○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

九州電力の太陽光発電出力抑制問題についてお尋ねをしたいと思います。

先週末も九州は快晴で、絶好の行楽日和でした。太陽光発電所にとっては稼ぎどきだったわけですが、ところが九州電力は、十月十三日以来、毎週末のようにせっかくの太陽光発電を送配電網から切断する出力抑制を繰り返して、十一月三日、四日は風力発電も止められました。全国で初めてのことです。

お配りをしている資料の一枚目はその概要を九電が公表した資料ですけれども、御覧のようにこれまでの六日間で再エネの抑制分は計四百七十八万キロワットに上ります。世耕大臣、これは何世帯分に相当する量ですか。

○国務大臣(世耕弘成君) 電力というのは、常に需要と供給がバランスをしていないと安定的に供給できないという特性があるものですから、供給がオーバーしそうなときは、これは何も再生可能エネルギーだけではありません、火力発電ですとかそういったところを調整した上で再生可能エネルギーを調整するということになっているわけであります。

九州では、これまで合計六回の再生可能エネルギーの出力制御を実施をいたしました。今御指摘の四百七十八万キロワットというのは当日の朝の予測値でありまして、実績値としては、これもホームページで公開されていますが、合計三百六十八万キロワットとなります。これが六回で合計三百六十八ですから、一回当たりの平均は六十一万キロワットとなるわけであります。

電力というのは、家庭もあれば事業所用もありますので、何世帯分という数字はなかなか出ないわけでありますが、この六十一万キロワットという数字を、単純に同じ時間帯における電力需要全体が七百七十六万キロワットということになりますから、全体の需要に対して約八%相当の出力を制御したということになろうかと思います。

○仁比聡平君 今の実績値で、十月二十一日は需要に対する割合というのは何%ですか。

○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。

削減量、出力制御量が五十四万キロワット、これは電力需要七百四十三万キロワットに対しての数字となります。

○仁比聡平君 だから、割合。

○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。

約七・三%でございます。

○仁比聡平君 いやいや、実績値で十月二十一日は需要の一二%になるんじゃないですか。

○政府参考人(村瀬佳史君) 申し訳ありません。

十月二十一日ということでございますと、マイナス九十三の制御を行ったわけですけれども、これは電力需要七百三十二万キロワットに対してのものになります。(発言する者あり)一二%ということでございます。

○仁比聡平君 実績値でも、一日、九州全体の需要の一二%と。これ、報道では二百四十万世帯分という数字もあるんですが、燃料費もCO2もゼロ、核のごみも出さない自然エネルギーをそれだけ捨ててしまったということなんですよね。

一方で、九電は、川内、玄海、四基の原発を再稼働して、四百十四万キロワットのフル出力で動かし続けました。

世耕大臣、この原発は出力抑制されていませんね。

○国務大臣(世耕弘成君) 先ほども申し上げたように、この電力の供給が需要を上回る場合というのは、これは出力制御をしなければいけないわけです。

これは、出力制御の条件とか順番を定めた優先給電ルールというのが以前からルール化をされています。そのルールを御理解いただいた上で、前提として、再生可能エネルギー事業者は送電線に接続をしているわけであります。

その順番は、まず火力発電、石油やガスや石炭の火力発電の出力制御、あるいは揚水発電を運転をしていくということ、そして他地域への送電を行う、次にバイオマスの出力制御、そして太陽光、風力の出力制御、こういう順番になっているわけであります。

原子力については、これは原子力だけではありません、水力や地熱も同じなんですけれども、短時間での制御が困難という技術的な特性を持っているわけであります。そういうことから、太陽光や風力よりも後に出力制御をするというルールになっておりまして、今回は出力制御は行っておりません。

○仁比聡平君 需給バランスを取るのは、これ当然なんですよ。問題は、なぜ再エネが抑制されるのかということなんですよね。つまり、再エネより原発という姿勢。

配付資料①九電再エネ抑制1104

配付資料②優先給電ルール

資料③九電の設備投資・原発対策費実績

 九電は、言わば原発枠を優先して、太陽光の受入れは八百十七万キロワットと上限を決めています。そこで、原発を再稼働して、とうとう再エネを押しのけてしまった格好なわけですが、そんな仕組みを二〇一五年の経産省令でつくってきたのが政府です。

世界の流れは逆なんですね。大体、ベースロード電源というのは安倍政権の造語であって、国際的な定義はありません。世界では、再エネのコスト削減も大きく進む中で、出力が変動する再エネも含めて系統全体をマネジメントするように発展しており、ヨーロッパでは、再エネの給電こそ優先して、原発も含めた他の電源を出力抑制するようになっているわけです。

そこで、総理にお尋ねをしたいわけですが、二枚目の資料を御覧いただくと、五月三日、九州のエリアでは、およそ八百万キロワットの需要を太陽光で八一%、再エネ全体で九六%賄えているわけですね。原発はなくても電気は足りるという時代が来ています。ところが、このままでは、この先導入される再エネは全量抑制の対象になってしまうのではないか。全国の水力を除く再エネ導入量はまだ僅か六・九%なのに、そこに冷や水を浴びせているのが出力抑制になっている。これでどうやって主力電源化を図るんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 詳細については経済産業大臣から答弁させますが、様々な電源によるベストミックスを追求する中で電力の安定供給を維持するためには、それぞれの電源の特性を踏まえ、出力制限を実施することが必要と考えておりまして、いずれにせよ再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組むことは安倍内閣の一貫した方針であります。

