【18.05.31.】196国会5月31日法務委員会「成年年齢引き下げに根拠なし」

196回国会質問 国会質問一覧

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

これまでの議論の中で、大臣を始めとした政府側のこの本法案の改正理由について、焦点の極めて曖昧なぼやんとした抽象的な、そうした答弁がずっと続いているわけです。その下で、私、ちょっと大臣に通告していませんけど、確認しておきたいと思いますけれども、今回の法案の中で、民法についてのこの改正、これは、十八歳、十九歳の若者に未成年者取消し権の保護がなくなるということ及び親権者の子に対する親権や監護義務がなくなるということ、ここに民法上極めて大きな重い改正なのであって、もちろん所管省庁がそれぞれの関係する法令があります。先ほど来、葉梨さんが探偵業法というお話もされますけれども、それはそれぞれの所管省庁がある、それぞれの保護法益や立法目的がある。

大臣が直接責任を負っていらっしゃる民法、これについては、申し上げている未成年者取消し権の問題、それから親権や監護義務の問題、ここが柱だということはよろしいですか。

○国務大臣(上川陽子君) 民法の成年年齢、これについて二十歳から十八歳に引き下がるということでございます。民法の成年年齢の引下げに伴いまして、委員御指摘の二つの要点ということについては影響が及ぶということでございます。

○仁比聡平君 その問題について、昨日の大臣の本会議場での答弁についてお尋ねしていきたいと思うんですけれども、まず伺いたいのは、昨日有田議員がお尋ねになった成熟とは何かという問題なんですね。有田議員が、人間の成熟という視点からどのような検討が行われ、結論が出されたのかという問いに対して、大臣は、今日の十八歳、十九歳の若者は自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力を備えるようになってきているという実態があるとお述べになりました。その上で、十八歳、十九歳の若者は、一般に、大人の入口に立ったと言えるだけの成熟度を備えているという認識をお示しになったわけです。

この意味をちょっと改めてよく分かるように伺いたいと思うんですけれども、要点として、自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力というのは一体何であって、これを今日の若者たちが備えるようになってきているという実態があるというのを、これどういうふうに把握されたんですか。

○国務大臣(上川陽子君) 委員の御指摘のとおり、昨日の参議院の本会議におきまして、十八歳、十九歳の若者は、一般に、大人の入口に立ったと言えるだけの成熟度を備えているものと認識しているということを答弁をいたしました。

これは、十八歳、十九歳の若者は、一般に、成年に達したと扱うのに必要な成熟度を備えている一方で、いまだ完全な大人として成熟した存在にまでは至っておらず、その自己決定権を尊重しつつも、社会全体で支援していくべき存在であるという趣旨で申し上げたところでございます。

○仁比聡平君 完全な大人ではないと。スタートラインでしたっけ、大人の入口に立ったが完全な大人ではないという意味だとおっしゃりたいようなんですけれども、そのことを成熟度というのかと。

これ、成熟というのは一体どういう意味なんですか。

○国務大臣(上川陽子君) 今回の成年年齢の引下げにつきましては、日本国憲法の改正手続に関する法律の制定の際に附則で、民法についても法制上の措置を講ずるよう求める旨の規定が設けられたことを契機といたしまして、議論がなされるようになってきたものでございます。

成年年齢の引下げは、国民投票の投票権の年齢、また公職選挙法の選挙権年齢が十八歳と定められ、国政上、十八歳以上の者を大人として見るとの判断がされたという政策的な流れの中に位置付けられるものと考えております。十八歳、十九歳の若者に参政権という権利を与えるとともに、私法上も大人として扱うことにより、これらの者が責任ある立場で積極的に社会に参加することを促進をし、ひいては我が国の将来の担い手として、中心となって活力ある生き方を選択をしていただきたいというものでございます。

公職選挙法が改正されまして、十八歳、十九歳、若者が国政選挙におきまして実際に選挙権を行使をされました。このような若者に社会の一員としての自覚をもたらし、また、大人としての自覚を強く促す効果があったものというふうに考えております。

