静粛にお願いします。
○政府参考人(西山卓爾君) 他方、退去強制手続における臨検、捜索、差押えについてはあらかじめ裁判官の許可を要することとされているところ、これは、退去強制手続において当然予定されているとは言えない権利利益の制約があり得ることによるものでございます。
すなわち、退去強制手続における収容は、行政権の行使として送還を実現する上で直接必要となるものであり、収容による当該外国人の身体の自由の制約は、送還に伴い当然予定されているものと言えます。
これに対して、退去強制手続における臨検等は、退去強制事由該当性の判断に関する資料の収集のために行われるものであり、これによる当該外国人や第三者の住居の平穏、財産権などの制約は、送還に伴い当然予定されているものではなく、退去強制に係る行政上の判断とは別に、人権保障の観点からその適否が判断されてしかるべきものでございます。そこで、臨検によりこれらの権利を制約するに当たっては、事前に裁判所の許可を要することといたしているところでございます。
その上で、実務の運用につきまして申し上げますと、個別の事情において逃亡のおそれ等を考慮し、収容の必要性が認められない者については実際に収容することなく手続を進めていますところ、その割合も七割に及んでいるなど、人権にも配慮した柔軟な対応を行っているところでございます。(発言する者あり)
○委員長(杉久武君) 御静粛にお願いします。
○政府参考人(西山卓爾君) また、令和三年に退去強制手続の対象となった者、すなわち令和二年末時点で収容令書又は退去強制令書が発付され、かつ退去していなかった者……
○委員長(杉久武君) 答弁は簡潔にお願いします。
○政府参考人(西山卓爾君) 令和三年に新たに退去強制事由に該当すると判明した者の令和三年末時点での収容期間を算出したところ、その平均日数は約六十五日、速報値でございますが、約六十五日であり、全体の約八八%が収容期間が一か月未満であった者であり、運用上、御指摘のような行政機関の判断による無期限収容という状況にはなっていないものと考えております。
○仁比聡平君 前段で次長が今お話しになったことがこれまでの入管収容の根本にある考え方で、それが構造的な人権侵害だと私は言っている。そして、私だけじゃない、国際人権機関から厳しく批判をされている。大臣も、与党の議員の皆さんも、今皆さんが押し通そうとしている法案がどんな性格のものなのか、今の答弁ではっきりしたでしょう。
そこで、沖縄の風の高良発議者に、私は、この野党対案の国際人権法や憲法に照らした収容などの考え方についてお尋ねをしたいと思うんですね。
私は、たとえ送還ということの対象が人だからといって、その拘束をするにはデュープロセスが必要だと思います。憲法三十一条はそのことを定めている。その必要性、合理性を判断する、例えば、先ほど公明党の佐々木議員が真に必要なという収容というような言葉を使われましたけど、それを判断する、人類が生み出してきたデュープロセスのありようというのは、基本的に対審制ですよ、対審構造ですよ。当事者がきちんとその必要性について争う。
相当性の判断を入国審査官が自分だけでやるという、この行政の裁量のみで判断するというこの在り方はおかしいですよ。それは送還ありきということじゃありませんか。送還をしなきゃいけないからそういうふうな制度にしているんですというのが、今、先ほど次長が言ったことの、結局端的に言えば、くくれば、そういうことですよ。
送還ありき、これは私は憲法違反だと思いますが、高良さん、いかがでしょう。
○委員以外の議員(高良鉄美君) 御質問ありがとうございます。
まず、先ほどもありましたけれども、現在の入管庁において外国人の人権尊重に対する意識、認識が決定的に欠けているという、そのことが難民等の認定や収容に関する様々な問題を生んでいるわけです。
