【18.04.17.】196国会4月17日法務委員会「子の最善の利益のため、裁判所調査官の抜本的増員を」

196回国会質問 国会質問一覧

○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。

この法案に関わって、子の福祉あるいは最善の利益ということを家庭裁判所がどのようにつかんで判断をしていくのか、とても大切な家庭裁判所調査官による調査の充実についてお尋ねをしたいと思います。

お手元にお配りをしていますまず一枚目の資料は、平成二十八年に我が国の家庭裁判所に係属した子に関する家事事件の中で家裁調査官による調査がどれだけ行われているかと、これは調査命令という形で行われるわけですが、その件数を最高裁に調べていただいた資料です。

婚姻関係事件というのがありますが、これは夫婦が離婚を、協議では調わず、調停あるいは審判ということになる事件が多いわけですが、その中には当然、子供の親権者あるいは面会交流をどう定めていくのか、そうした項目も含まれているわけです。そのうち家裁調査官による調査が行われた例は二〇%程度、逆に行われていないのが五万三千六十八件、七九・八%と、八割が行われていない。この行われていないものの中に、本当は十分な家裁調査官による調査を必要とする事件もあるのではないかと私感じるわけです。

別の事件の類型で、養育費、扶養料あるいは面会交流、子の引渡し、そして監護者の指定、こうしたことが直接争点となる事件がございます。その多くは、例えば面会交流、引渡し、監護者指定は八割方は調査が行われているわけですけれども、残る二十数%のこの事件の中にも調査が行われるべきものがあるのではないか、私はそんなふうに思うんですが、最高裁、いかがでしょうか。

○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。

夫婦関係調整の調停事件などにおきまして、親権者の指定ですとか面会交流が争点となっている事案など、必要な事案におきまして家庭裁判所調査官による調査が行われることが重要であるという点は委員の御指摘のとおりというふうに考えております。

この点、今御説明いただきました資料の婚姻関係事件の中には、そもそも子供がいない夫婦間の離婚の事案も含まれておりますし、また、子供がいるという事案であっても、離婚の可否自体が争点になっている、あるいは財産分与が基本的な争点になっていると、こういった事案などにおきまして、子の調査は必要でない事案ですという形で、事案解決のために家庭裁判所調査官による調査が不要と判断される事案も相当数あることから、調査命令の発せられていない事件の割合がこの資料のとおりの値になっているものというふうに認識をしております。

家庭裁判所におきましては、これまでも適時適切な家裁調査官の関与に努めてきたところというふうには承知をしておりますが、最高裁判所といたしましても、今後とも、事案に応じまして適切に家裁調査官による調査がされるよう支援をしてまいりたいというふうに考えております。

○仁比聡平君 最高裁は、国会での答弁では、もちろん十分な調査は行われているのですという御答弁になるのはそうなんでしょうけれども、実際現場で行くと、調査官による調査を例えば代理人としてお願いをしても、調停委員の方々がとてもちゅうちょをされると。いや、調査官の方々はお忙しいですからと、いや、この件は私どもでというようなことはよくあることではないのか。

加えて、今局長おっしゃったように、争点になっていないとというお話があって、つまり、父、母が、面会交流についてはもう決めていますとか親権者についてはもう決まっていますとかということになると、子の福祉について調査官の関与が行われないということがずっとあって、実際上あって、そうなんだけれども、面会交流を実際に行ったときに重大な事故が起こるということがあり得るということなんですね。

私、一年前のこの委員会で、長崎で、これは協議離婚だったようですけれども、面会交流の約束をして初めて父親のところに子供をお母さんが連れていった、そうしたら、父親からめった刺しにされてお母さんが殺され、お父さんが自殺をしてしまった、二歳の男の子が両親をそうやって失ってしまったと、こういう事件について認識をお尋ねしたことがありますけれども。つまり、子の福祉、子の最善の利益ということを考えたときに、父、母が争っていようがいまいが、本当にどこに子の福祉があるのかということを探求していく、そうした調査が本当は必要とされる事件がもっとたくさんあるんじゃないのか、そんな思いがするんです。

そこで、家庭裁判所調査官のいろんな取組を勉強させていただきますと、例えば、平成二十八年の三月十七日付けで、最高裁家庭局第三課長のお名前で全国の家裁首席調査官宛てに共有されている京都家裁の特別研究の報告があります。これは、離婚調停における調査官による子の調査の有用性を明らかにしようということのようですけれども、この中、最後の部分に面白い記述がありまして、本研究の着手時に行った裁判官などとの意見交換においては、どのような事案で何を目的にどのような調査を行えば、子の福祉への配慮、当事者の主体的解決及び家族関係の再構築を目指した調停運営につながるのかについての認識が関係職種間で明確化され、共有されることを望む意見があったと。

つまり、調停委員とか、それから裁判官のこともあるかもしれないんですよ。この調査官による調査の意義だとか位置付けについて、これ明確化して共有しなきゃいけないという問題意識がある。これは、裏返せば共有されていない、調査の重要性が共有されていないからこういうことになっているんじゃないんですか。

○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) 委員から今御説明ありました当局第三課長の書簡におきまして、御指摘いただいたような記載があるのはそのとおりでございます。家庭裁判所調査官による調査の意義や在り方が関係職種間にも共有される必要があるということは、まさに御指摘のあったとおりと当局としても考えておるところでございます。

家庭裁判所におきましては、これまでも、裁判官、それから調停委員、そして家裁調査官等の関係職種間で調査の在り方について議論を積み重ね、調査官調査の意義等につき認識共有を図ってきたというところでございますけれども、今後もこのような取組を継続して、関係職種間において認識共有を更に進めることが重要と認識をしております。