また、九八%を超える高校等の進学率、消費者教育、また法教育及び金融経済教育等の充実によりまして、今日の十八歳、十九歳の若者は自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力を備えるようになってきているという実態があるものと考えております。さらに、今日の十八歳、十九歳の者の実情として、法律上は親の監護下にあるものの、大学入学あるいは就職を契機に独り暮らしを始め、独立した主体として生活をしている者も多い状況でございます。

十八歳、十九歳の者は、十七歳以下の者に比べましても、何らかの形で就労し、金銭収入を得ている者の割合が大幅に高くなっておりまして、八割を超える大学生がアルバイトをしているという調査結果もございます。社会的、経済的なこの若者たちの生活、あるいは社会的な行動ということにつきましても、そのようなデータもございます。こうした事情から、十八歳、十九歳の若者は、一般に、大人の入口に立ったと言えるだけの成熟度を備えているものというふうに認識をしております。

大人として、今日から大人と言われてそれに足るかどうかということは、それぞれの、個々の様々な環境にもよるでしょうし、しかし、社会全体としてそういう方向に向けて、若者たちがしっかりと担い手として活躍することができるように、環境の整備が何よりも重要であるというふうに考え、そしてその旨の取組をこの間してきたものでございます。入口に立って、そしてそれをしっかりと支援をしながら、しっかりとした形で担い手として、この日本の中でしっかりと大人として活躍をしていただきたいと、こういう趣旨でございます。

○仁比聡平君 長々御答弁いただきましたが、今大臣がお話しになった言葉は全て昨日の本会議場で述べられたとおりでございまして、私は、その中で、成熟度とは何か、自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力とは何かと問うているんですが、お答えがないわけです。大臣の、そのお手元の答弁メモをめくられておられるけど、そのことについてのメモがないわけですね。

大臣、改めて聞きますけど、自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力とは何ですか。何で、大臣。

○委員長(石川博崇君) まず、山下法務大臣政務官。

○大臣政務官(山下貴司君) 法律的な問題でございまして、私も憲法の司法試験委員をやっていたということもありまして、お答えさせていただきます。

これ、未成年者の取消し権と申しますのは、もう仁比先生御承知のとおり、これ制限、行為能力の制限という面がございます。すなわち、これ、取消し権という権利的なものでありますが、反面、単独では法律行為を完結できないという立場であります。ある意味、私的自治の例外であります。

そういった意味で、未成年者ということになりますと、これは十八歳、十九歳が問題になっておりますけれども、これは、意思能力がない十歳以下の者、十歳以下は意思能力ないかもしれませんが、十歳も十一歳も十二歳も十三歳も十八歳も十九歳も一律に未成年取消し権があるという意味において、これは行為能力を私的自治の原則の例外をもって制限するということなんであります。

そこで、では、国としてこの行為能力の制限のラインをどこに引くかと。行為能力の制限を一律に引けば、この一律、これはもう制限行為能力ということでありますが、そういうふうに引くのか、それとも、それを下げて、その中で生まれる例えば消費者保護の部分を消費者保護法の従属によってそれを担保するのかという、そういったものがあろうかと思います。

そうした中で、まず、制限行為能力のラインをどこに引くかというところにおいて、一つには、参考になるのは国政上の判断として参政権、すなわち政治に参加する権利につきまして十八歳ということになった。それに照らして、それに、論理的必然ではありませんけれども、私法上の参加権、市民生活の参加権について、これも十八歳にするということがあっていいのではないかということで検討を重ねておったわけであります。それにつきましては、国際比較上も十八歳の成年年齢というところは多いということも参考になります。

そして、経済的実態におきましても、例えば高校を卒業して大学で独り暮らしをする、あるいは就職をするという方々も増えているという経済実態もあると。

そういったことも踏まえ、そして、他方で消費者保護、これはしっかりやらなければなりませんが、平成二十年以降、消費者教育あるいは消費者契約法、様々な拡充がなされているということで、これを拡充することによってこの行為能力の制限を、例えば十八歳、十九歳を十一歳、十二歳、十三歳と同じように考えるのか、あるいは、十八歳でその市民生活として私法上のこの行為能力を認めて、しかしながら、消費者生活において足らざるところをしっかりと押さえていくというアプローチ、これを国政上の御判断をいただきたいということで国会の御審議をお願いしているものと考えております。