野党案では、外国人の基本的人権の保障を法律で制度的に担保しています。基本的人権の尊重、これはもちろん憲法上の原理ですけれども、この基本的人権を世界で初めて憲法に盛り込んだのが日本国憲法だと言われています。本来保護されるべき外国人が適正に保護されていない現状を早急かつ実効的に改善する必要から、野党の入管法等改正案や難民等の保護に関する法律案では、この身体の自由という最も重要な法益を保護することを重視して盛り込んでいます。この身体の自由、これもう人権の基本ということで、この身体の自由がなければ自由権そのものが存在しないと言われるほど重要な権利なんです。
そもそも憲法の目的は人権保障であり、そのために国家権力を縛る、制限する規範になっているわけです。国家権力、ここではもう入管庁による人権の侵害の問題ですけれども、それをチェックする第三者機関である難民等保護委員会が審査する仕組み、これを盛り込んでいるのが野党案であり、外国人の憲法三十二条で言う裁判を受ける権利について配慮しているのも野党案です。
外国人に対して保障している基本的人権というのは、基本的な人間の権利です。性質上、外国人とか国民とか、そこで分けているわけじゃないんです。
そこを考えてみますと、今サミットがありますけれども、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する国々とG7サミットを開催するということですけれども、政府案は、この人権保障、憲法の最高法規性、司法権の重視、適正手続の保障を内容とする法の支配にかなっていません。G7の国々と普遍的価値を共有するのは、むしろ野党案であると断言できると思います。
○仁比聡平君 ありがとうございました。
先ほど来、この難民認定手続の透明性に関わる形で、一次審査の代理人、とりわけ弁護士の立会いや録音、録画の議論が川合委員からありました。これは国際水準なんですよね。これをやらない理由に、先ほど次長は、立会いがない方が、いない方が率直な聞き取りができるという趣旨の、率直なとお話しになりました。大臣も、そういう現場の意見、空気のようなものを今回の法改正案の前提にしておられるよう。
今後検討するとおっしゃっていることは大切なことだと思うけれども、申し上げておくと、こうして密室で供述を求める者と一対一の方が率直な聞き取りができるというふうに言い続けてきたのは、冤罪を引き起こし続けてきた日本の警察ですよ。そして、検察ですよ。自白するまで密室の中で徹底して追い詰める。そして、身柄を拘束し続けて、起訴されても保釈も認めないと、それが人質司法ですよ。けれども、刑事手続では、裁判所の令状なしにその行為はできないじゃないですか。証拠に基づいて裁判官が判断して身柄が拘束される。入管収容は違うんですよ。それは恐ろしいことだと、私は、大臣、そうした認識をお持ちになるべきだと思うんだけれども、今日聞いても時間を使うばっかりになりそうですから。
ただ、その点で、石橋発議者にこの野党対案の意義について御答弁をいただきたいと思いますが、いかがですか。
○委員以外の議員(石橋通宏君) 先ほど、れいわの木村発議者、そして高良発議者、沖縄の風、御答弁、本当に大切な答弁を、私たちの考え方、明らかにしていただいたと思います。
本当に先ほどの政府答弁は極めて残念です。これがまさに、この間ずうっと続けられてきたこの入管収容の問題、国際機関から重ねて人権侵害であると、是正しなさいと指摘を受けてきたにもかかわらず、一貫してそれを政府は無視し続けてきたわけです。
私たちはこのような状況を何としても是正したい。やはり、この人権、普遍的な価値、ユニバーサルな価値、これをしっかりと守るのがやっぱり私たち日本であるべきだという観点から、これを一刻も早く是正するために、私たちの野党案、この人権の尊重ということを最大限の価値として法文にもきちんと書き込みながら、デュープロセス、仁比委員が指摘をされた、しっかりとした適正な手続にのっとって物事をしっかりと対処をさせていただくということで提案をさせていただいています。
重ねて、高良委員が言われたとおり、私たちの案こそ、国際社会、国際法規、これにのっとった、適正なこの形をつくらせていただける案だというふうに思っておりますので、これは是非、法務委員の皆さん、与野党挙げて、それについては是非御理解をいただきたいということを強く訴えさせていただければと思います。
