○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
 今日、与野党を超えて、これまでの質疑を聞いて、質疑といいますか、与野党を超えた質問に対する法務省、政府の答弁を聞いておりまして、今度、技能実習生の失踪というこの事態に対する感覚が麻痺しておられるのではないのかと、そのことをちょっと痛感しているものですから、通告をしておりませんが、長官にまず認識をお尋ねしたいと思うんです。
 今回の報告において、失踪率という概念まで持ち出して今の制度やその運用を少しでも正当化しようというその感覚そのものが私は根本から間違っていると思うんですよね。
 そこで、確認ですけれども、失踪者数の推移を見ますと、平成二十七年に五千八百三人、平成二十八年に五千五十八人、平成二十九年、七千八十九人、平成三十年に九千五十二人と、これ、うなぎ登りと言っていいくらい増え続けて、過去最高と。
 この数字、そのとおりですね。
○政府参考人(佐々木聖子君) お話しのとおりです。
○仁比聡平君 このうち、平成二十九年の失踪者、平成三十年の失踪者を合わせますと一万六千百四十一人になるんですね。今回のプロジェクトチームの調査の対象は五千二百十八人ですが、この五千二百十八人という数は、この一万六千百四十一人の内訳ではありません。その前から失踪していて、平成二十九年一月から平成三十年九月に入国警備官のところにまで捕捉をされて聴き取りがなされたという人たちなのであって、それでも、およそこの今回の失踪、調査対象者の三倍以上という失踪が現実に起こっているわけです。
 加えて、今回の調査によっても、一つは、不正や権利侵害は到底つかみ切れていない。したがって、二つ目に、その失踪をもたらしてきた構造的な原因、これは明らかになっていない。その下で、今、この技能実習制度が、新しい特定技能一とも結び付いて、一方で留学生の資格外活動といった状況と結び付いて現に動いているわけですよ。その下で、今日だって実習先で苦しんで逃げ出さざるを得ないという方があるかもしれないわけでしょう。
 今私が申し上げた、つまり二十九年、三十年の失踪者数と、それから今回調査対象になった者との関係などについて、長官、御認識や御感想いかがですか。
○政府参考人(佐々木聖子君) 構造といいますか、それぞれの数の性格は今委員御指摘のとおりでございます。
 全体的な母数が増えているので失踪者が増えているというのは、それがいいと申し上げているわけでございませんで、一人たりとも、失踪者が出ている以上、先ほど目標はゼロだというお話もありましたけれども、いろいろな取組が道半ばであるということは十分に自覚をした上で適正化に努めていきたいと考えております。
○仁比聡平君 いや、道半ばとか一人たりともとか、そんなことを口にするような状況ですかね。
 だって、去年一年で九千人ですよ。これ、今年、一層技能実習生増えていくとすれば、今年の、この一年のですよ、失踪者というのはもっと多くなるかもしれないでしょう。今、この五月の現時点においてそういう失踪を迫られている方がたくさんあるかもしれないでしょう。ゼロにするって、ちょっと到底現実から懸け離れている。それは、技能実習制度や特定技能一などの外国人労働力の受入れ政策の矛盾そのものを曖昧にしようとしているからですよ。
 その下で、一人一人の実習生がどんな思いでいるのかと、私はその警鐘を鳴らしたいという思いで、三月の二十日のこの委員会以降、新しい実習適正化法というのに基づいて入国をしてきたベトナムの二十代の女性たちの実態について、この委員会で取り上げました。その後、実習機構が現地調査を行って、その実習生たちを保護して、今現在、本来の実習項目について適正に実習のできる実習先を機構と協力をしながら探しているところということで、そうした運びになっているんですけれども。
 その取組そのものは私も評価をしていますが、そのときに紹介をした御本人の手紙なんですが、実習機構に訴えると言ったら帰国させると脅かされる、一年間電話を使うこともできませんでした、何もしていないのに怒られてばかりで、私も腹が立ち、ですから書類を持って逃げました、もちろん怖いです、でも帰国させられるか逃げるかなら逃げますというお手紙でした。日本に来るまでにたくさんのお金が掛かっています、借金がたくさんあります、今帰国したら、借金の元金が残ったまま二年間何もできなかったことになります、どうか私を助けてくださいと。