○仁比聡平君 せっかく御答弁に立たれたけれども、政務官の今のお話は極めて抽象的なことを繰り返しておられるだけなんですね。

十八歳選挙権の実現が、これが人にとって極めて重要なものであると、特に若者の政治参加、これは極めて重要なものであるということは、昨日、私、本会議で申し上げたとおりなんですが、今の政務官の御答弁、あるいは昨日の大臣の御答弁でも、そのことと成年年齢の引下げというのは論理必然ではないと。当たり前のことです。

もう一つ、私的自治の例外あるいは制約であるという未成年者取消し権についての御理解が示されました。これ、後で時間をちゃんと取って議論をしたいと思うんですけれども、人は生まれながらに基本的人権の享有主体であって、もちろん、物心付いてからということが何歳ぐらいなのかというのは様々な研究やあるいは子供の権利という国際的な法意識の発展の中で議論はありますけれども、成年、未成年という問題と人の自己決定権、その尊重という問題は、これは別の問題です。

先ほどの政務官の論に立てば、この法案が仮に成立して施行された場合、十八歳未満の人々は自己決定権が剥奪でもされているとでも言うのかと。そんなことはあり得ないでしょう。いやいや、御答弁をしていただくんじゃない。つまり、政務官の答弁あるいは政府の答弁が極めて焦点を曖昧にしていると私は批判をしているわけなんですね。

そこで、大臣がお使いになられた、自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力とは何か、成熟度とは何かという点については、お答えが結局ないので議論を進めたいと思うんですけれども、今のお話の中で、消費者被害の防止策、これについての拡充は必要なんだが、これはされてきているという認識を示されているわけですね。

これ、法務省として、そうした認識に至った実態の調査といいますか、確かに消費者教育がこの間取り組まれてきているというのはそのとおりです。大臣、いいですか。その消費者教育の推進がうたわれ進められてきているということは、それはそのとおりだと思うんですけれども、この効果が既に検証されたのかという点については、これは大きな疑問がそもそも消費者庁が設置してきた消費者委員会においても示されているところなんであって、法務省がこの法案の提出に当たって、そうした施策が行われてきているということが、この未成年者取消し権を外すということも含めて、十八歳、十九歳が大人の入口に立ったと言える成熟度を持っているというこの認識に至っているその根拠、法務省としてどんな調査をしてそうした認識に至っているんですか、大臣。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。

成年年齢の引下げに向けた環境整備の施策には、各種の教育あるいは周知啓発活動など様々な施策が含まれておりまして、なかなかその全体的な効果を定量的に検証するということは困難でございます。したがいまして、その施策の全体的な効果について定量的な結果を得られるような検証は行っておりません。

しかしながら、消費者被害の拡大を防止するための施策につきましては、学習指導要領の改訂によりまして充実が図られた学習指導要領に基づく教育を受けているところでございます。また、消費者庁の設置によりまして消費者行政の一元化及び充実が図られているところでございます。こういった消費者の被害を拡大を防止するための施策、これは若者に対しまして直接的な効果を持つ、そういう内容であると理解しておりまして、そういったようなことから、こういった消費者被害の拡大を防止するための施策についても相応の効果が上がっているものと私どもとしては判断しているというものでございます。

○仁比聡平君 相応の効果が上がっているというのは、これどんな意味ですか。どういう意味ですか、これ、局長。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。

先ほど申し上げましたとおり、なかなかその効果というものを定量的に判断するというのは難しいところがあるというふうに思っております。

したがいまして、私どもといたしましては、この環境整備を整って、そういった中でこの成年年齢の引下げについて国会の御判断を仰ぐと、こういう形で法案を提出させていただいているところでございますけれども、そういった今の消費者被害の拡大防止のための施策の実施状況、その内容を踏まえてそういった成年年齢の引下げについて国会の御判断を仰ぐ、そういったような段階に至っていると。そういった意味での環境整備の効果、そういう意味での相応の効果は上がっているものと考えているということでございます。