○仁比聡平君 石橋発議者は厚労委員会の採決がおありのようなので、必要な時間になったら退席いただいて結構ですので。
なぜ、なぜですね、あっ、どうぞ。
○委員長(杉久武君) じゃ、石橋通宏発議者は御退席いただいて結構です。
○仁比聡平君 そうした現行の入管法、その入管収容というのがどれだけむごいかということをウィシュマさんのケースで改めてちょっと皆さんに思い起こしてもらいたいと思いますけれども、調査報告書の五十八ページには、二月の十五日にウィシュマさんの仮放免許可申請が却下されるプロセスが書いてあります。担当者が原案を作る、そこに所定の決裁を経る中でどんなことが書き込まれたかと。
二項目だけ私確認したいと思いますが、次長、仮放免を許可すれば、ますます送還困難となる、もう一項目は、一度、仮放免を不許可にして立場を理解させ、強く帰国説得する必要ありという理由が二月の十五日までに追記されたんでしょう。
二月の十五日あるいは十日頃ってどんな状況ですか。先ほど石川大我議員が詳しく説明をされた、体調は悪化し、急速に衰弱していくという中でのことですよ。そのときに、仮放免を不許可にする理由として、一度、仮放免を不許可にして立場を理解させる、強く帰国説得する必要があると、そう入管は認識していたということですね。
○政府参考人(西山卓爾君) 調査報告書にそのような記載があるのは委員御指摘のとおりでございます。
○仁比聡平君 何のために、衰弱していくウィシュマさんを、そんなむごい決定をして追い詰めていかなきゃいけないんですか。
皆さんは、送還忌避者、このウィシュマさんも当時そういうふうにくくられるんだろうと思いますが、送還忌避者、これ減らすための数値目標を持っておられますよね。
○政府参考人(西山卓爾君) 御指摘のような、失礼、御指摘のように、その従前から、送還忌避者の縮減を重要な取組として実施し、その一環として、各地方官署ごとの縮減目標を設定し、取組状況等について本庁への報告を求めるなど、送還忌避者縮減の取組を強化していたところは事実でございます。
○仁比聡平君 お認めになりました。
後ほど、理事会派、理事、オブザーバーの皆さんには資料をそのままお配りしたいと思いますけれども、私の手元に、平成三十年八月二十四日付けの送還忌避者縮減のための重要業績評価指標の作成についてという法務省入国管理局警備課長の名義での通知文書がございます。
つまり、入管本庁が送還忌避者をどこまで減らすかという縮減目標を、法務省の警備課、当時はまだ法務省入国管理局ですから、定めて、各入管の官署は、毎月どこまで減らすかという目標値を設定し、その目標値に向かって業務遂行すると。目標値が達成できない場合については、その原因を分析の上、目標値が達成できるよう業務の見直し等を行い、最終的に全国の送還忌避者を縮減することを目的とすると、そういう趣旨で定める目標だと。
こういうのを、次長、ノルマと言うんじゃないですか。
○政府参考人(西山卓爾君) その前提として御理解いただきたいのは、在留、本邦に在留する資格のない方は送還されなければならず、その送還の職責を負って、職務を負っているのが入管でございます。
すなわち、入管は法令上の職務を遂行する立場でございまして、それが送還ということでございますので、入管の職務の業務目標を遂行するというのは、一つの入管の行政の役割といいますか、職責であるというふうに御理解いただければと思います。
○仁比聡平君 つまり、送還ありきということなんですよ。
もちろん、多数の、ほとんどの方は退去強制事由があって、調査が始まれば自分で出国しますと、大方の方そうじゃないですか。だけど、様々な事情があって帰国できないという方々が課題ですよね。その全部をひっくるめて、一くくりにして送還忌避者扱いするのかと。で、それを減らすという数値目標を本省とそして全部の局に持たせて、それを毎月、数値、数字を把握してこれ推進すると。
