○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
安保三文書閣議決定と大軍拡に踏み出す中、政府は県営佐賀空港に自衛隊佐賀駐屯地を新設しようと躍起になっています。安倍政権が、二〇一四年、突如言い出したこの話は、県民にとってまさに寝耳に水でした。バルーンの飛ぶ平和な空にオスプレイは要らないと、この九年、反対の声はやみません。
〔委員長退席、理事片山さつき君着席〕
そこで、大臣、私の質問に安倍総理は、二〇一五年の二月五日、九月十一日、二〇一六年の一月十九日と三度にわたって、地元の了解は得られていないと答弁をしてきました。そうですね。
○国務大臣(浜田靖一君) 御指摘の陸自オスプレイの佐賀空港利用等に係る答弁について、平成二十七年二月五日の参議院予算委員会、同年九月十一日の参議院平和安全法制に関する特別委員会及び平成二十八年の参議院予算委員会において、仁比議員からの御質問に対し、安倍総理大臣より、現時点で地元の御了解は得られていないと認識している旨の答弁をされております。
これは、平成二十六年に防衛省から佐賀県知事に陸自オスプレイの佐賀空港利用等について要請をさせていただきましたが、御指摘の答弁をさせていただいた時点で佐賀県から防衛省の要請に対する受入れは表明されていなかったことから、その旨を申し上げたものであります。
○仁比聡平君 資料の二枚目に、佐賀空港建設に関する公害防止協定書を配付をいたしました。
御覧のとおり、佐賀県と八漁協、千代田町漁協、諸富町漁協、早津江漁協、大詫間漁協、南川副漁協、犬井道漁協、広江漁協、東与賀漁協が佐賀市長と町長を立会人として交わした、自衛隊との共用はしないという重い約束であり、この約束は空港存立の基礎です。
資料の三枚目に、昨年十一月一日、この協定書覚書付属資料の変更についてという文書をお配りをいたしましたけれども、ここにあるのは合併後の県有明海漁協組合長の署名だけです。
実際、年末から五回行われてきた住民説明会では、全ての会場で反対の声が圧倒的でした。ノリ養殖の若手後継者は、県知事に対して、俺たち若手には何一つ聞かされていなかったと怒りをぶつけました。現に、日本一のノリ養殖を支え、多額の投資も背負っている漁業者そっちのけで協定見直しというのはされたんですね。
そもそも、県漁協の会議で南川副支所運営委員長は、協定見直しなんてここでは決められぬと、漁民みんなと話してからと求めていました。支所の運営委員長というのは、これ合併前なら組合長ですよ。本来、公害防止協定の当事者です。それを県組合長は、知事が来ているからここで決めるといって押し切ったといいます。
そこで、大臣、漁協の主役は組合員、漁業者でしょう。この漁業者、そして住民の反対の声をどう受け止めておられますか。
○国務大臣(浜田靖一君) 陸自のオスプレイの佐賀空港の利用等について、これまで、平成二十九年の佐賀県議会及び佐賀市議会から受入れ容認の決議をいただき、平成三十年には佐賀県から要請の受入れと公害防止協定見直しについて佐賀県有明漁協と協議を行っていく旨の御判断をいただきました。さらに、昨年十一月に県と漁協との間で当該協定を見直す御判断をいただき、本年二月には佐賀市から陸自オスプレイの佐賀空港利用等について受入れを表明していただきました。
防衛省としては、引き続き、喫緊の課題である島嶼防衛能力構築のため、早期に佐賀空港に駐屯地を開設して陸自オスプレイを配備できるよう、更なる取組を進めてまいる考えであります。その際、駐屯地の設置や運用が周辺地域に与える影響について市民の皆様がお持ちの懸念や不安を解消し、駐屯地の開設が地域の発展につながっていくよう、佐賀県と佐賀市と連携をして対応していきたいと考えております。
○仁比聡平君 大臣も今、この覚書の見直しで地元の了解が得られたとは答弁されませんでした。
二〇二二年、昨年の十一月十六日の佐賀新聞にこんな記事がございます。衆院選真っただ中の二〇二一年十月二十三日、佐賀県武雄市の飲食店、SPも席を外した一室で、岸田文雄首相は佐賀県有明海漁協の西久保敏組合長とお忍びで向き合っていたと。
この二一年十月といえば、オスプレイ佐賀配備が暗礁に乗り上げて、木更津暫定配備の五年期限も迫る中、他の配備先の選定を迫られると、政府に焦りが募っていた時期なんですね。
このお忍びで総理は何の話をしたのか、大臣はどう報告を受けておられますか。
○国務大臣(浜田靖一君) 受けておりません。