○仁比聡平君 今のお話だと、環境整備が整ったという認識のことであって、効果が上がったというこの言葉とは、日本語としてはこれは全然食い違いですよね。

環境整備が整った。例えば、学習指導要領が改訂をされました。消費者教育の、あるいは法教育や金融経済教育の体制を整えようという努力が進められています。そういう方針ができています。そのことを環境整備が整ったとおっしゃっているわけですか。

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。

法制審議会の最終報告書におきましては、そういった様々な消費者被害の拡大を防止するための施策等の実現、それから、その効果が上がってきて、またそれが国民の意識に現れていると、こういったようなことから、成年年齢の引下げの環境整備ということを指摘しているものと理解しております。

そういう意味で、先ほど具体的なその実施ということを申し上げましたけれども、そういった実施されている状況及びそういったそれぞれの施策の内容に照らして相応の効果が上がっていると、その効果が上がっているということも、やはりこの法案を提出するに当たっての環境整備の一つであるというふうに考えているというものでございます。

○仁比聡平君 いや、だから、環境整備が整ったと、相応の効果が上がっていると。意味が分からないんですね。

ちょっと一個一個、聞きますかね。

その消費者教育などに関して、委員の皆さん、昨年一月に消費者委員会の成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループが、成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書というのを出しておられるのを御存じでしょうか。是非、この法案の審議に当たってお読みいただきたいと思うんですけれども。

消費者庁に伺いますが、その十五ページで、「意思決定のスキルや批判的思考力、判断力など消費者教育にて育成すべき資質・能力」という、こういう言葉があります。この消費者取引あるいは消費者教育が獲得を目標とする能力、資質ですね、これは、この報告書にはこういう表現がありますけれども、これはちょっと敷衍するとどういう意味なんでしょうか。

○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。

報告書で指摘されているとおり、消費者教育により身に付けるべき力は、知識だけではなく、日常生活の中でそれを実践する力、すなわち主体的に判断し、責任を持って行動できるような能力というふうに認識しております。社会に参画する入口の段階において必要な、今申しましたような、このような自立した消費者としての力を身に付けるためには、自分自身の行動を考えるきっかけとなるような実践的な消費者教育を受ける機会が与えられることが重要と考えております。

これまで、学習指導要領に基づく教育の実施や消費者教育の推進に関する法律を踏まえて、関係省庁等を挙げての消費者教育の推進及び消費者教育の充実が図られてきたところでございますが、成年年齢の引下げを見据え、将来を担う全ての若者に対して実践的な消費者教育を確実に行うことが重要でございます。このため、関係省庁で緊密に連携し、二〇二〇年度には全ての都道府県の全高校において、消費者庁が作成した教材、「社会への扉」などを活用した実践的な消費者教育の授業を行われることを目指しているところでございます。

以上でございます。

○仁比聡平君 今お聞きいただいたとおり、そうした能力を獲得をするという、その獲得をすべき資質や能力の目標、概念が掲げられて、それを獲得するための教材、あるいはそれを全ての小中高で実施をしようという目標が定められたというところなんであって、第一に掲げられているのはその効果の測定ですよ。学校における消費者教育の効果測定を行うための必要な調査を行うべきであるということがこの報告書の大きな課題になっているのであって、つまり、目標やこれからの施策について基本は定めたけれども、その効果はこれからという、測定の仕方もこれからという話じゃないですか。

消費者庁、もう一回確認しますけど、その獲得すべき能力について、勉強の中で、何かがあったときに立ち止まれるだけの批判的思考力が働くように生きてきたかという、そういう表現がありまして、ああ、なるほどねと思いました。

十八歳になって高校を卒業しようとする、大学に合格したと、そうしたら、下宿を決めるためにいろいろ努力をするとか、あるいは独り暮らしを始めるのにいろいろな新しいものを買うとかということがある。大学にも近いし、ワンルームだし、お風呂もあるし、ここはいいなと、だけれども家賃が十何万円する。いや、もうちょっといいところ、もうちょっと安いところでいいんじゃないといった親のアドバイス、周りの相談なんかありますよね。何か物を決めようとする、そういう意味じゃ、大人のスタートラインに立って、何か消費行動を行おうとするそのときに、誰かに相談する、立ち止まって考える、そういう批判的な思考力が身に付いていることが大事と、それを身に付けていくために教育をするんだと、そういうことでしょう。