○国務大臣(世耕弘成君) 世界の潮流とおっしゃいましたけれども、スペインやアイスランドという、アイルランドという再エネ先進国と言われている国でも再エネを調整することが前提になっています。私、この間、スペイン見てきましたけれども、風車の羽根の角度を調整して出力調整をするというような技術も入れられているわけであります。

一方で、原発とかあるいは地熱のようなこの安定的な電源を一回切ってしまうと、立ち上げるまでに今度時間が掛かる。じゃ、その間、急に需要が出た場合は火力発電でカバーしなければいけないという面もあるわけなんです。ですから、そういう意味で、我々はベストミックスということで再生可能エネルギー、主力電源としてしっかり使っていきたいと思っていますが、そういう制御を前提としながら、だけど一方で、なるべく多くの電源、再生可能エネルギーの電源をつなぎ込んでいくということに取り組んでまいりたいというふうに思っています。

○仁比聡平君 いや、私は再エネを優先すべきだと言っているんですよ。どうやって主力電源化を図るのかと。

現場は大変深刻です。事業者は、前夜いきなり一方的に指示されて、九時―十六時の全部の制御を現実に強いられているわけですね。一日一千万円の損失という事業者だってあるわけですよ。それを無制限、無補償にしたのが二〇一五年の省令です。

帝国データバンクによると、二〇一五年以降、太陽光発電の倒産件数、負債総額が急増して、二〇一八年の上半期は過去二番目の高水準と頭打ちの懸念を伝えられているわけですが、いつどれだけ抑制されるのか不安定で収益不透明と、相当の自己資本を持っていないと融資は厳しくなったと聞きますが、麻生大臣、どんな御感想でしょう。

○国務大臣(麻生太郎君) この融資の話の判断ということになるんだと思うんですけれども、これは一概に言えるものではないと考えますけれども、各銀行で太陽光発電の事業について、これは電力会社による出力制限等々、補償の有無があるとか、また環境に配慮した事業としての意義等々、様々な要素を勘案して融資の可否というのを判断しているものだと私どもは承知しておりますので、この各銀行において事業の内容とか将来の見通しを適切に評価、また金融仲介機能の発揮に努めていただくよう、これは期待をしたいと思っております。

○仁比聡平君 貸出しがしづらくなるということは否定できないと思うんですよね。

総理、もう一回聞きますけれども、主力電源化を進めると。それなら、再エネの優先接続、優先給電に転換していくべきじゃありませんか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 再生可能エネルギーの最大限の導入を進めていくことは、先ほど申し上げましたように、安倍内閣の一貫した方針でございます。詳細は経済産業大臣から答弁させますが、この方針の下に、系統制約を克服するため、既存系統の最大限の活用や九州域外への送電量の拡大などに取り組んでいきます。

○国務大臣(世耕弘成君) これは、系統に接続する順番というのは、後から接続を申し込んだ人の電源が先に申し込んだ電源を追い越すというようなことになると、これ発電事業そのものの予見性を損なうおそれがあるわけでありまして、再生可能エネルギーや火力発電など電源を区別するのではなくて、公平に接続の申込み順に送電容量を確保することが重要だというふうに思っています。

その分、その上で、系統への再生可能エネルギーの接続をできる限り増やしていくために、今、日本版コネクト・アンド・マネージの具体化ですとか、あるいは地域間の連系線の強化、そういったことに取り組んでいるところでございます。

○仁比聡平君 いろんな工夫をして、総理さっきおっしゃったけれども、電力会社の地域独占という古い考え方はもうやめて、九州で余ったから捨てるというんではなくて、広域に活用すべきだと思うんですね。

経産省にお尋ねしますが、九州電力が二〇一三年の電気代値上げを認可してもらうために説明した三年間の設備投資と原発安全対策費の計画、実績はそれぞれどうなっていますか。

○政府参考人(村瀬佳史君) お答え申し上げます。

二〇一三年の料金審査における九州電力から提出された資料及び九州電力が二〇一八年に公表しております資料に基づいて、配付いただいた資料に沿って御説明をさせていただきます。

まず、この上の設備投資でございますけれども、この設備投資、上段でございますが、ここが正確にはその他設備投資となりまして、この設備投資には、下の安全対策投資を除きます核燃料投資などのその他の原子力投資も含みますその他の設備投資という意味でございまして、この額につきましては、当初この計画でというところで示していただいております数字と公表されている数字が一致しているものというふうに承知してございます。

右側の実績でございます。これも上段は設備投資ではなくてその他設備投資でございまして、このその他設備投資には、安全対策投資を除きますその他の核燃料投資を含みますその他の原子力投資を含む設備投資でございまして、この実績の数字も、この数字につきましては、これら公表されている数字とお示しいただいた数字は一致しているということでございます。

○仁比聡平君 九州と中国を結ぶ関門連系線であと百万キロワット流せていれば、再エネを抑制する必要はほとんどなかったんですよ。ところが、設備投資は値上げの説明より一千三百三十六億円も少ない。一方で、原発再稼働のための安全対策費は九百四十五億円も上積みしているというのが九電の実態なんですよね。

三・一一を目の当たりにして、止めるべきは再エネではなくて原発だと思います。原発ゼロ基本法案、提出をしておりますが、再エネを中心に据えるエネルギー政策、再エネ優先接続、優先給電と広域連系、地域分散型ネットワークへの転換を強く求めて、質問を終わります。