○仁比聡平君 いや、本当でしょうか。
この記事には、首相は、私からもと切り出し、オスプレイ配備に理解を求めたとあります。さらに、二二年四月、上京した組合長を公邸でひそかに迎え、オスプレイでは迷惑を掛けますと最後に念を押したと書かれているんですが、これ、大臣やあるいは防衛省にはこれ何の話もないんですか。
○国務大臣(浜田靖一君) 報道については承知をしておりますが、防衛省としてはこれについては承知をしておりません。
○仁比聡平君 いや、おかしな話でしょう。
陰でこそこそ何をやっているのかと。こうした政府のやり方は、逆に有明海漁民、佐賀県民、住民総意を踏みにじるものです。
ここまで公害防止協定覚書が焦点であり続けてきたのは、オスプレイ配備のために取得しようとしている土地は、南川副支所、元の南川副漁協のものだからなんですね。
この土地がどんな歴史でできたか、大臣は御存じですか。
○国務大臣(浜田靖一君) 取得対象の用地については、かつて干潟が存在しており、五十年以上前に干拓が行われた造成地であると承知をしております。干拓前の干潟の状況については、防衛省としては情報を有しておらず、承知しておりません。
○仁比聡平君 そんな承知していないで済みますか。
六枚目の資料に、空港干拓地に隣接する東よか干潟の環境省資料をお配りをしています。
豊かさが分かると思うんですね。せんだってラムサール条約に登録をされました。佐賀空港の周辺は、元は広大な干潟なんですよ。空港の干拓地というのは、もっと広大で豊かな干潟だったんですよ。カキやアサリ、アゲマキやガタハゼ、ムツゴロウ、ウナギやワラスボ、河口からちょっと出ると希少種のウミタケがごっそり捕れるという宝の海でした。
水産庁に確認をしますが、こうした生物多様性、生産性を誇る干潟の貴重な価値について、どんな御認識でしょうか。
○政府参考人(神谷崇君) お答えいたします。
干潟は、多くの水生生物の生活を支え、産卵や幼魚、仔魚に生育の場を提供する以外にも、水中の有機物を分解し、栄養塩類や炭素ガスを吸収し、酸素を供給するなど、海水の浄化に大きな役割を果たす存在であると認識しております。
○仁比聡平君 空港計画が持ち上がった一九六九年以来、漁業者、住民は三十年にわたって漁場を汚す空港建設は絶対反対と生活を懸けて闘い、二度の計画撤回を経ながら、九八年、開港に至りました。つまり、この土地は、豊かな漁場を失った代償でできたんですよ。公害防止協定に示された自衛隊との共用はしないという約束は、その際交わされた重いものなんですよ。
大臣は、この土地の管理がどのように行われているかは御存じですか。
○国務大臣(浜田靖一君) この取得対象の用地の登記名義人は佐賀県有明漁業協同組合であると認識しております。
他方、取得対象の用地の管理運営については、漁協内部のことであり、承知をしておりません。
○仁比聡平君 いや、とんでもない御答弁ですよね。知っていて承知していないと言うのかと。
国造搦六十ヘクタール管理運営協議会が管理運営をしております。漁協組合員、地権者の総意によって一括管理をし、個人使用は行わず、南川副干拓共同営農組合が耕作し、その収益を配分面積に応じて分配すると。相続は親族に限り、譲渡は事前に協議会の承認が必要とされているという運営ですね。
民事局長にお尋ねしますが、共同所有の形態には、総有、合有、狭義の共有がございます。それぞれの特徴と売却に必要な条件はどのように考えられますか。
○政府参考人(金子修君) お答えいたします。
合有及び総有という文言は民法上は用いられていないんですけれども、講学上、そのようなものがあると言われています。
そうしますと、共同所有の形態には狭義の共有のほか合有及び総有があるとされておりますけれども、狭義の共有におきましては、共同所有者は目的物に対して各自の持分を有し、その持分を自由に処分でき、また持分の分割を請求できるとされております。この狭義の共有は、民法二百四十九条以下の共有を指すとされているところです。
合有におきましては、共同所有者は目的物に対し各自の持分を有するものの、その持分の自由な処分を制限され、また目的物の分割の請求も制限されるとされております。その例としましては、民法第六百六十八条の組合契約における組合財産の共有があるとされております。