○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。

まずは、自分で自立して判断をすると。と同時に、仮に迷ったようなときには、もちろん親もございますし、あるいは消費生活相談というのもございますので、そこで相談すると。そういうような実践的な能力を付けるということだと考えております。

○仁比聡平君 消費者庁としては、その効果が既に検証され、十八歳、十九歳の若者たちに備わっていると、そういう認識ですか。

○政府参考人(井内正敏君) お答え申し上げます。

先ほども法務省の方からございましたように、消費者教育の効果というのは定量的に示すということはなかなか難しいんですけれども、消費者庁としては、今消費者庁がオフィスを徳島にも置いてございますけれども、そこでは、昨年度はもう既に、徳島県では全ての高校等において私どもの作った「社会への扉」というような教材を使いまして授業が行われております。ですから、こういうものの効果等を見てお示しできるのではないかというふうに今は考えております。

○仁比聡平君 つまり、効果が発揮されているかはこれからの検証の話なんですよ。それを法務省流の用語といいますか、玉虫色の判決用語といいますか、相応の効果が上がっているという民事局長のその相応のあるいは効果というのは一体どういうことですか。

それは、現実の十八歳、十九歳、あるいはこの法改正が実現をするとしたら、今現在中学二年生の子たちが十八歳で成人となるということになるのだろうと思いますけれども、いや、本当にリアルに大臣が言ったような能力が備わっていますか。やっぱりそこをしっかり、若者の置かれている実情、声を聞きながら、しっかりはっきりさせていくという必要あると思うんですね。

ちょっと時間取りましたので、もう一点だけ、ワーキング・グループの報告書を紹介しておきますと、冒頭に若者の実態と課題ということを整理をしておられるわけです。

十八歳という年齢は、多くの者にとって高校を卒業し、大学へ進学したり、就職したりするなど生活環境が大きく変わる時期である。例えば、大学へ進学し、親元を離れて独り暮らしを始めると、扱う金銭の額が大きくなるなど生活環境が変わるため、消費者トラブルに遭った場合の被害も大きくなる。また、クレジットなどを利用することで、被害が大きくなるとの報告もある。

さらに、知識としてクーリングオフという言葉を知っていても、正確な知識がないためにかえって被害に遭ってしまうことや、マルチ商法は知っていても、ネットワークビジネスと言われるとその区別が付かず被害に遭ってしまうなど、適切な判断ができないことも指摘されている。他方、この年代は、就職活動や教育実習など社会と接点を持つ活動を体験すると急速に成長するという指摘もされている。私、よく特徴つかんでいると思うんですよ。

今日、資料に、日弁連の院内集会でお話をいただいた公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会の教育委員長窪田久美子さんの資料をまず一枚目にお配りしていますけれども、そうした講座を受講した高校の教員の先生の感想ですが、我が校では、経済的に大学進学を諦めざるを得ない生徒もおり、楽してもうかる、簡単に借りられるという言葉を信じ、トラブルに巻き込まれる可能性が高く、卒業後の彼らの生活が非常に心配です。一方で、契約の基本やクレジットカード、多重債務などの講座は専門知識も必要で、どうやって教えればいいのか分からず、現場は大変ですと。まあ、そのとおりだと思うんですね。

大臣、次の資料、二枚目は、公益社団法人全国消費生活相談員協会の井坂江美子さんのものですけれども、若者被害の問題点、特徴として、一、契約に関する知識が乏しい、二、絶対もうかるなどのうまい話に弱い、三、その場の雰囲気にのまれ、事業者の勧誘を断れない、四、借金やクレジット等の分割払の提案を安易に受け入れてしまう、五、SNSの利用によりウエブ上のバーチャルな人間関係を信用してしまうなどが挙げられますというこの指摘も、私、そのとおりだろうと思います。

