○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 前回、六人の参考人の皆さんをお招きして質疑を行ったわけですけれども、与党が推薦をされた参考人も含めて、この改正案について不十分点、問題点というのが強く指摘をされたわけです。
 今日は、その中で特に議論が集中した一つのテーマである第三者保証についてお尋ねをしたいと思います。
 その参考人のお一人で、静岡大学の鳥畑参考人が冒頭このようにおっしゃいました。本法案は、以下、レジュメから直接読み上げますけれども、事業債務に対する第三者保証の原則禁止や保証人の負担能力を超えた保証責任の制限、いわゆる比例原則の見送りなど、依然として多くの課題が残されています。このことは、近年の担保、保証に過度に依存しない中小企業金融の政策的推進や金融実務の到達点、とりわけ第三者保証が原則禁止とされている現実に対して、民法という基本法が二、三周遅れるばかりか、逆方向への影響を与えてしまうのではないかと懸念するものですという厳しい指摘なんですが。
 大臣、こうした指摘にもかかわらず、本法案は、公正証書によって保証意思を確認すればこうした第三者保証あるいは負担能力を超えた保証責任を負わせるという、こういうことになっているんですけれども、公正証書によって保証意思を確認すれば必要かつ十分であると考えたのは一体なぜですか。
○国務大臣(金田勝年君) 仁比委員の御指摘にお答えをいたします。
 個人保証に、もとい、事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約を締結する際に、保証意思というものを、保証人になろうとする者の意思を公証人が確認するということとした趣旨について、まずお答えしたいのですが、事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約におきましては、その保証債務の額が多額になりがちであって、保証人の生活が破綻する例も相当数存在すると言われております。
 その理由としては、保証契約は個人的情義に基づいて行われることが多いということ、あるいは保証契約の締結の際には保証人が現実に履行を求められることになるかどうかが不確定であるということもありまして、保証人の中にはそのリスクを十分に自覚をしないで安易に保証契約を締結してしまう者が少なくないことが指摘されておると考えられます。
 例えば、個人は保証人になれないこととするなど、保証人の負うリスクへの配慮が行き過ぎると、それによって中小企業がそもそも融資を受けにくくなるということを危惧する意見も中小企業団体を中心に有力に主張をされている、このように受け止めております。
 そのため、中小企業の資金調達に支障が生じないようにしながら、個人がリスクを十分に自覚せず安易に保証人になることを防止するという観点から、事業のために負担した貸金等債務を主債務とする保証契約を全面的に禁止するのではなくて、このような保証契約については公的機関が保証人になろうとする者の保証意思を事前に確認しなければならないものとして、この意思確認の手続を経ていない保証契約を無効とするのが相当であると考えられたと承知しております。そして、その確認を行う公的機関としては、十分な法律知識等を有し公正中立な立場から公正証書の作成等の業務を行う公証人がふさわしいと考えられたわけであります。
 以上を踏まえて、改正法案におきまして、事業のために負担をした貸金等債務を主債務とする保証契約につきましては、公証人が保証人になろうとする者の保証意思を事前に確認しなければならないものとしまして、この意思確認の手続を経ていない保証契約を無効とすることとした次第であります。
○仁比聡平君 私の問いにしっかりとお答えになっておられないんですけれども、今大臣が最後の辺りでおっしゃった公的機関によって保証意思を確認すると。公証人による公正証書と、これによって保証意思を確認することが、先ほど大臣が第三者保証の、第三者個人保証の問題点としておっしゃった情義性だとか安易さだとか、こうしたものを克服して、生活が破綻するようなことにならない、過酷な保証債務を負わせることにならないということなんでしょう。その一方での中小企業の資金調達とのバランス取るんだという御趣旨だと思いますけれども。
 ですから、その要点となる公証人の公正証書によるならば、そうした弊害を克服して中小企業の金融を円滑ならしめることができると判断したその理由は何かと、なぜ公証人ですかということなんです。