 それがこのベトナム人女性たちの訴えであり、実際、金属加工の実習項目だったはずなのにペットショップの仕事を朝から夜中までさせられる。監理団体で適正化するというけれども、その監理団体の代表がその不当な働かせ方をしている有限会社の社長だったわけじゃないですか。その実態が私がこの委員会で指摘をしたとおりだったからこそ、機構や入管は保護し、今適正な実習先を探しているわけでしょう。
 そうした一人一人の実習生の実態というのが、例えば昨年の九千五十二人という失踪者、あるいは今年も生まれているかもしれない失踪者なんですね。お一人お一人の中にあるんじゃないんですか。局長、そこはどんな御認識なんですか。
○政府参考人(佐々木聖子君) 今回の新しい取組によりまして、以前よりもより詳細にその失踪者の状況などを聞き取ることができるようになりますので、初動体制を構築といいますか、できるだけ早急に実習実施機関に赴くという取組も含めまして、実態の解明と、それから技能実習生の保護に努めていくことになります。
○仁比聡平君 今おっしゃった要点も含めて、今日、対策をこうしますと政府がお話しになっていることを実際に全ての実習生に対して及ぼして権利救済を図っていくということが容易ではない、極めて困難だと。だからこそ、これだけの実習生の失踪が起こってきているわけですよね。方針を立てても、それが現実にできるかというと、それはそんな簡単なことじゃないと。その下で、私は今回の調査報告との関係でいいますと、不正や権利侵害が到底つかみ切れていないという実態になっているんだと思うんですよ。
 通告をさせていただきましたけれども、私、前回、四月の十六日にこの調査報告についてお尋ねをしまして、そのときに、一つは、調査を拒否したという実習先、倒産、所在不明という実習先、これらは重大な権利侵害がそもそも疑われるところではないか。けれども、ここは調査が結局できなかったと言っている。
 もう一つは、軽微な書類不備に係るものとして、二千六十人分も除いているではないか。この軽微な書類不備の中心というのは、賃金台帳に必要事項が書かれていないといったことで、これは失踪実習生のうち聴き取りを行って明らかに違法がないとは認められない者が属している実習先なわけですから、ここに賃金台帳の不記載があるということになれば、これは実習生の言っていたとおりなんじゃないのか、賃金台帳の方が間違っている、あるいはあえて虚偽が書かれているんではないのか、そのことを疑うのがむしろ当然だと私は指摘をいたしました。
 加えて、今回の調査は、にもかかわらず、実習機関の方の話だけ聞いてそれでよしとしているのではありませんかと。実習生が残っている、その実習生から事情聴取をしたのは僅か半分。しかも、抜き打ち調査をすべきであるのに、電話・書面調査にとどまっていると。これ、抜き打ち調査やったら、相手がいなかったら三月末までに報告を上げるということはできないから、だから事前に電話掛けて、いや、うちは駄目です、都合悪いですと言われたら、はいはい、そうですかと、で、電話調査にしているわけでしょう。
 そうした結果、衆議院で、六割しかチェックできていないのではないか、あっ、ごめんなさい、六割は会社の言い分、実習先の言い分でしかチェックできていないのではないかという問題意識が提起をされているんですが、実際、いかがですか。
○政府参考人(佐々木聖子君) 実地調査を実施いたしました千五百五十五の実習実施機関のうち、調査場所に技能実習生がおり、実際に現役の技能実習生から事情を聴取できたのは、取り急ぎ集計した速報値として申し上げますと、約八百六十機関となっております。それから、現役の実習生から事情聴取できていない案件におきましても、今回の調査で実習実施機関から提出を受けた賃金台帳等、その全てについて記載に不備がないか否かを確認をしております。
 その他、給与振り込み口座やタイムカードの提出を受けている場合、必要な突合などをやっておりまして、言い分だけではなくて、できるだけ客観的な資料、それから現役の実習生からの話を聞くように努めました。
○仁比聡平君 ですから、そうした調査をされた上で、六割、まあ五割かもしれませんが、企業側の言い分のみではないかというこの割合についてはどんな御認識なんですか。