これ、大臣、こういうのをノルマと言うんじゃないんですか。そして、その下でウィシュマさんは、一度、仮放免を不許可にして立場を理解させ、強く帰国説得する必要ありと、衰弱する中で言われたんじゃないんですか。いかがですか。
○政府参考人(西山卓爾君) 委員御指摘の、その業務目標と今回のそのウィシュマさんが亡くなられた原因というのは、結び付けて御説明いただくのは、少なくとも調査報告書上そのような形での把握のされ方はしておりません。
○仁比聡平君 そうした実態ということを解明するために、私は、前回、それから一週間前から、この当委員会で、この送還忌避者だというふうに入管が定めて、令和四年末で四千二百三十三人いると、これが増えてきているというそのトレンドだけ言うけれども、実際、その実態はどうなっていますかと。過去一年間に送還された者、難民認定を受けた者、人道配慮あるいは在留特別許可を受けた又は死亡したなどの形で送還忌避者ではなくなった方々の数及び新たに退去強制令書が発せられて送還忌避者と判断した者の数を報告してほしいと。それから、送還忌避者四千二百三十三人の退去強制令書が出た後に、まあ令和四年末まででいいですよ、その期間に、その間にどれだけの期間、日本にいらっしゃるということになっているのか、その数字を提出してくださいと二回にわたって申し上げて、ない、統計は作成していないとおっしゃっていましたよね。
今朝のこの委員会の理事会において、自民党始め与党の皆さん、相当御努力をいただいたと思うんですけれども、この法案の審議の根幹に関わるので、この委員会の次回審議までに出させたいという理事会の合意になり、入管はこれをやりますというふうにお約束になりました。あわせて、石川議員が求めてきた、前回求められた柳瀬難民審査参与員の審査件数の提出についても来週中には提出をするということでお約束になりました。
これ、提出いただけるんですね。
○政府参考人(西山卓爾君) 国会のお求めには真摯に対応いたします。
○仁比聡平君 つまり、数字はあるということなんですよ。
なぜかというと、先ほど来、平成三十年からの取組で毎月報告をしている、させているんですよ。しかも、この文書にある枠なども考えると、この文書に、各項目ごとに毎月数字を報告せよというふうに言っていますが、私が求めてきた項目に従う数字を毎月毎月把握してきたんじゃないかと。それを、立法のプロセスでも、つまり二年前の法案を出すプロセスでも、その前の政府の検討会の中でも、それから今回の再提出に当たっても、衆議院の委員会の審議に当たっても、提出してこなかったでしょう。とんでもないんじゃないですか。
送還忌避者が増えているからこういう改定が必要だと言いながら、求められても数字を出してこなかった。だからこそ、これからが徹底審議ですよ。しっかり数字を出していただいて吟味しなきゃいけないと。
最後、山添発議者に、こうした取組について野党対案の発議者としても一緒に頑張ってほしいと思いますが、いかがでしょう。
○委員以外の議員(山添拓君) 当然、審議の前提になる事実関係が明らかにされないままでいるということは許されてはならないと思います。とりわけ、それは、名古屋入管のウィシュマ・サンダマリさんの事件を始めとして、命を奪う事態を起こしてきた入管行政の問題であるからです。
是非、入管庁には、必要な情報については、そして把握している情報についてはつまびらかにして審議の前提をつくっていただく、それは最低限のことだと私たちも受け止めたいと思います。
○委員長(杉久武君) お時間になりましたので、質疑をおまとめください。
○仁比聡平君 はい。
この平成三十年の八月二十四日以降、これに関わる通知文書が今日まで恐らく三通あるんだと思います、これも含めて。後ほど理事会の皆さんにはお配りいたしますので、この委員会への提出、それに当たってはこの墨塗り部分をもう外して是非とも提出いただきたいと、そのことを委員会として求めていただきたいと思います。
委員長の発言伺って、終わりたいと思います。
○委員長(杉久武君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○仁比聡平君 終わります。