○政府参考人(小川秀樹君) もちろん、金融行政との兼ね合い、バランスがございますが、基本的には、民法の改正によって民事上の効果を生じさせる範囲ということになりますと、ある一定の契約について一定の条件を課した上でそうでない場合は無効とするという、そういう基本的な効果が考えられるわけでございます。
 その民事法のバランスとしますと、今回、公証人の意思確認手続を経ることとし、これは先ほど大臣の答弁にもありましたように、公正中立な公的機関でございますので、そこがきっちりと意思確認をした上であれば第三者保証においても有効性を認めようと。仮にそれがなければ手続的に違反があるわけですので、契約自体を無効とすると、こういうバランスを取ったというのが今回の趣旨でございます。これによって中小企業の資金調達に支障が生じさせないようにするという趣旨も、当然のことながらございます。
○仁比聡平君 この公正証書による意思確認が、仮にその要件を満たしていない場合には無効とするのであるという、この効力の問題、効果の問題、これはすごく大事な問題ですから後ほど議論しますけれども、前提として、公証人が公正中立であってきっちり意思確認をするのだという答弁が今民事局長からあったわけです。
 大臣の先ほどの御答弁もその趣旨だったと思うんですが、そこで大臣にお尋ねしたいと思うんですけれども、前回の参考人質疑で、特に辰巳参考人から厳しく指摘もありましたけれども、その公証人が作った公正証書が極めて手続上もあるいは実体法に照らしても不当であって、その不当に作られた公正証書が不当な強制執行に使われ大問題になったということが数々あるわけですね。これ、大臣、御存じですか。
○国務大臣(金田勝年君) お答えをいたします。
 かつて、貸金業者によります執行認諾文言付きの公正証書の作成によりまして保証人に被害が生じる事例が問題となったものとしましては、平成十六年頃に起きましたいわゆる商工ローンによります公正証書の無断作成問題があるものと承知をいたしております。ここでは、例えば本人に無断で作成された委任状が利用され、本人が知らない間に執行認諾文言付きの公正証書が作成されるといった濫用事例があったと指摘されていたものと承知をいたしております。
○仁比聡平君 いや、承知をいたしておりますって、私が確かに知っていますかと聞きましたからその御答弁なんでしょうけど、承知をいたしておりますで済みますか。
 一体、法務省はその濫用事例と、大問題ということに対してどういう対応を取りましたか。
○政府参考人(小川秀樹君) ただいま御指摘ありましたように、平成十六年頃に起きたいわゆる商工ローンによります公正証書の無断作成問題においては、本人に無断で作成された委任状が利用されて、本人が知らない間に執行認諾文言付きの公正証書が作成されるといった濫用事例が指摘されておりました。執行認諾文言が付されました保証契約の公正証書は、本人自らが公証人に対して発言をする必要などもございませんので、これは必ずしも本人が公証役場に出頭する必要がなく、代理人による嘱託であっても作成することができる、このことからこのような問題が生じたものでございます。これは、カーボンコピーを利用しまして委任状を無断で作成したというのがその手法でございます。
 法務省といたしましては、この問題については、公証人法施行規則の改正を行いまして、代理人の嘱託により公正証書が作成された場合には公正証書作成の事実を書面により本人に通知しなければならないこととし、また、執行認諾文言が付されている場合にはその意味を通知しなければならない、これは非常に分かりやすく、こういうことがあると強制執行がされますよという書面を一緒に添付して通知するということにいたしまして、対策を講じているところでございます。
○仁比聡平君 大臣、今のような、公証人法施行規則の第十三条の二というのがその時点で置かれたわけですけど、これ置いて通知をしたとしましょう。この通知が届かないといいますか、つまり読むところまで行かないとか読んでも意味が分からないとか、そういうことがよくあるんですけどね、社会的弱者は。それはちょっとおいておくとしてもですよ、これ通知したら、そうしたらその保証被害というのは防げるわけですか、それで。根絶できるんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) もちろん、いろいろな手法をまた編み出す、考えるということはこれは否定できませんので、根絶できるかといいますと、こういうことによって代理嘱託によって濫用的に行われたことについての防止は可能だと思いますが、あらゆる意味での消費者被害を根絶できるかというと、その点についてはまだ検討すべき課題はあるかもしれません。