○政府参考人(佐々木聖子君) まず、今御報告申し上げましたように、技能実習生から話を聞けた、それについて口裏合わせではないかという御指摘もございましたけれども、できるだけ事実を聞き出すように努めたものでございまして、そのほかにつきましても、繰り返しになりますけれども、何らかの客観証拠にたどり着くように努めたものでございまして、受入れ企業側の言い分どおりが五割から六割というものではないと考えます。
○仁比聡平君 客観証拠というのは、賃金台帳のみという場合も含むんでしょう。
○政府参考人(佐々木聖子君) 場合によっては、それしかなかったものもございます。
○仁比聡平君 ですから、その賃金台帳が失踪した実習生の言い分と違っているのではないかというこの矛盾は、企業側の、企業側というか実習先側の言い分以外には埋めるものはないわけですよ、今のところ、今回の調査では。そういうことでしょう。
○政府参考人(佐々木聖子君) そのこともございまして、また引き続き、今回の調査対象で技能実習生がいるところにつきましては、再度の調査に赴く予定でございます。
○仁比聡平君 再調査が必要であるというのは、つまり今回のプロジェクトチームにおける調査によっては明らかになっていないということなんですよ。
 そうした議論を踏まえて、衆議院の四月二十四日の私ども藤野議員の質問に対して、門山政務官が、まあちょっと要約といいますか、私の拾うところだけ拾いますけれども、客観資料をなるべく調べてこれだけは認められたというだけで、認めなかった中には、全部適正だなんとは私自身は全く思っていないわけでございます、例えば、その中には調査できなかったものとか回答を拒否したものもありますし、その中にも最賃違反が疑われる可能性というのはこれは十分あるんじゃないかという認識を持っていますといった認識を政務官御自身がお示しになっておられるわけですが、まず政務官、そういう認識ですか。
○大臣政務官(門山宏哲君) 委員の御指摘のとおりの認識を持っております。
○仁比聡平君 それは大臣も同じですか。
○国務大臣(山下貴司君) 私も、調査自体を行ったものの、賃金等に関する客観的資料が得られなかった機関が存するところでございまして、これらの機関が、不正行為を行っていた機関が存する可能性は否定できないと考えております。
 ゆえに、今回の調査対象機関のうち、技能実習生が在籍中のものについては、今年度中に技能実習法に基づく実地検査等を行う方針でございます。その結果、更なる不正行為等が判明する可能性がございますが、こうした場合には厳正に対処させていただきたいと思いますし、実地検査等の方針、情勢、具体的な把握については、今後も適切な御説明に努めてまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 大臣、今はそういうふうにおっしゃるんだけれども、四月十六日に私が尋ねたときにはこう答弁されたんです。今回のプロジェクトチームの調査では、失踪技能実習生の供述内容をそのまま記録した聴き取り票によってではなく、可能な限り賃金台帳やタイムカードといった客観資料を入手して、控除額やそれを差し引いた後に実際に支払われていた賃金の額などを調査したものであって、客観的にファクトとして示したものであるという答弁をされたんですよね。
 この大臣の答弁、それは、この今回の報告書が公表されたときにメディアを中心に受け止められた捉え方でもあるんですよ。何しろ法務大臣が可能な限り客観資料を入手して調査したと、ここに示している、例えば最賃以下というのは五十八人であるというのがファクトであるというふうに述べれば、そういうものなのかと思うでしょう、世間は。けれども、こうやって議論を何度かやるだけで、そうした不正や権利侵害がつかみ切れたものではないんだということを、責任者として調査に臨まれた政務官も、それから大臣もお認めになるわけじゃないですか。
 だったらば、今回の、今回のというのは、つまり三月二十八日に公表をされたこの報告書の概要、これだけ見ると、何だか、少ししかなかったのか、権利侵害はというふうに見えるんですから、だから、今政務官や大臣がお示しになった認識、これが今の到達点であって、調査は限られたところしかできていないし、その中でも不十分であって、まあこの不十分は私の表現ですけどね、今から再調査、この中で徹底して不正をただし、権利回復を行うことが必要なんだということを法務省としてきちんと公表すべきじゃありませんか。