法務省あるいは民事局は別として、消費者団体も、それから、私いろいろ意見ありますが、厳しい意見がいっぱいありますが、消費者庁を始めとした政府の消費者教育の関係のところでも、こういう認識は、省庁を超えてこれまでだって取組がなされ、認識があるじゃないですか。こういう認識が一方でありながら、大臣が、自らの判断で契約を締結するのに必要な判断能力を備えるようになってきているという実態がある。

この答弁というのは、これちょっと実際と相当乖離するんじゃありませんか。大臣。

○国務大臣(上川陽子君) ただいま消費者教育の一連の資料等も踏まえて委員から御指摘がございました。主体的に判断をする、そして責任を持って行動をする、そして何か事があったときには、それに対して立ち止まってしっかりと考え直してそれに対して取り組むことができる、こうした能力を身に付ける。これは、小さいときからの、ある意味では生活上に非常に必要な能力ということで、実践を通して、これからの時代の大きな変化に合わせて小さい頃からこうした能力を身に付けていくということが極めて重要であるというふうに改めて認識をしているところでございます。

先ほど来の成熟度の議論ということで問題が提起されたわけでございますが、二十歳になったら必ず大人になる、そして完全に何事も全てなし得るという存在では必ずしもないということについては、年齢の物の考え方に関わるものでございまして、成年年齢の引下げのこの議論におきましても、そうした様々な考え方を持ってこの問題に取り組んでいくということが必要であるということは、この間の委員からの様々な御意見もいただきながら考えていかなければならない、これからも考えていかなければならないことだというふうに思っております。

法務省といたしましては、成年年齢の引下げによって新たに成年となる十八歳、十九歳のこの若い世代が、大人の入口に立ったという認識の中で、いまだ成熟の段階を駆け上がっていくというような物の考え方の中で、こうした中で引き続き様々な施策の支援をしていくということについては、これから、この教育については、平成三十二年までの集中期間がございますし、また、その後、三十四年の四月一日施行までの期間の中で、四年弱ということでございますが、これまでしっかりと打ち出してきた施策の様々なメニュー、こういったことがしっかりと実行していくことができるように、更なる改善をしながら取り組んでまいりたいと思っております。

○仁比聡平君 大臣、要はこれからやるというふうにおっしゃっているんですけど、それは違うんでしょうと私は申し上げたいんですよ。

消費者のワーキング・グループの報告書は、先ほど御紹介した後の続きの部分で、このように大きく生活状況が変化する中で、成熟した成人として十分な知識、経験、判断能力が身に付いているとは言えない若者に対して、成年になった時点で全て自己責任ということで責任を負わせるのではなく、社会人としての出発点あるいは助走期間とも言える時点で多額の負債を負い、また、その支払のためのアルバイトで学業や就職活動がままならなくなるなどの回復不能なダメージから保護しつつ、段階的に経験を積んで成熟した成人に成長することができる社会環境を整備し、若者の成長を支える必要があると述べておられまして、これを読む、この文字として読む限り、私は、先ほどちょっと議論おいておいた、政務官さっきおっしゃった、この未成年者保護の法理、我が民法の、というのは、こういうふうにも、今の趣旨に沿った形で考えられているのではないかと思うわけです。

これ、詳しくはもう時間が迫っていますから次回に譲るほかありませんが、この民法の未成年者取消し権について、これは未成年者が不当な契約に拘束されることがないようにする、そして徐々に大人になるために段階的に未成年者が契約をすることができる仕組みなのであると。それを、親を中心にした法定代理人ですね、ここに係らしめているという、こうした理解は次回ちょっと深めていきたいと思うんです。

今日、あとちょっとだけ残る時間で、立法事実に基づいた、十八歳、十九歳の若者の実態に基づいたしっかりとした議論が私必要だと思うんですが、どうも政府・自民党は違うようですね。五月二十九日、衆議院本会議のこの本法案の自民党の賛成討論、これ議事録を読んで私ちょっと仰天しているんですが、この討論者は、この成年年齢の引下げは政治決断により導入の方向が示されたものですと言い、一部参考人からは成年年齢引下げに対する要望が国民の中から上がっているとは言えないという指摘がされたが、これはある意味当然のことである、この成年年齢引下げは元々与野党を超えた政治決断として取り組んできたものだからですと。加えて、私も申し上げている十八歳、十九歳の保護への懸念ですね、保護を外すことへの懸念、これについて、そのような懸念に関する議論を本法律案の審議で議論をすることは時期遅れであるということです、本来、成年年齢引下げに伴う弊害の有無に関する議論は、成年年齢引下げの方向性が与野党で合意された平成十九年の国民投票法成立の段階までに行うべきことですと。