○仁比聡平君 いや、代理嘱託によっての作成の被害を、濫用を防止できるというふうにおっしゃるけれども、そのためには、実際に作成されてしまった執行認諾付きの公正証書が、これが効力がないんであるということを裁判ではっきりさせなきゃいけなくなるんじゃないですか、大臣。
○政府参考人(小川秀樹君) 確かに、一度債務名義として作成されていますので、その効力を排除する必要が、きっちりと裁判で確定するということであれば必要が出てこようかと思います。
○仁比聡平君 いや、その裁判が大変なんですよ。何しろ公正証書作られているわけでしょう。濫用とはいえ、あるいは偽造かもしれないけれども、委任状があるわけでしょう。
 大臣も財務省などでいろいろ御経験もありますけれども、実印と印鑑証明というのがそろっていれば、これ本人の意思によって作成されたものだというふうに、本当に大変な証明、反証を強いてきたのが日本の民事事件あるいは裁判所の運用ですからね。だから、公正証書が執行認諾文言付きで作成されてしまえば、これは、前回参考人質疑で、公正証書を巻くとか、それを使って追い込むとかいう表現もありましたけれども、これは債務者に対する不当な請求のとても強力な武器にされてしまうわけですよ。
 冒頭、大臣が、公証人役場にも行ったことがなく、本人の意思に基づかずに作られた例をおっしゃいました。それ実際、本人は公証人役場に行ったこともない、貸金業者から公正証書を作成すると説明されたこともない、ところが、突然公正証書による差押えを受けるわけですね。そうした濫用以外にもあるんですよ。実際には、利息制限法で計算をすればとうの昔に払い過ぎになっている、いわゆる過払いになっていると。だから、実体法上は債権は存在しないという状態になっているのに、とうの昔に払い終わっているはずなのに、公証人によるそうした公正証書があるからというので、裁判所の執行官を連れてきて家財道具の差押えをするとか、給料が突然差し押さえられるとか、それが会社中に知れ渡ってもう会社にいられなくなるとか、そういう強い効力を持っているわけですよね。
 私も数々経験がありますけれども、その当時、大臣がおっしゃった二〇〇〇年代の初めの時期ですけれども、この時期は約定金利、これはもう一〇〇%を超えるという異常な高金利の貸金業者が横行していました。貸金業法とそして出資法、これを改正することによってそうした貸金業ができなくなってくるというふうにしたわけですけれども、当時は、そうしたとんでもない高金利を債務者に払わせるために、暴力的な取立て、過剰貸付け、どんどん行ってきた業者が、こともあろうか公正証書を取るわけですよ。公正証書を巻いて、そこには貸金業規制法の範囲内の利息が書いてある。これをもって家財道具を差し押さえる、給料を差し押さえる。そのことによって、その公正証書に書いてある金利をはるかに超える、一〇〇%を超えるような、そうした金利を払わせるわけですよ。そこに保証人が被害に巻き込まれていくわけですよ。
 ちょっと一応確認しますけれども、執行認諾文言付きの公正証書が存在すれば、私が今申し上げたような給料や家財道具、そうした差押え、これは可能になりますね。
○政府参考人(小川秀樹君) 可能になります。
○仁比聡平君 主債務だけではなくて保証債務についてもそうした公正証書があれば、保証人も突然そういう差押えに襲われるということになりますね。
○政府参考人(小川秀樹君) 保証契約について執行認諾文言付きの公正証書が作成されているということであれば、おっしゃるとおりだと思います。
○仁比聡平君 公正証書というのはそういう恐ろしいものなんですよ。だから、法制審でも、与党推薦でこの間参考人、おいでになった山野目教授が、そうした執行認諾文言付きの公正証書を今回の改正案が誘発するのではないか、この法案が執行認諾文言付きの公正証書を誘発するのではないかという疑問が出ていることについて、特にテークノートしておられるくだりもあるわけですね。
 この公証人が、そうしたら、改正案に基づいて、民事局長のおっしゃったきっちり意思を確認するというのをどうやってやっていくのか。
