第169回国会 参議院予算委員会 第12号
2008年3月21日 仁比聡平参議院議員
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
まず、先日十八日に引き続きまして、海峡横断プロジェクトに関する件を少しお伺いをしたいんですが、冬柴大臣、まずこのプロジェクトに関するこれまでの調査報告書などの私からお願い、要求をしています資料をこの予算の審議中に速やかに御提出をいただきたい、そのお約束をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(冬柴鐵三君) 相当膨大なものですけど、すべてを速やかに提出をさせていただきます。

○仁比聡平君 そこで、関門海峡道路に関する調査会報告書の内容について国交省の認識を今度は局長にお尋ねをしていきたいと思うんですけれども、お手元に資料を一部お配りをいたしました。幾つも聞きたい点があるわけですが、時間の関係もございますので、事業主体をどうするのかの検討内容と地元負担の問題に絞って伺います。
この報告書概要版の三ページ目から、特に四ページ、五ページと、ここにこの調査会が検討をしてきた三つのスキームが掲げられているわけです。局長にこのスキームをそれぞれ簡潔に説明をいただきたいと思います。

○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
三つのスキームでございますが、旧道路公団等というのは公団方式で行うものでございまして、そこに事業スキームがございますように、旧公団が資金調達をいたしまして、政府保証債等で資金調達をいたしましてやるという一つの案でございます。それから公社案、北九州道路公社案というのは、事業スキームにございますように、旧公団から関門トンネルの事業譲渡を受ける、それに併せて資金調達をしまして新関門道路の建設をする。最後が民間事業者を中心とした事業体ということで、コンソーシアムを組みましてBOTの方式で資金調達をして道路を造る。これも併せて関門トンネルの事業譲渡を想定している。それぞれケーススタディーでございます。

○仁比聡平君 今御紹介いただいた三つのうち、北九州市道路公社案について少し詳しく伺いたいんですが、まずこの北九州市道路公社というのはどんな公社なのか、その概要を御説明ください。

○政府参考人(宮田年耕君) 北九州道路公社は、北九州市が設立団体として平成十七年十一月一日に設立されました。出資金は北九州市が全額出資でございます。事業内容は若戸大橋の管理、これを実施をしてございます。

○仁比聡平君 この公社のホームページなどを拝見しますと、第二若戸道路と呼ばれている道路の事業主体にもなっているわけですか。

○政府参考人(宮田年耕君) その件については承知をしておりませんが、今、第二若戸トンネル、これは別の事業で実施中ということを聞いております。

○仁比聡平君 いずれにいたしましても、この公社を事業主体とするというこのスキームの場合、この事業費をどのようにして調達をすることになるのか、そしてその際の手続はどのようになるのか、この点も道路局長に御説明をいただきます。

○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
地方道路公社がこういう有料道路事業を実施する場合の建設に要する資金でございますが、地方公共団体の出資金と民間借入金等で調達されるのが一般的でございます。
したがいまして、資金調達に際しましては、手続でございます、地方公共団体の議会の議決を経た上で地方公共団体が出資金の予算措置あるいは民間借入金等の債務保証を行いまして、道路公社が地方公共団体の出資金の受入れや借入れに対する債務保証を元に資金調達を行うというのが一般的でございます。

○仁比聡平君 今お話しのように、自治体が債務保証を行ってということが御説明なわけですけれども、確認をしますけれども、有料道路事業としてこれが計画をされているわけですが、その有料道路の場合は補助金というのはありますか。

○政府参考人(宮田年耕君) 補助金は一般的にございませんが、無利子貸付金というのは国から出しております。無利子貸付金を出しております。

○仁比聡平君 そうしますと、この報告書では、今日お配りはしていませんが、前回紹介をしたように、総事業費を千五百五十七億を超えるというふうに見積もっているわけですけれども、これを全額、仮にこの公社の案であれば、北九州市が出資ないしはその公社の借入れという形で賄うという、そういうスキームになるわけです。
そこで、総務大臣にお尋ねをしたいと思うんですけれども、この計画が仮に行われて、通行料で償還をするというその計画がうまくいかないとき、一〇〇%出資をし、債務保証を行っている北九州市というのは大きなリスクを負うということになると思いますが、いかがですか。

○国務大臣(増田寛也君) 債務保証ということを自治体が行うということであれば、当然その保証の履行を求められると、こういうことになるだろうというふうに思います。

○仁比聡平君 実際に自治体がつくっている公社の有料道路が失敗して一般財源から数十億円規模の穴埋めをされているという、そういった道路は福岡県下にもございますし、全国にも幾つもあるわけでございます。
もう一つの問題として、関門トンネルの料金の問題について伺いたいと思うんですが、先ほど局長からも説明がありましたように、この三つのスキームでは、いずれも関門トンネルと新関門海峡道路、これを一体的に運営するというふうにされて、その中で現行百五十円の料金、トンネルの料金を、これを値上げする必要があるというふうに書いてあるわけです。これは一体なぜなのか、その理由を御説明ください。