これはもってのほかの議論であって、けれども、自民党の討論者がこう述べて賛成討論をやっているということは、これは、政府・与党として、大臣、こういう認識だということですよね。私たち国会に判断を願うと何回も何回もおっしゃるけれども、政治決断したと、だから、これで大人として自覚をせよと、それが少子高齢化が急速に進行する我が国社会を活力あるものにする道だと、それが政府・自民党の考え方だということですか。

○国務大臣(上川陽子君) 今回、成年年齢の引下げの御議論をこの国会にこのような法律案としてお出しをさせていただきました。国民投票の投票権年齢、また公職選挙法の選挙権年齢、十八歳と定められ、また、国政上十八歳以上の者を大人として見るとの判断がなされたという政策的な流れの中に位置付けられるものでございます。

先ほど来の答弁の中で申し上げましたけれども、十八、十九歳の若者に参政権という権利を与えるということが、直ちに私法上におきましても民法の成年年齢の引下げにつながるという趣旨のものではないと認識をしておりますが、私法上も大人として扱うことによりまして、これらの者が責任ある立場で積極的に自己決定権を持って、そして自らの様々な夢や希望をかなえていただくことができる、そして、この国そのものを、これから先の日本の社会の在り方として、国の在り方として、こうした若者が中心となって活躍をしていただくことができる、こういったことは将来の我が国の発展にも寄与するものというふうに認識をしているところでございます。

法務大臣として、この間、消費者被害の問題について、悪徳商法の問題から身を守るために、また適切な行動をすることができるために、様々な環境整備について消費者教育という立場、また、消費者教育のみならず、身近に様々な相談をする相手が存在するということの中で、しっかりと活動していただきたいと。

その意味では、省庁挙げての環境整備が何よりも大事であるということを考え、そしてこの委員会も立ち上げながら、各省庁の連携した施策の一元的な管理の中でしっかりと進捗を持って成果をしっかりと上げていく。そして、その環境整備を通じて更に周知をしていくことができる、また理解をしていただくことができるというような形で、様々な懸念を防いでいくための取組については、そうした御意見をしっかりといただきながら、更に拡充強化をしていくということも必要ではないかというふうに思っているところでございます。

今後も、三十四年四月一日、こうした期限を御検討いただくお願いをしているところでございますが、そのためにも、環境整備の施策について十分であるかどうかも含め、また新たなこうした御指摘をいただいたところにしっかりと声を伺わせていただき、また御意見と提言もいただきながらこの議論もしていただいているところでございますので、そうした取組につきましても真摯に対応してまいりたいというふうに考えております。

○仁比聡平君 いや、もう時間が来ましたから、これ以上答弁求めることができませんけれども、結局、大臣、あれこれ言われるけど、この私がちょっと名指しした自民党の討論者の発言について否定されないじゃないですか。私たちが今やっているこの議論を時期遅れであると言っているんですよ。二〇〇七年の国民投票法を、葉梨副大臣、さっきちょっと触れられたけれども、本当にひどいやり方で暴力的に強行していきましたよ。そのときまでに、その段階までに行うべき議論だというわけですから、何を言っているんですか。

葉梨さん、先ほど発議者だったという話ありましたけれども、そのときにこの十八歳、二十歳という問題が出て、その時点で政府は、成年とか二十歳とか十八歳とかいう年齢が定められている法というのが何本あるのかということ自体が答弁できなかったんですから。そのときまでにそれぞれについてどうするべきかの議論は終わっているんだなんていうような、こんな認識でこの法案を進めていくなんというのは、私は断じて許されないと思いますよ。

徹底した事実に基づいた審議が必要だということを強調して、質問を終わります。


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