 そこを改めて尋ねたいと思うんですけれども、改正案の条文では、四百六十五条の六ですが、一項で、公正証書で保証債務を履行する意思を表示していなければその効力を生じないとした上で、二項に、「前項の公正証書を作成するには、次に掲げる方式に従わなければならない。」として、一号、「保証人になろうとする者が、次のイ又はロに掲げる契約の区分に応じ、それぞれ当該イ又はロに定める事項を公証人に口授すること。」という文言になっております。この口授された口述を、二号では、公証人が筆記し、読み聞かせ、閲覧させるなどという手続に進むことになっているわけですが、大臣、この口授というのは一体何ですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 口頭で述べることでございます。口頭で述べて、それを公証人の方に明らかにしていくことでございます。
○仁比聡平君 いや、口頭で述べることというぐらいのことで私が今問題提起をしているような意思確認が本当にできますか。
 例えば、保証契約に関して、そのイというのがありますけれども、主たる債務の債権者、債務者はもちろんのこと、元本やその主債務に関する利息や違約金、損害賠償その他の債務に従たる全てのものの定めの有無などなどという、保証債務を構成する全ての要素について保証人は口授するということになるわけでしょう。先ほど真山議員がお尋ねになっておられましたけれども、その中で口ごもったり、法律のそれこそ専門家から見ると、オウム返しに記憶で覚えたとおりに述べているだけで、意味は分かっていないのではないかというようなことを感じさせられることだってあると思うんですよね。
 その口授というのは、口授を受ける公証人というのは、その保証人になろうとする者がどんな意思を持っているのか、どんな認識に立っているのかをどうする義務があるということなんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 口授すべき、法律上口授すべき事項はまさに四百六十五条の六以降に書かれているとおりでございますが、これを口授させる趣旨は、保証人自身による口授を通じてその保証意思が強固なものであることを確認しようとするところにございます。
 なお、公証人は、保証意思の確認に際して、保証人になろうとする者が保証しようとしている主債務の具体的内容を認識していることや、保証契約を締結すれば、保証人は保証債務を負担し、主債務が履行されなければ自らが保証債務を履行しなければならなくなることを理解しているかなど、これを検証いたしまして、保証契約のリスクを十分に理解した上で保証人になろうとする者が相当の考慮をして保証契約を締結しようとしているか否かも見極めることが予定されております。
 もう少し具体的に申し上げますと、ここで言う保証契約のリスクとは、単に保証契約の法的な意味といったものではなく、その契約を締結しようとしている保証人自身が当該保証債務を負うことによりまして直面し得る具体的な不利益を意味しております。公証人は、保証人になろうとする者がこのリスクを十分理解しているかどうかについて見極める必要がございます。
 例えば、その保証債務を履行できなければ、住居用の不動産に対して強制執行されて生活の本拠を失ったり、給与を差し押さえられて生活の維持が困難になったり、預金を差し押さえられて当座の生活にも困窮することがあり得ること、こういったことを現に認識しているのかなどを確認し、その保証契約のリスクを十分に理解しているのかを見極めることが要請されるものというふうに考えております。
 このように公証人は、法律上口授することが必要な事項にとどまらず、保証契約のリスクを十分に理解しているのかを見極めるために必要な事項について確認をしていくことになるというふうに考えております。
○仁比聡平君 いや、そのリスクを理解してもらうというふうにおっしゃるんだけれども、直面し得る具体的な不利益という今の局長の言葉を引けば、どのような不利益に直面し得るかというのは、その主債務者の事業の状況などによって個別、極めて具体的なんですよね。公証人は、それは法律の専門家かもしれないが、けれども、当該事業の行方については何にも全く知らないわけじゃないですか。
 その下で、前回でしたか、資力や、主債務者のですね、主債務者の資力や事業の見通しも含めてリスクを理解してもらう、それによって安易な保証を防止するというような御答弁があったんですけれども、その事業について全く知らない公証人が、保証人になろうとする者のそうしたリスクというのを本当に理解しているかを確かめることなんてできるんですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 保証人になろうとする者が、今申し上げましたように、リスクを理解しているのかを確認するに当たりましては、保証人になろうとする者が主債務者の経済状況などについて認識しているのかを確認することも重要でございます。