○政府参考人(宮田年耕君) 御指摘の現行料金の値上げにつきましては、新たに整備をする事業採算性の確保を図るために、並行する橋梁の料金値上げにより一体的な料金管理を行いましたハーバートンネル、この整備を例にして関門海峡道路に適用した場合のケーススタディーでございます。
このケーススタディーによる整理といたしまして、本手法の適用に当たって、関門海峡道路の事業費を回収するために、関門海峡道路と関門トンネルの利用料金の一体管理を行い、関門トンネルの料金の値上げの検討が必要であることを記載しておりますが、これは実際の料金値上げを行うということを検討しているものではなくて、あくまでケーススタディーでございます。

○仁比聡平君 いずれにしても、その検討が必要だというふうにあるわけです。
トンネルの建設費の償還、もう終了しているわけで、このトンネル料金を上げるというだけで市民は大変な負担増なわけですね。さらに、公社案では、この需要予測が間違って、交通量、したがって通行料収入が計画どおりに上がらなければ、今この公社が管理をしている若戸大橋、あるいはいずれできるかもしれない、できる第二若戸道路、この料金も値上げされるというような事態まで起こり得るのではないかと思いますが、いかがです。

○政府参考人(宮田年耕君) お答え申し上げます。
事業手法の検討という、先ほど申し上げました検討は、現行制度下におきまして整備を行う上での課題、問題点の整理と、そういった基礎的な検討を行っておるものでございまして、実際の整備あるいは値上げを前提として行っているものではございません。

○仁比聡平君 いずれにしても、こんな巨額の地元負担の調査、検討を国民の知らないところで国交省が進めてきたということが私は許されないと思うんですよ。この検討結果は撤回するべきじゃありませんか、どうですか。

○政府参考人(宮田年耕君) 関門道路のいろんな事業手法を検討する際のあくまでケーススタディーでございます。しかも、ハーバートンネルの事例を引きながらそういう前例を見てどういうふうな手法があるか、そういう三つのケーススタディーでございますので、それが直ちに実行に移されるとかそういうことではなくて、あくまでケーススタディーでございます。
○仁比聡平君 一般に説明されている候補路線、計画路線、調査区間、整備区間、事業着手という、こういう段階で言えば、予備設計などのその議論というのは、これは整備区間指定後に進められるものなんですね。これまでの調査は、都市計画決定などの手続を全く踏まないままにこういうところにまで来ている。こんなやり方というのは実はほかの道路、高速なんかでも同じなんじゃないのかという大問題があると思います。こんなやり方一切やめるべきだと思いますが、大臣、いかがです。

○国務大臣(冬柴鐵三君) やめるべきだと思います。

○仁比聡平君 こういった調査の根源も、私は道路特定財源の聖域にあると思うんですが、この一般財源化について、十九日の夜に総理が全額の一般財源化も視野に入れ検討していくというふうに発言をされ修正を指示したというふうに報じられているんですが、大臣は何をどう指示され、これをどのように受け止めているのか、お聞かせください。

○国務大臣(冬柴鐵三君) 私は指示受けていません。指示は受けていません。

○仁比聡平君 財務大臣、いかがですか。

○国務大臣(額賀福志郎君) これは自民党、公明党の両政調会長に指示をしたと、そしてその上で与野党で話合いをこの立法府で行っていっていただきたいという趣旨だというふうに理解をしております。

○仁比聡平君 これ今日の公明新聞ですけれども、全額「一般財源化含め検討」と大見出しで大きく取り扱っていらっしゃるわけですね。これ、大臣、この方向だったらば、道路財源特例法の改正案第三条を始めとしてこれは法案撤回し、そしてこれと裏表になっている中期計画、これも撤回するのが当然だと思いますが、いかがです。

○国務大臣(冬柴鐵三君) 公明新聞というのは公明党が出しているわけでありまして、私は国土交通大臣でございまして、指示受けていません、はい。
それから、それは議長の裁定もあったではないですか。よく与野党で協議をされて、それで議員立法として修正を考えるべきだと、こういうことでしょう。議員立法でしょう。我々は、今出しているものが、そういうものが通るまでは私は最善のものだと思っていますよ。

○仁比聡平君 大きく取り上げられていますけれども、全くはっきりしないという話だということが今の二人のお話でよく分かりました。
あくまで暫定税率の廃止と特定財源の一般財源化を強く求めて、質問を終わります。