○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。挽参考人、どうぞよろしくお願いいたします。
民間の取引と大きく違って、国の会計検査に、まあ特異といいますか、なのが、軍事費、防衛費の検査だと思うんですね。とりわけ政府が大軍拡を進める、踏み出していくという中で、米国による対外有償軍事援助の問題について少し伺いたいと思うんですけれども、この軍事援助、FMSというものについては、先ほども少し触れられましたけれども、会計検査の上で大きな問題になってきました。
米国政府が外国に対して兵器などを有償で提供するわけですが、米国の武器輸出管理法というものに基づいていて、アメリカの安全保障を強化するということが目的だと。価格交渉の余地はないと。一方的に価格が示される。原則前払。けれど、納期は予定。米国側の方針変更があれば契約解除できるという余りにも売手というか米国側に都合のいい制度になっていて、これをめぐって防衛省の中で極めてずさんな処理が行われてきたという中で、検査院からも是正要求や意見、それから検査報告が重ねられてきたわけですが、参考人は検査官としてどのような観点で検査に臨もうと考えておられますか。
○参考人(挽文子君) 御質問いただき、ありがとうございます。
FMSの検査についての御質問と受け止めております。
FMSについては、会計検査院でもこれまで重点を置いて検査を行ってまいりました。装備品等の納入が大幅に遅延している事態や未精算額が多額に上っている事態、日本に返還可能な資金の返済請求が適切に行われていない事態などについて、意見表示事項や処置要求事項などとして複数回、検査報告に掲記してきたと承知しております。平成三十年の国会からの検査要請、有償援助による防衛装備品等の調達に関する会計検査の結果についてのほか、会計検査院では、平成二十九年に、F35Aに関わるFMS調達等の実施状況について検査を行い、国会等へ報告されていると承知しております。
仮に今回任命について御同意をいただけた場合には、一般論として申し上げることになりますが、FMSを含む防衛費の検査に当たっては、防衛費が今後大幅に増加することが見込まれる状況において、防衛装備品等の調達は適切なものとなっているか、プロジェクト管理は適切か、より少ないコストで実施できないかなどについて検査していくことが考えられます。
これまでの検査で明らかとなった状況や国会での御議論、国民の関心等を踏まえつつ、適切に検査を実施してまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 ありがとうございます。
このFMSについて、米国の武器輸出管理法によれば、このFMSの活動が米国政府に無償で実施されると、アメリカにとっては無償じゃなきゃいけないということが義務付けられている。外国の購入者が管理費を提供し、米国納税者の負担なく運営するんだと。そういうものだということになっていて、過去、検査院の検査報告の中でも、この武器輸出管理法などの法令によれば、アメリカ政府の事務経費を総費用は含むんだということも指摘をされているわけですね。これが、先ほどの質問の中で参考人から、効率性とかあるいは付加価値の云々という、そうした問題意識が示されたんですけれども、そもそも爆買いを押し付けるものという仕組みになっているんじゃないのかと、これの検査が本当にできるのかという強い問題意識を持つわけです。
御存じのとおりですが、二〇一三年、安倍政権の下で、以来、FMSは急増しておりまして、二〇一三年に一千百十七億円だったんですが、来年度予算では一兆四千七百六十八億円ということで十三倍にもなるわけですね。
この問題について、先週二月十七日の衆議院の予算委員会で、浜田防衛大臣がこう答弁をしました。FMS調達の合理化に向けて積極的に取り組んでいるところだと、令和四年度予算のFMS対象経費についても、米国としっかりと交渉、調整し、価格の精査を通じて費用の抑制に努めましたというのが防衛大臣の答弁なんですけれども、こうした政府の姿勢を、個々を検査をするということができるんでしょうか。
○参考人(挽文子君) 会計検査院では法によってあらゆる検査を行うことができるというふうに認識しておりますが、FMSに関してどこまで検査ができるのかということに関しては、現状でこうだということは、まだ内情を詳しくは存じておりませんので申し上げられませんけれども、先生の御意見を踏まえまして、他の二人の検査官としっかりと検討してまいりたいと思います。
○仁比聡平君 本当に国民的に大問題だと思うんですよね。政府がこのFMSをブラックボックスにして大軍拡をしていくということについて、憲法に要請されている検査院の役割を是非発揮していただきたいというふうに思います。
このFMSの対象事業として、来年度、トマホークを二千百十三億円の予算で取得するというんですが、この国会の議論の中で、何基買うのか、一基幾らかと何度聞かれても、お答えを差し控えるというのが政府の姿勢なんですね。これ、アメリカの議会に対してアメリカの政府は承認を得なければならないので、実は各国に売却するFMSの対象の兵器の数量などの情報は公開をしています。例えば、イギリスにトマホークを二〇一四年売ったときに、英政府は最大六十五発の購入を要求したという公表があり、昨年十月に日本にSM6ミサイルの売却を承認した際にも、日本政府は最大三十二発の購入を要求したという公表をしているんですね。
ところが、来年度予算案に二千百億円という予算を計上しながら、何基買うんですかと聞かれても答えないと。国会で答えないままこれが予算化されるということになっていったときに、その執行についてどう検査するんですかと。何が基準で合規性だとかあるいは効率性だとか経済性だとかいうことが検査できるのかと、国会でも説明できないものについて。
ですから、与党の中からも、総額ありきじゃないかとか、GDP比二%ありきじゃないかとかいう、そういう議論が出ていると思うんですけれども、どんな観点で検査をされますか。
○参考人(挽文子君) ただいま御質問いただきました点について、会計検査院での個別事項について十分知識は持ち合わせていないものの、原価計算研究者としては、個人的な見解になりますけれども、調達について情報がないで買うということは信じられない事態でございますし、内部にそのような情報はあるのではないかというふうに考えております。
ただ、検査官としては、合議で決めていくことですので、もし検査官に任じられましたら、原価計算研究者だった者の立場から議論に加わってまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 ありがとうございました。