 改正法案においては、保証人になることのリスクを判断するために必要な情報を提供させるという趣旨で、主債務者は、事業のために負担する債務を主債務とする保証等の委託をするときは、委託をする者に対し、主債務者の財産及び収支の状況等に関する情報を提供しなければならないとの義務、情報提供の義務を設けることとしております。
 公証人が主債務者の資力等の情報を個人的に知っていることは、これ実際上はあり得ないと考えられますが、保証意思を確認する際には、情報提供義務に基づいてどのような情報の提供を受けたかも確認し、保証人になろうとする者がその情報も踏まえてリスクを十分に認識しているかを見極めることになるものと考えております。
○仁比聡平君 本当にそんなふうになるのかということが重要な問題だと思うんですけれども、そうした、今そうおっしゃる以上は、この改正案が成立すれば公証人にそのような義務を負わせていくんだという御趣旨なんだと思いますが、それは何らかに明記をするということになっていくのか。それから、先ほどの確認になりますけれども、そうした、言わば公証人の行為義務あるいは義務に反して作成された保証意思宣明証書や、それに基づいて作成された保証債務のとりわけ執行認諾文言付きの公正証書、この効力というのは、これは無効になるということですか。
○政府参考人(小川秀樹君) 先ほども申し上げましたが、基本的には、公証人法と公証人法施行規則において一定の説明義務は設けられております。その上で、今回の、先ほど申し上げましたリスクの確認につきましては、通達によって公証人に周知を図り、通達に従った公証事務が行われるように監督してまいりたいというふうに考えております。
 仮にそういったものに違反するということになりますと、これは、法令に違反する場合、あるいは規則に違反するというような場合になりますと、これは無効、公正証書自体は無効ということになるというふうに考えております。
○仁比聡平君 しっかり議論を尽くしていかなきゃいけないと思います。今の答弁をよく議事録で確認して吟味をしたいと思うんです。
 ちょっと残る時間が短くなってきまして、たくさん通告をしていたんですが、金融庁に一問お尋ねをしたいと思うんですが。
 前回、鳥畑参考人が紹介をされた中小企業家同友会全国協議会の、これは昨年の六月に私ども国会議員に寄せられた要望書ですけれども、「円滑な資金供給と「経営者保証に関するガイドライン」の活用を」という項目で、中小企業憲章、二〇一〇年六月の閣議決定には、金融供与に当たっては、中小企業の知的資産を始め事業力や経営者の資質を重視し、不動産担保や保証人への依存を減らすと明記されている、個人保証に過度に依存しない金融制度の確立は、円滑な創業や事業承継、事業の拡大を進め、地域経済の振興を図る上で不可欠であるという要望の趣旨なんですけれども、これは私そのとおりだと思うわけです。
 前回、鳥畑参考人が数々、情義性やあるいは軽率性、無償性、利他性、そうした指摘をされた前近代的な融資慣行というのは、これはもう廃していかなきゃいけないと。貸す側がしっかり目利きもする、そして、情義的な、端的には配偶者なんというのはそうですけれども、そうした保証に頼るのではなくて、これきちんと中小企業金融を動かしていかなきゃいけないと、そういう趣旨だと思うんですけれども、金融庁もそうした取組をしておられるということでよろしいですか。
○政府参考人(栗田照久君) お答え申し上げます。
 金融庁といたしましては、金融機関が担保、保証に過度に依存することなく、取引先企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価して、企業価値の向上に資するアドバイスあるいはファイナンスを行っていくということが重要であるというふうに考えております。このため、例えば個人保証につきましても、経営者以外の第三者の個人連帯保証を求めないことを原則とする融資慣行の確立でありますとか、経営者保証ガイドラインの融資慣行としての定着ということを金融機関に促しているところでございます。
 今後とも引き続き、個人保証に過度に依存することなく、取引先企業の事業内容、成長可能性を適切に評価した融資を行うよう金融機関に鋭意取組を促してまいりたいというふうに考えてございます。
○仁比聡平君 時間が参りましたので、あとの議論は次に回したいと思います。ありがとうございました。