○国務大臣(山下貴司君) このプロジェクトチームの調査検討結果に際しまして、また委員の質疑に対しまして私が答弁したのは、可能な限り客観的な資料を得てというところでございまして、残念ながら、この協力拒否が百十三機関あり、あるいは倒産、所在不明等によって調査できなかったものが二百七十機関あるということは事実でございまして、それには調査が及ばなかったところはございます。
 ただ、その点のファクトに関しましては、プロジェクトチームの調査・検討結果の概要あるいは調査結果報告書そのものにおいて明確にこれだけの機関があったということはお示ししているところでございまして、それを踏まえた上で、可能な限りファクトに基づいて申し上げたということで答弁させていただいたことを是非御理解いただきたいと思います。
 いずれにせよ、この調査拒否があったところに関しましては、これは実習生がまだ存するところについては技能実習法に基づく調査、これが可能でございますので、これを今年度中にさせていただくということでございます。そのほか、可能なこの調査の方法について、例えば今後、失踪技能実習生が現れました場合に、この新たに詳細な書式となりました調査報告書により把握することも可能でございましょうし、そうしたことで実態を把握して適切な対応を取ってまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 可能な限りとかファクトとかいう言葉を今大臣が弁明されたような文脈で使う、それは実態をごまかすということにしかならない。それは、立場は違っても、外国人労働者の皆さんをきちんと受け入れていくと、日本社会の中で共生を図っていくということにはつながらないんですよ。実態をごまかしちゃ駄目なんですよ。その点を厳しく申し上げたいと思うんですが。
 ちょっと一つだけ。調査拒否をした機関に対しては、百十三ですけれども、速やかに実地検査を実施するというのが四月十六日の答弁なんですが、その調査には着手はされたんですか、長官。
○政府参考人(佐々木聖子君) 既に実地検査を実施している対象機関もあります。
○仁比聡平君 速やかにその調査を終えて、この委員会に報告をすべきです。
 そうした下で、その四月の十六日も求めたんですけれども、実際に失踪者として強制帰国の手続を取られて母国に帰国をしている元実習生が膨大にいるわけですね。しかも、その後、その後というのは、つまり昨年の秋これが大問題になって以降もその強制帰国の手続というのはどんどん進むわけですから、例えば今日帰国している人もいるかもしれないわけです。現在進行形の話なんですね。ですから、その一人一人の失踪者が例えば未払賃金の支払ってもらう権利を持っている、あるいは最賃以下で苦闘してきた、そうした方々の経済的な救済は、これは図られるべきだと私、思うんですね。ですので、前回、外務省にお一人お一人への個別的なフォロー、個別通知もしたらどうかというふうにもお尋ねをしたんですが、外務省、いかがでしょうか。
○政府参考人(高橋克彦君) お答えいたします。
 外国人技能実習制度では、この実習機構がベトナム語を含む多言語の相談窓口を設置しておりまして、母国に帰国した元実習生もメール等によって直接相談することが可能となっております。したがいまして、ベトナム大使館ではホームページを通じてこの機構による相談制度を紹介をしておりますので、仮に母国に帰国した元技能実習生が在ベトナム大使館に問い合わせる場合には、大使館、外務省を通じて、関係省庁や同機構と連携しつつ、適切に対応していくということになります。これは送り出しの前にも技能実習生として訪日する方々には情報提供しておりますので、このような事前、事後の情報発信をすることで、母国に帰国したベトナム人元技能実習生が既存の制度を最大限活用できるよう、引き続き努力してまいりたいと考えております。
○仁比聡平君 私、今日、何人かの同僚議員が質問をされたように、例えばベトナムにおいて、ベトナム政府と協力をしながらではあるけれども、失踪実習生、帰国をした人たちに個別権利救済を図るための相談を行っていく、フォローしていくというのは、これは是非やっていくべきだと思うんですよね。主権という言葉が繰り返されましたけれども、そこはいろんな工夫をしながら、政府間、二国間の努力をすべきだと私は思うんですが、その上で今御答弁のあった、相談を大使館がしっかりと受けていきますよというこのメッセージが届くことで安心して相談できる方々もいるんじゃないかなと思います。