質を高めるための取組でございますので、これはある意味終わりがないといいますか、ずっと続けていくべき永遠の課題というようなところもあるかと思います。そういう意味におきましても、最高裁判所といたしましても、このような取組が一層進められるよう必要な支援に努めてまいりたいというふうに考えております。

○仁比聡平君 おっしゃるとおり、質を本当に高めていかなきゃいけない、深めていかなきゃいけないということだと思うんですね。間違っても、父、母の言い分だけを聞いて、あるいは主張を整理して、それで一件落着というようなつもりで事件解決したと思ったら大間違いというのが子をめぐる家事事件の複雑困難さだと思うんですよ。

そうした下で、どんな行動科学の知見に基づいた調査の重要性があるのかと。私も素人ですので、拝見して、本当にその専門性をかいま見たという気持ちがするんですけれども、平成二十八年十二月に裁判所職員総合研修所が出しておられる家裁調査官研究紀要という専門誌に、百ページを超える子の意思把握の調査の充実に向けた調査方法の研究という平成二十七年度の指定研究の報告書が掲載をされています。

その中から皆さんに、もうほんのごく僅かなんですけど、お手元に、調査官が子の意思評価をどのようなステップで行っていくか、子の反応の確認、子の意思形成過程の分析、そうしたものを子の福祉の視点からしっかりと検討していくという七段階のステップと、それから、子との面接に当たってどんな点に着眼をするべきか、子の意思形成過程の検討に当たってどんな点に着眼をするべきか、こうしたリストを御紹介をさせていただきました。

これ、結局、発達段階における特徴や子の心身の状況、紛争が及ぼす影響、親の要因、その他の様々な要因をしっかりつかみながら、子の意思という角度だけ取っても、言語的反応のみならず、沈黙や表情、身ぶりといった非言語的な反応も大変重要な要素であると。それから、調査場面自体が子に与える影響も考慮する必要があると。これ、調査の中で試行的面会が行われていますけれども、裁判所の面談室だけじゃなくて、例えば遊園地だとか公園だとか、あるいは家でというような、様子がどうなのかなど、とても専門的だと思うんですよね。

このような研究を共有しようということを図っている趣旨は何ですか。

○最高裁判所長官代理者(村田斉志君) お答え申し上げます。

家事事件手続法の六十五条では、家庭裁判所は、未成年である子がその結果により影響を受ける事件におきまして、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により子の意思を把握するように努め、その意思を考慮するべきこととされておるところでございます。

最近、婚姻関係事件ですとか子の監護事件等におきまして、家族のありようをめぐる価値観の多様化ですとか個人の権利意識の高揚といったものを背景といたしまして当事者の意見が激しく対立して、子の意思の把握ですとか子の利益の実現に向けた調整において困難を伴う事件が増加しているというふうに認識をしております。

このような中での取組といたしまして、各家庭裁判所あるいは裁判所職員総合研修所等におきまして、家裁調査官が子の意思把握の調査の充実に向けた調査方法の共同研究を行うといった形で、子の意思の把握や子の利益の実現に向けた調整について家裁調査官の専門性の向上を支援するための様々な取組を行い、これを全国の家庭裁判所と共有してきたものというふうに承知をしております。

このように事件が難しくなっているということへの対応としてこのような取組を行っているところでございまして、最高裁判所といたしましても、今後ともこのような取組は支援してまいりたいというふうに考えております。

○仁比聡平君 そうした調査を要する事件が、これは急増していると私言うべきだと思うんですね。面会交流の事件だって、この間、二・五倍に十年間で膨れ上がっています。

一方で、成年後見事件は、これは御存じのとおりのうなぎ登りという状況で、けれども、この成年後見事件のみを担当する特別の調査官を置けている体制というのは、私が調べたところ、東京家裁本庁や立川支部を始めとして十四庁にとどまっている。全国の二百五十プラス出張所という家裁の多くの調査官は、家事事件もそれから成年後見事件も、これ一手に引き受けなきゃいけないし、専門性充実させなきゃいけないという話になっているわけですね。これ、抜本的増員が絶対に必要だと。

中村総務局長おいでいただいているんですけれども、先週、一週間前に激論しましたので、ちょっと今日、大臣にお尋ねしたいと思うんですが、この法案で子の住所地を中心に管轄を定めると、今日るる御説明をいただいた調査を充実をさせて、そして子の福祉を実現するんだというのが私たちの日本法の考え方だと思うんですよ。

法案を提出された大臣として、この家裁調査官の調査の重要性についてどんな御認識でしょうか。

○委員長(石川博崇君) 時間が過ぎておりますので、お答えは簡潔にお願いいたします。

○国務大臣(上川陽子君) 子の監護に関する処分審判事件のような子の身分関係に関する事件におきまして、子の利益にかなった内容の審判を適切に行うためには、子の生活状況等や子の意思についての十分かつ丁寧な調査をするということが重要であるというふうに認識をしております。

この法律案におきましても、そのような観点を含めまして考慮をしているところでございまして、まさに、子の監護に関する処分の事件につきまして、子の住所が日本国内にあるときには、日本の裁判所が管轄する場合、この管轄する場所が国内にあれば、子の生活状況とかに関する資料、これが日本国内に多数存在するわけでありますので、そうした家庭裁判所が子の意思を直接確認することもできるということでございます。したがって、我が国の家庭裁判所が十分な調査をした上で、適切かつ迅速な審理、裁判をすることができるというふうに考えられるからでございます。

子の身分関係に関する事件におきましての調査の重要性につきましては、本法律案におきましても十分に考慮されているところでございます。

○仁比聡平君 ありがとうございました。


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