総有におきましては、村落共同体等の集団が存在し、目的物は実質的にその集団に帰属しており、その集団の構成員である共同所有者は、目的物に対して各自の持分を有しないため、持分の処分をできず、また目的物の分割の請求もできないとされているところでございます。そのような例としましては、民法二百六十三条の共有の性質を有する入会権があるとされております。
で、狭義の共有にありましては、目的物の全体を売却するには基本的に共同所有者全員の同意が必要となるものと解されます。
合有にありましては、例えば組合の業務として組合財産の処分を行う場合には、民法六百七十一条一項に基づき、組合員の過半数をもって決定することができるとされております。
総有にありましては、例えば共有の性質を有する入会権の目的物の売却につきましては、民法二百六十三条によりまして、各地方の慣習に従うものとされていると承知しております。
○仁比聡平君 それを踏まえて、防衛省は、この国造搦六十ヘクタール管理運営協議会に、佐賀駐屯地計画について、二〇一四年以来、協定見直しの、昨年十一月よりも前までに説明をしたことがありますか。
○国務大臣(浜田靖一君) 取得対象の用地の土地の管理運営についての認識は先ほど答弁申し上げたとおりでありますが、その上で、陸自オスプレイの佐賀空港利用等については、これまで防衛省から佐賀県有明海漁協を始めとする関係者の皆様に対して累次にわたり御説明をしてきているところであります。この中で、住民説明会や漁協の組合員の皆様への説明会も実施しており、さらに、漁協からの要望を受けた地権者説明会も実施をしているところでございます。
○仁比聡平君 いや、県漁協には説明してきたけれども、この南川副の管理運営協議会には説明はしていないでしょう。だから、昨年七月、地権者有志の会は、一部の組合幹部、役員のみで公害防止協定の見直しが行われるとすれば、民主的な方法での意思決定ではないとして、協定見直し前に説明会を求めていたでしょう。にもかかわらず、それさえ行わないまま協定見直しを強行したと。
ところが、資料の四枚目、五枚目御覧いただければ分かりますが、防衛省は驚くべきことに、先週の十七日、土地の買収価格を記した文書を、共有者二百五十四人、個別にいきなり頭越しで郵便で発送をいたしました。今後、戸別訪問を始めるといいます。
協議会への挨拶、説明もなしに、共有者が誰か、持分がどれだけずつか、こっそり調べて、いきなり文書を送り付けると。こんな不誠実で卑劣な、これ、とんでもないやり方だと大臣思いませんか。
○政府参考人(深澤雅貴君) お答え申し上げます。
報道については承知をしておりますけれども、御指摘のありましたようなその用地取得については現在調整中でございまして、その内容を防衛省から公にすることは、相手方との今後の調整に支障を及ぼすおそれがございますので、お答えすることは困難であります。
○仁比聡平君 いや、報道じゃなくて、防衛省がやっていることでしょう。
四にある、資料にあるように、南川副支所の田中浩人運営委員長は、各地区の代表者らで構成する協議会の総代会で方向性を協議し、その後、臨時総会を開く考えを示したと。そのとおりです。二枚目の資料の方には、防衛省の送った書類では協議会が管理する全体面積の約五五%を買収予定だと書いてあるじゃないですか。
どうやって運営されているか、内部の問題だから知らないなんというのは、これ、うそでしょう。国会でも説明できない。それは地元地権者の了解がないからですよ。
そうした中で……
○理事(片山さつき君) お時間が来ております。
○仁比聡平君 こうした卑劣なやり方は直ちに私はやめるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○理事(片山さつき君) お時間が来ております。おまとめください。
○国務大臣(浜田靖一君) 我々とすれば、皆さん方に御理解できるように、今後ともしっかりと対応していきたいというふうに考えております。
○理事(片山さつき君) お時間が来ております。おまとめください。
○仁比聡平君 はい。
もう知事も、協定見直しと地権者の理解は同じものではないというふうに言っています。五十年来の漁師は、漁民全員に諮ったわけでもないのに、絶対に戦争をしちゃならぬ、軍に使わせちゃならぬという約束、先人への裏切りだと。佐賀空港の軍事利用はしない、させない、あり得ないという住民総意は不変だと思います。断じて許されないということを申し上げて……
○理事(片山さつき君) 委員におかれましては、おまとめください。
○仁比聡平君 質問を終わります。