 というのは、ブローカーあるいは送り出し、それから日本側の監理団体が不当な権利侵害と一体になって自分たちを苦しめていく、その下で、憧れて来たけれども日本は大嫌いだと、そんな思いで帰国せざるを得なくなった人たちもたくさんいるんですね。その方々が、例えば母国の送り出し機関とか、ましてブローカーに、こんな目に遭って帰ってきたなんていうようなことを相談するなんてあり得ないじゃないですか。日本の大使館が積極的にそうした方々の相談に乗って親身に解決していく、あそこに相談したら解決したということが伝わっていけば、物事が動いていくのかもしれないなと。是非、大使館に困ったときは、困ったことは全部大使館に相談してくださいぐらいの構えで、私、政府を挙げて取り組んでもらったらいいんじゃないかと思うんですよ。
 例えばですよ、失踪している人を捕まえたと。新しいインタビュー票、聴き取り票でそうやって調査をする。で、帰国手続に入るんだけれども、未払賃金があるでしょうと。今、日本にいる間に何とか解決できればするけれども、母国に帰ってからも、日本政府が責任を持って相談に乗るから、だから大使館に行ってねと、そういう取組が現に行っていったらいいんじゃないかと思うんですけど、外務省、いかがですか。
○政府参考人(高橋克彦君) お答えいたします。
 大使館、基本的にはベトナム人にできるだけ寄り添うというアプローチでございますので、例えばホームページを見ていただくと、ベトナム語でですが、現地でいろいろと流布されている話が、これは間違いなのでだまされないようにという形での情報提供はしております。
 こういうやり取りを通じて、大使館の方に積極的に何か持ってくると解決するぞという動きにはなっておりませんが、基本的には既存の枠組みでの解決というのを求めたいと思いますけれども、一方で、困った人に対して我々担当ではないのでお応えはしないと、そういうアプローチはしないようにちょっと心掛けて対応していきたいと思います。
○仁比聡平君 いや、それは困った人に対応してこそ日本ですよ。是非よろしくお願いをしたいと思うんですが。
 残る時間、原発構内での特定技能一の作業の問題についてお尋ねをします。
 四月の二十三日に、東電が協力会社に福島第一原発などの現場作業に外国人労働力の受入れ可能だと、受け入れることを決めたということで、方針説明をしたという問題についてお尋ねをしました。
 東電が述べたとされる、お手元に配っている朝日新聞の記事にある分野のうち、建設、それから自動車整備、ビルクリーニング、外食業のこの業種についてはそれぞれ所管省庁が、あり得ないとか、想定されないとか、含まれないとかという形で明確なお答えがあったんです。ところが、経済産業省だけが、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業のこの二分野、これも含めて製造三分野と経産省おっしゃっていますが、ここに何だか可能性があるかのような答弁をされて、私は事前のレクと違うではないか、そごをしているではないか、一体どういうことなのだと指摘をしたんですが、経済産業省、結局どういうことなんですか。
○政府参考人(経産省大臣官房審議官 大内聡君) お答え申し上げます。
 経済産業省の製造三分野につきましても、他の省庁が所管する分野と同様に、原子炉内部に留置されている汚染物質の除去などの作業に特定技能外国人を従事させることは製造三分野の職種に当てはまらず、特定技能外国人を従事させることは想定しておりません。
○仁比聡平君 まず、前回の答弁とは違って、原子炉内部の作業というのはこれは想定はされないということですね。
 原発構内、福島第一の原発構内のことを私は言っていますけれども、この福島第一原発の構内における作業というのは、一般に言う産業機械製造業などとは私、場面が違うと思うんですね。私が事前に受けたレクでは、この製造三業種というのは、例えば、製造用のロボットを作る分野、ここに特定技能一で外国人は働いてもらうというようなことが想定されていて、その例えばロボットを作るというような仕事が福島原発の構内で行われるということはこれは想定されないから、その原子炉の核物質を取り出すというような作業はもちろんなんだけれども、原発構内の作業も想定されないと言っておられたんですね。
 ところが、前回、四月二十三日の御答弁では、現時点でそうした具体的な事業活動は承知していないが、申請があればそれはあり得るという趣旨に読める答弁をされた。その点はいかがですか。
○政府参考人(大内聡君) 原発構内におきましては様々な作業があり得ますので、特定技能外国人が原発構内で従事することの可否については一概に申し上げられないというふうに考えております。
 今先生が御指摘されたような事案以外にもいろいろなものが想定され得るのかもしれませんので、個々の事案については、法令に従いまして、申請に係る外国人が従事する活動の具体的な内容に即しまして、出入国在留管理庁が個別に審査することになると承知しております。
○仁比聡平君 いや、よく分からないんですよ。ほかの省庁じゃなくて、経済産業省がそうおっしゃるわけだから。
 そうすると、東電は、この福島第一原発の構内で、この製造三業種に当たり得るような、そうした作業ということをこれ行う可能性があるわけですか。
○政府参考人(経済産業省原子力事故災害対処審議官 新川達也君) お答え申し上げます。
 ただいま大内審議官の方から答弁ありましたように、福島第一原子力発電所の廃炉作業におきましては各種の作業がございます。今答弁がありましたように、製造三分野の業種として想定していたものの中に、原子炉内に留置されているような汚染物質の除去といったような、そういったものは当然想定をしていないということでございますが、その後作業がいろいろあるという意味におきまして、もし仮に申請があれば、しっかりとそれを個別に審査することになるということと理解をしております。
○仁比聡平君 もしあればという、今の御答弁でも繰り返されていることが、これがまたよく分からないんですよ。
 そういう、もしあればとか、いずれとかいうような話だったらば、協力会社数十社を対象とした会議で、特定技能の労働者の原発への受入れについて説明するというようなことは起こり得ないでしょう。しかも、建設、自動車整備、ビルクリーニング、外食業に関して言うと、これは該当しない。だから、これ言ってみれば、その所管省庁にしてみたらこれぬれぎぬを掛けられたみたいな話になっていて、経済産業省はこれからあり得るというふうに思っているのかもしれないけれども、これはあり得るという、そういうお考えなんですか。
○政府参考人(新川達也君) お答え申し上げます。
 東京電力の元請企業、協力企業に対する周知というのは三月二十八日に行われておりまして、特定技能の在留資格制度が四月一日から運用されることに伴いまして、外国人材を福島第一原発で就労させる場合の考え方について周知をしたものと承知をしております。
 具体的には、制度の概要だけでなく、特定の技能を有する外国人が従事する作業が特定産業分野に該当する、又は作業安全指示等の理解が可能な日本語力が必要である等、法令に従って対応するよう周知したと聞いております。
 経済産業省としましては、具体的な個々の事案について法制度が適切に運用されるよう関係省庁と連携するとともに、安全かつ着実に廃炉作業を進めていく観点から、東京電力に対して必要な指導監督を行っていきたいと考えております。
 なお、一般論として申し上げれば、原子力発電所の防護区域内で働く人員については、テロ対策等の観点から厳格な信頼性確認を行う必要があり、その点にも留意する必要があると考えております。
○仁比聡平君 ちょっと時間が来たので、ちょっと終わらざるを得ませんけれども、ちょっと今の御答弁、私、全然意味が分からないですよ。特定技能一というここの分野だとか、あるいはこの申請だったり、これを認定するという手続というのをこれさんざっぱら議論をして、存在するわけですね。で、それを具体的に理解をせずに東電がこんな形で説明するのはあり得ないじゃないですか。実際に、廃炉も含めたその原発構内の作業に特定技能一の外国人労働力を導入しようとしているんじゃないのか。だから、そういうふうに訳の分からない、曖昧な答弁になるんじゃないのか。
 そんなことは絶対に許されない。日本語の能力の問題、専門性の問題、これまで繰り返されてきた原発における労災などの問題について、これ厳重に認識をして、むしろ経済産業省、東電にこれやめさせるべきですよ。法務大臣はこんな説明をしたということを撤回をさせるべきです。
 終わります。